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第20話 教育係

 ビシッと黒い制服に身を包む。気が引き締まり、顔まで凛々しくなったように感じる。


 入団試験から一週間が経った。俺は王都にある騎士団本部の古い木造2階建ての騎士宿舎の部屋で制服に着替えている。


「よく似合ってますね」

「ありがとうございます」


 俺に話し掛けてきたこのひょろひょろの優男は同じ部屋のデューク。3カ月前に騎士団に入団したらしく先輩には当たるが俺の方が歳は上。


 デュークは平民だか剣術学校でぶっちぎりの成績だったらしく騎士団長自らがスカウトして騎士団入りしたと寮母のおばちゃんが言っていた。


 ただのドジっ子にしか見えないが。


「教育係、今日決まるんですよね?」

「はい。今日決まるみたいです」

「優しい人だったらいいですね……僕の教育係のリュミエル副団長めっちゃ怖いんですよ」


「あの人ニコニコしてるイメージしかないですけど……」


「あれで目が笑ってない時があるんですよ。その時はめっちゃ怖いんですよ……」


 確かにあの瞬間アレジオびびって腰抜かしてたな……


「じゃあ僕は一足先に行ってきます!」

 そう言って部屋からでたデューク。


 デュークの机の上をみると鞘に納められた剣が……


 俺がその剣を持って部屋をでると頭を掻きながら戻ってくる。

「す、すいません……また怒られるとこでした。」


 苦笑いをしながら「はい。これ」と剣を渡すと腰に下げ走って行く。


 そろそろ自分も行かないとな……


 腰に剣を差して、宿舎をでると目の前に騎士団本部の石造りでできた建物がある。


 団長室に行くように言われていた為、団長室に向かう。


 重厚な扉に団長室と書かれたプレートが掛けられている。


 コンコンとノックをすると中から返事があり、扉を開ける。


「失礼します」

 騎士団の挨拶をし、中に入ると机に向かう恰幅のいい茶色の髪をした人が騎士団長で、俺に背中を向けて騎士団長の正面に立つ金髪の騎士が一人いる。


 騎士団長が俺に話し掛ける。

「君の教育係だ」


 平民から騎士団に入団すると騎士見習いという階級が与えられる。


 騎士団の階級は平民は騎士見習い、貴族は下級騎士からのスタートで、下級騎士、中級騎士、上級騎士、特級騎士、名誉騎士、大騎士の順になっている。

 騎士団長などの役職は階級とは別に与えれており、現団長の階級は名誉騎士で、副団長のリュミエルさんは特級騎士の階級。


 最上位の大騎士は騎士団長などを歴任した騎士が騎士団を引退する時に与えられる物である。


 しかし平民は騎士団長になることは出来ないという暗黙の了解であるため、平民が大騎士になることはない。


 そして騎士見習いは1年間上級騎士以上の者が教育係としてマンツーマンで騎士としての在り方などを教え育てる。


 そのまま部屋の中に入って、金髪の騎士の横に立つとその騎士はくるっと横を向き、その騎士が挨拶をする


「教育係のアレジオ・ファフナーだ。よろしく。ウェブくん」


 そう言って右手を差し出して言ってニヤッと笑う。


 え……


 一瞬固まりそうになったがそのまま右手を出して握手を交わす。


 握手をしながらアレジオが俺に耳打ちをし嫌味ったらしく囁く。

「よろしくな。ウェブ・ステイ君」


 俺はそれに答えるかのように「ご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願いします!」と騎士団式の礼をしながら答える。


 そのやりとりを見て団長がうんうんと頷きながら話し掛けてくる。


「アレジオ君は君の入団試験の担当官だったそうだね。君が優秀だから是非、教育係をやらせて欲しいと、私に直訴してきてね。アレジオ君に任せることにしたよ」


 誇らしげな表情でアレジオは団長に話し掛ける。


「団長ありがとうございます。この私の名に掛けてウェブ・ステイを一流の騎士に育てあげます」






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