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魔に虚ろうは:法か術か  作者: 鳩馴 赤茄子
2/2

2:探索

「んー?なんも無いな。ホントにここか?」


「その…はず…なんだけど」


新聞の写真と交互に見比べる檜山。目の前には建物の跡と更地が広がるのみであり、檜山の写真のような建造物はひとつも見つからない。


「一応探るだけ探ってみっかー」


敦貴はカバンを放り投げ、10歩ほど前に出ると手をかざし札を構える。


「『シクラメンの名のもとに。過去を疑しめ』」


札にシクラメンの花が映り砕ける。その瞬間黒いヘドロのようなオーラが周囲に広がり、あつきの顔が歪んだ。


「どうだ?」


「あーなんかあったの確かだ」


シクラメンの花言葉は猜疑心。本来の使い方は相手が嘘をついてるか見抜くために使うんだが今回はこの地に使ったらしい。


「何があったかまでは分からないん?」


「んー分からん。というか疲れたわ」


ゴロンと寝転がる敦貴。


「おつ」


「お疲れだ」




「んで、お前らはもう家に帰ったんじゃなかったのか?」


「うわあああ」


「……なんだ棚星か」


「なーにやってんだがこんな更地で。な?何やってたんだ?檜山」


「せっ、拙僧はよく知らなナナナいでござるよよよ?」


「お前絶対拙僧なんていうキャラじゃねぇだろ」


「何をいうか慧殿!拙僧は由緒正しきお寺の生まれでござるよ?」


とりあえず死んでも寺を継がないって豪語する人間がいうセリフではないと思うよ。


「檜山は多分破戒僧のが似合ってるよ」


「敦貴殿までなにを言うか!?」


「はぁ〜んでお前ら結局何やってんだよ」


「ああ檜山がな…」




〜〜〜〜〜〜〜〜




「なるほどな?んー俺は何も聞いちゃいないしデマだろ」


「そうは言っても『シクラメン』で探ったらなんかあったんだ」


「わざわざやったのか……。まあこの更地の感じ的に昨日ぐらいにここいらの不良が派手に遊んだか工事でもあったんじゃねぇのか?ほら帰った帰った」


「そう言われちゃ反論のしようがねぇな。帰っか」


「りょーかい」


「……わかった」


「んじゃ今度こそ寄り道しないで帰れよ〜」


「先生も明日遅刻すんなよ〜」


「余計なお世話だ!」






「そろそろ離れたか?」


「離れたと思うぞ」


「『ヒメウツギよ。我らの秘密、守り願う』」


場に透明のベールがかかる。これで聞こえはしなくなっただろう。

檜山が『ヒメウツギの秘密』を使ってる間に、敦貴はゴソゴソとカバンからメモを取り出し何かを書きはじめた。


「何やってんだ?」


「……読め。聞かれちゃまずい」


聞こえないようにしたのに何をと思いつつ読むと


【シクラメンで調べた場所には激しい戦闘跡があった】


「まじ?」


ゆっくりと敦貴は頷く。


「だけど中村。それなら不良の可能性もあんじゃねぇの?」


檜山が小声で質問する。


【戦闘範囲があまりにデカすぎるのと】


「のと?」


【何か巨大な四足歩行の生き物が走り回った跡があった】


「それは…」


「……ああ、矛盾する。つまりあの場でゴシップで書かれるようなことでないにしても何かがあったのは確かだ」


「なんであの場で言わなかった?」


「確かに?」


「そもそも棚星が何故あの場にいたのかが分からない。言わないに越したことはないだろ」


「まあ…言われて見りゃそうだよな」


「なんで先生はあの場にいたんだろうな」


「我にも分からん…」


後味の悪い、なんとも言えない不気味さが俺たちを撫でた。

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