理想への授与
「またお前か」
そう言ったのは俺ではなく奴だった。
「俺が言いてえよそんなの。てか今日は黒カラス天狗の仮面なのな。」
「ついショップでポチっちゃったから使いたかった、それだけの理由だ。」
「いやそんなもの買うなよ。」
「大丈夫だ、金ならある。」
ちがうそうじゃない
「で?なんでお前が"またお前か"なんだよ。来てるのお前だろうが。」
「いやいや、お前が呼んでるんだろ?」
「なに言ってんだこいつ」
「まあ実際は小さな隔離世界に俺たちが集められてるだけなんだけどな。」
「まさかの誘拐!?」
「誰がお前を拐うんだ?てかやってるのお前だし」
さっきからなに言ってんだこいつ。
「あれ?もしかしてメイドにはなんも言われてない?」
「そうだな。お前に気を付けろと言ってたな。」
「ええ…じゃあ言うけど、お前の固有能力は"夢演舞"に近いんだよ。」
「ふーん。で、味は?」
「いや食えねえから。日本人の個性出してんじゃねえよ。」
「お前俺のことどこまで知ってるんだ…?」
「なにも知らねえよ。なあ徒徒くん?」
「やめろ!黒歴史を漁るな!あと徒徒だから!」
こいつマジでどこまで知ってるんだ?
「あ、そうだ、persona」
「どうした徒花?」
「アアルってなんでお前に気を付けろって言ったんだろうな。」
「うーん、それは多分…」
「多分?」
「防衛」
Personaの周りに透明な壁が…
「いやなぜそんなものを使っ
「方舟‼」
その声は、personaの声ではなく、
「アアル!?」
アアルがいた。波乗りしてた。てか
「波起こすっておかしいだろそれ‼」
水なんてなかった場所に3m級の高波、やっぱり魔法ってこわい。
「大丈夫です、マスターには守護を張ってあります。」
実際俺に波が触れているのに衝撃も無く一切濡れない不思議な現象が起きていた。
「そこのセンスの欠片もない仮面男!」
呼ばれたセンスの欠片もない仮面男(笑)は
「センスの欠片もないとは失礼だな理想欠片。」
パラ…なんとかピース?
「なぜ貴方がそれを…いえ、今貴方を消せば問題ありません!」
アアルさん怒ってらっしゃるなー、というか
「おいpersona、なんでお前なんともないんだ?これだけの水を浴びて…」
そう、あいつはなんともなくそこに立っていた。
3mくらいの水中なのに…
「当然だろ。この程度ならな。」
どうやら防衛が効いているようだ。
Personaは続けて言う。
「勝手によその世界で洪水起こして、条約違反だってわからないのか?」
条約ってなんだよ、って思ってるとpersonaが
「世界均衡悠久条約、略してせきゆ」
いやその略しかたはおかしい
「他の世界への侵略行為は原則禁止とする。また、他の世界への大規模破壊行為は罰則」
急にシリアスっぽくなった…と、ここでアアルが
「他の世界への略奪、拉致行為は自己の責任で回収を試みることを許可する。」
「なるほど、そうきたか。」
俺には何がなんだかわかんねえなこれ。
「俺は知識を与えただけだ。むしろそっちの能力、恐らく"夢演舞"系のせいで呼ばれてだな…」
だからそれなんなんだよ、てかいい加減説明プリーズ。
「"夢演舞"系とは、簡単に言えば夢を操る系統です。夢を操ることによって悪夢を見なくなったりなどの恩恵があったり、仲間に使えば夢で安らぎを与えたりできまふっ…」
…アアル、噛んだな。
「…できます。」
言い直すのか。
「で、徒花。お前がその系統の能力を持ってるってことだ。」
「知らないんだけどそんなの。どうなんだ?アアル。」
「マスターからはそのような能力は感じ取れません。よってそれはあの仮面男の嘘です」
あいつ…嘘ついてないと思うけどな。
「まあ多分徒花はもう使わなくなるから、気にしないでいいんだがな。」
Personaがそんなことを言うから、
「ふーん。なんでだ?」
聞いてみた。
「それはな、そこのメイドが来たからだ。」
「なんてアアルが来たらそうなるんだ?」
「そこのメイドはな…多分お前に能力を使わせないために封印するんだよ。」
「仮面男!貴方は何者ですか!」
痺れを切らしたアアルが問い詰める。
「俺は俺だ。誰でもない俺自身だ。」
それを避けるpersona
「貴方からは何か恐ろしい物を感じます。生きて帰しませんよ!」
「えっと…アアル?」
「なんでしょうかマスター。」
「もうあいついないんだけど…」
「えっ!?」
いつのまにかpersonaは消えていた。
「…マスター、もうあんなのには騙されないでくださいね?」
「はいはい、わかったよ。ところでアアル」
「はい、なにかありましたか?」
「うーん…まあいいや。」
「?そうですか、わかりました。」
なんだろうな、なんか…知らない魔法を知ってるんだよな…記憶の刷り込みか?
Personaがなんかしたんだろうが…
まあいいや。
俺はいつも通り過ごすだけだ。のんびりとー
この時の俺は、フラグを建てていることに気付かなかった。それが、始まりだったのだ。
ーーアアルの旅路2話に続…くのかこれ?
多分完成。多分恐らく何となく。