理想郷への秘匿
少し忙しくて書くの遅れた(うっかり2回消して書き直した)のですが、今回からものんびり書いていきます。
「マスター、前々から思っていたのですが」
今日も今日とてのんびり夕飯を食べていると、アアルが話しかけてきた。
「なんだ?」
「ここ最近、変な夢を見ていませんか?」
…
「夢?」
「マスターに近づこうとしている輩がいるようなので、注意してください。」
…
「そんな酔狂はいないだろ(笑)」
「そうですか…何かあったら教えてくださいね?」
「ソウダナ、ソウスルヨー」
どうやらアアルは俺が仮面野郎と会うことがあまりよく思わないらしいな。
まあ、多分大丈夫だろ。
あいつからは俺に似た何かを感じるからな。
「なあアアル、この世界って戦争とかはあるのか?」
「いえ、争いは同じレベルのもの同士では発生しませんよ、マスター。」
???
「なんか俺の知ってる言葉と違う」
「そうなんですか?とはいえこの世界での争いなど…竜と人の間でしか起こっていませんよ。多少の犯罪に目をつむればですが。」
「竜?」
あいつがなんか言ってたな、竜がなんたらって
「竜とは、この世界の守護者であり力の象徴、人に知識や文明を与えたり人に罰を与えたりする存在です。」
(´<_` )フーン
「争いの始まりは人族の英雄と呼ばれる"リューク"という人物が悪竜を倒したことから始まります。」
「その竜の名前は?」
「赤異竜です。」
サタン?悪魔の名前だよな…?
「リュークはこう言いました。
"我々はついに竜を倒せるところまできた!我らは自由を求めなければならない!最弱と言われた人族が倒せたのだから、全ての種族の力なら全ての竜を殺せる‼"
…と。」
「そんでそのまま殺されたのか。竜って案外弱いんだな。」
「いえ!竜は…半分以上はほとんど抵抗しませんでした。」
「…その理由は?」
「"この世界の者が我々を殺したのだ。
なれば抵抗の意味もない。
我々は全てを導き護る者、竜族。
そんな我々が…なぜ、抵抗するのか。"」
「…竜って、馬鹿だな。」
「そうでしょうか。」
「だって、共通の敵がいなくなったら同族ですら殺し合うだろ。それが俺の知る歴史、俺のいた世界の理だ。」
「…悲しい、世界なのですね。」
「むしろ何故この世界は平和なんだ?」
「この世界は、終わらない世界だからです」
「終わらない?資源や土地がってことか?」
「それもあります。しかし、他の世界からの干渉さえなければ、人の量などが調節されて適切な状態を維持する、それがこの世界です。」
すげえな、この世界。
「あれ?それなら俺一人くらいいなくても良くね?てかもう完成された世界じゃね?」
「いえ、マスターは必要です。」
「何故言い切れるんだ?」
「それは…」
「まあいいさ。のんびり過ごしてる間は特に文句もないし、この世界も…気に入ってるからな。」
「そうですか…良かったです。」
アアルさんが嬉しそうでなによりです。
そして俺は部屋に戻って夢を見た。
何度目になるかわからない、奴の夢を。