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異世界を数百個救った勇者の俺は駄女神学園で先生をしています  作者: 白銀天城
第三部

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新しい加護でもちょっと駄女神だよ

 今回もいつもの教室。いつものメンバーだ。


「よし加護を与えるぞ」


「もう決まったんですの?」


「おう、俺が決めてきた。お前らの素質を伸ばすぜ」


 そんなわけでまずサファイア。こいつは勘を伸ばす。


「はい完了」


「…………何がどうなったの?」


 ピンときていないようだ。

 そこで透明な魔力球を生成。魔力も他人には感知できないもの。

 それをそーっとサファイアに近づける。


「ん? なにこれ?」


 平然と掴む。よしよし、ちゃんと加護は発動しているな。


「魔力の球だよ。周囲に漂わせた」


 もちろん殺傷能力も強い衝撃もない。

 そんなん体罰と変わらんだろ。勇者のやることじゃないぞ。


「よくできました」


「結局どういう事?」


「ざっくり言うと勘を上げた」


 これがサファイアの新能力。

 第六感などの勘を超人的なまでに高め、新しくカスタマイズできる。


「野生の勘と第六感を混ぜるのさ。超人的な感覚になる。そこから七、八と自分だけの感覚を研ぎ澄ませ。先を自分で作っていくんだ」


「さらに野生児に近づいていますね」


「野生児言うな! わたしそんなんばっかりじゃない!」


「つっても長所なんだから伸ばそうぜ」


 女神っぽくはないが、勇者に与えたら強いだろう。

 基礎ができているほど、こういう応用が効く。


「どうせ先生も作ったんでしょ? それはどうしたの?」


「十八感くらいで飽きた」


 作るの面倒になって放置しました。

 だって無くても敵の攻撃が効かないし、殴ると死ぬし。


「ま、損はないよ。保証する」


「そこは信じてるけど……うーん女神っぽくないわね」


「気にするな。んでもってローズはこれ」


 俺の姿を消す。同時にローズも消える。


「これは……私が消えた?」


「透明化だ。気配まで消せる」


「便利そうですわね。なぜローズに?」


「ローズの問題点はすぐ脱ぐこと。脱衣闘法とやらが勇者に拒まれる要因でもある。だから透明になっちまえば、ひとまず解決できる」


 これは折衷案というか妥協というか。

 まあとりあえずの措置である。


「なるほど。裸体を見せることができなく……あまり興奮しませんね」


「せんでいいせんでいい」


「でも強そうでよかったじゃない」


 サファイアが普通に透明なローズの肩に手を置いている。


「お前わかるのか?」


「ん? 声がするし、なんかいる気がしたわ」


「流石は野生児ですね」


「完全に気配を絶ったはずですが」


「俺や勘が異常に発達したやつは、なんとなーく理解できちまうのさ」


 そこが弱点。過信は禁物。

 ただ気づかれても透明のままなので、そこは応用力の問題である。


「はい終わり。普段は使わないようにな。戦闘か訓練で使え」


「了解です」


「次にカレン」


「はい! いよいよわたくしですわ!」


「カレンはざっくり言うと超能力だ」


 ぱぱっと加護を与えてあげる。正直カレンは迷ったよ。


「超能力ですか?」


「カレンはスタンダードに強い。無効化能力もあって、自力で強くなり続ける事が可能。だから変化球入れたかった。レベル1なら物がちょっと浮くくらいだな。あとは金縛りだ」


「ちょっと浮く……ううぅぅぅ……えいっ!」


 机がちょっとだけ浮いた。初めてにしちゃ上出来だな。


「そのうちテレパシーとか透視とかできるはず。テレポートは危ないから俺がいる時にやること。まあ女神ならどうにでもなりそうだが」


「気をつけますわ」


 さてここからだ。軽く戦闘してみよう。


「んじゃ校庭にワープだ」


 全員まとめて瞬間移動。

 こういうのは実戦あるのみ。


「お前らの分身を出す。頑張って倒すように」


 全員の分身を出して、新加護を積極的に使うように設定した。


「はいじゃあよーいスタート」


 一斉に戦闘態勢に入るも、敵カレンの金縛りにより、ローズとカレンが止まる。


「しくじりましたね。予備動作が見えないとは」


 超能力は念じると出る。つまりぱっと見て警戒できない。


「なら潰せばいいのよ!」


 サファイアのみしっかりと回避。軽く予知能力の域だな。

 そのまま偽カレンの撃破に向かうも、サファイアのパチもんに阻まれる。


「邪魔よ!」


 そこでくるりと回転し、背後から迫っていた透明な敵ローズを避ける。


「あっぶな……見えないのはずるいわよ!」


「それをかわせるのもどうかと思いますわ」


「まったくです。ですが、金縛りは圧倒的パワーで解除できるようですね」


 太陽エネルギーをプラスしたローズを止められるほどの威力はない。

 そのまま透明化し、偽カレンを狙う。


「いただきますよ」


 偽サファイア渾身のブロック。

 いまいち決め手にかける勝負が続く。


「がんばれー。うまいこと勝てー」


 ポップコーンとジュースを出し、椅子に座って観戦。頑張れ駄女神。


「くつろいでんじゃないわよ!」


「どれか一体をまず倒しましょう」


「サファイア、金縛りの方向と、透明化は見切れますの?」


「無理ね。同時は無理。ローズも速くなると見切れないわ」


「ならば手段は一つですね」


 作戦は決まったらしい。

 そこで偽ローズから魔法の連射による足止めが入った。


「私の魔力は、この程度ではありませんよ」


 全弾同じ魔法で迎撃している。

 やるね。咄嗟の判断力がついてきているのか。


「ここですわ!!」


 カレンのフルパワー超能力により、偽ローズの体が浮く。

 そのままサファイアへと急接近。


「そこだ! 女神炎光波!!」


 しっかりキャッチし、火柱が偽ローズを包む。

 これにて偽ローズ撃破。ちなみに太陽のパワーは無し。

 そこまで強くしても、新能力のお披露目にならない。


「続けていくわよ! ブリューナク!!」


 必殺技の体勢に入ったサファイアを、金縛りが襲う。


「まあそう来ますよね」


「ですわね」


 その横を二人が駆け抜ける。

 そちらにも金縛りをかけようとしているようだが。


「なるほど、そう来たか」


 カレンがローズと手をつないだまま走っている。

 無効化能力だ。敵の超能力を消し続けているのだろう。

 二人の両腕が交差し、そのまま偽カレンを襲った。


「女神クロスボンバー!!」


 魔力を込めた一撃で、見事偽物を粉砕。

 あとは偽サファイアだ。


「シンプルに強いというのは厄介ですね」


「ですがもう三対一です」


 サファイアと偽サファイアの時点で実力差があるのだ。

 そこから多勢に無勢ってのはしんどいのさ。


「さて、分身の術といきましょうか」


 透明になったローズがさらに分身する。

 えぐい使い方しやがるな。

 流石に全方位からくる分身に対処することはできない。


「勘だけでは生き残れない領域です。あとは任せますよ」


「動けようが動けまいが、ここまで弱れば問題ありませんわ」


 カレンの魔力すべてをケリュケイオンに集約。

 稲妻が渦を巻き、偽サファイアを巻き込んでいく。


「極光雷撃!!」


 雷のような閃光を残し、完全決着となった。


「よーしそこまで。よくやった」


 それほど強く設定しなかった分身だが、それでもスムーズに倒した。

 戦闘面は着実に成長しているようだ。


「はー……つっかれた……」


「自分と戦うというのは、なんとも不思議な感覚ですね」


「能力に慣れるには最適さ。欠点も同時にわかる」


「確かに、なんとなく掴めましたわね」


 こういうのは言葉だけでは足りない。

 一気に全部教えようとしても無駄だ。

 徐々に覚えてくれたらいいさ。


「よし、じゃあ反省会しながら飯でも食いに行くか。何食いたい?」


「お肉!」


「高級食材を希望します」


「では高級なお肉ですわね」


 食い意地張りやがって。

 そこはもうちょい女神っぽいもん食おうぜ。

 女神っぽいのが何かは知らんけど。


「女神ランキング上位の行く、隠れ家的焼肉屋が特集されてたわ!」


「しょうがねえそこでいいか」


「やったー!!」


「気が変わらないうちに行きましょう」


 大はしゃぎである。お前ら本当に俗物だな。

 カレンが俺の横に来て、小声で訪ねてきた。


「お値段大丈夫ですの?」


「ああ、問題ないよ。給料もあるし、適当に宝石とか錬金して売った」


 金に困ることはない。今から作るのも面倒だし、今日は外食でいいだろ。

 頑張ったこいつらに、ちょっとだけ贅沢させてやることにした。


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