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異世界を数百個救った勇者の俺は駄女神学園で先生をしています  作者: 白銀天城
第二部

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思い出話と次の異世界

 いつものカレー屋の地下。今日も今日とてだらだら三昧。

 ソファーよりベッドのほうがだらーっとできるのでベッド召喚。

 気まぐれにゲームをする。いい休日だ。


「あんまりだらだらしていると、腕が鈍るよ」


「だからトレモ中なんだろ」


「格ゲーの話じゃなくてだね……」


 ヘスティアと軽く対戦したりトレモしたり。コンボ練習はこまめにしよう。


「だってリーゼが訓練中なんだぞ。しょうがないだろ」


 遠くに目をやると、絶賛特訓中のリーゼがいる。


「ブリザードクラッシュ!」


「負けません! ホーリーストライク!」


 遠くで戦っているリーゼと魔女。今回は御神楽吹雪さんがゲストです。

 どうせなら本格的に魔法の勉強をさせようと思い、俺が連れてきた。

 今は魔法の撃ち合いなんぞやっている。組手のつもりだろう。


「すでに格ゲーの腕じゃ、ヘスティアに近いくらいまで上達してんぞ」


「やるねリーゼ。私と先生の間に入ってくるとは」


「いずれ俺と同レベルになりゃ面白いんだが」


「それは酷というものさ。はいこれ、次の異世界の資料。いくつか持ってきたから、好きな世界を選んでおくれ」


 空中に投影された映像には、SF感満載の宇宙戦艦や巨大ロボットが映る。

 なかなかいいデザインだ。作ったやつを褒めてやりたいところだぜ。

 その次は忍者のいる世界。しかも現代だ。特別な資格らしい。


「なっかなか面白そうじゃないか」


「教官! おやつをお持ちいたしました!」


「ありがとうシャルロット。でも教官はやめて欲しいな。私はもう教官じゃない」


「失礼いたしました!」


 びしっと敬礼するシャルロット。わかってないみたいだな。

 こいつも担当世界が平和になり、休暇らしいので連れてきた。

 数日いたら帰るだろう。


「教官ねえ……ヘスティアは自由人なイメージだから、ピンと来ないな」


「何をおっしゃいます! 厳しくも優しく、凛としたそのお姿はまさに女神!」


「やめて、本当に恥ずかしいからやめて」


 ヘスティアの顔が赤い。こいつが照れているところなんて久々に見るな。


「これは、次の異世界ですか?」


「おう、次はどんな強いやつと女神がいるかな」


「先生の横にはいつも違う女神がいるねえ」


「そうだな。飽きなくていいぞ」


 女神は存在から特殊だ。おそらく、それが俺を救っている。

 駄目でもいい。その駄目っぷりが楽しいのさ。


「ここだけ聞くと最低ですね」


「うっさい。やましい気持ちはない」


「それはそれでこっちの身にもなって欲しいな」


「意味がわからん」


 ヘスティアの言うことは、たまーに理解できん。

 とりあえずおやつに集中しよう。


「よし全員で一休みだ」


「先生はずっと休んでいるだろう」


 ずっと訓練を続けているリーゼと魔女連中にも声をかける。


「おやつが来たぞー!」


「一度休憩にしましょう、リーゼさんも」


「はい、参りましょう」


 全員こっち来るので、人数分の椅子とテーブルを召喚。


「リーゼ、魔力は安定してきたか?」


「はい、シャルロットさんと魔女の皆様のおかげです」


「まさか女神様に魔法を教える日が来るとは思わなかったわ」


 仲も良好なようで安心した。最初は女神ってことで萎縮していたもんだ。


「俺が教えた魔法どうだ?」


「すみません……ちょっと難しくて」


 クッキーとマカロン食いながら雑談。冷たいミルクティーもいい味だ。


「先生の魔法か。何を教えたんだい?」


「色々だけど、まず因果律をいじって……」


「おかしいおかしい、まずで因果律って単語が出るのはおかしい」


 一応理に適った魔法を選んだつもりだが、なんか不評である。


「リーゼは因果さえコントロールできりゃ強いだろ。ガチャ女神なんだし」


「あんた規格外なんだから、覚えさせられる女神様の気持ちにもなりなさい」


 女神なんだからできると思ったんだよ。

 もっと補助器とか、特殊装置とかあればいいかもな。


「そもそもどこで覚えたのよその魔法」


「敵が使ってきた。それに俺がアレンジ加えたのが教えたやつ」


 なんとなくぼんやりと思い出す。そこそこ強かったはず。


「勇者様の敵ですか。凄く強い魔王なのでしょうね」


「んー……魔王とかの上だな。よくて中堅レベルだ」


「先生はあまりそういう話をしないよね。ちょっと興味があるな」


「えぇ……長くなるぞ」


 ヘスティアとリーゼが興味を持ってしまった。

 なんか目が輝いていらっしゃる。観念して話すしかないな。


「いいじゃない。ずっとゲームばっかりしてんじゃないわよ。あんたを倒す参考になるかもしれないでしょ」


「しょうがねえな……説明難しいんだけど、広がる宇宙そのもので、無限に広がり続けて異世界の宇宙まで自分の体の一部にできるやつがいて……」


「ごめん意味わかんない」


「だから難しいって言っただろうが」


 大抵は説明しようがない感じになっていくんだよ。

 別に殴れば死ぬし、俺にとっちゃ強いやつならそれで楽しいからいいんだけど。


「まあ最後まで聞いてみようじゃないか」


「えーまあ、あれだ。宇宙って無限に広がっていったり、そうじゃなかったりするだろ」


「世界によって違いますね」


 この辺は異世界さんの自由度が高くて面白い部分である。


「その広がる場所全てがもうそいつ自身で、力の一部なんだよ。でもって異世界の宇宙も侵食……って言っても百億いくかどうかの微妙な数だけど」


「あんたの微妙の基準おかしいわよ」


「取り込んだ宇宙の運命とか、因果とか、そういうもんを全部集めて新しい未来を確定させる。そうやって強くなろうとしていたやつだ。俺の運命も決めようとしてきたんで、戦っているうちに真似して最適化した」


「解析とか好きだねえ先生」


「異世界の技術とかパワーはいいぞ。予想もつかなくて、見ているだけで面白い」


 これが好きで勇者やっている部分もある。

 そのうち俺でも勝てない敵とか出そうで面白い。


「敵の技術ってあんたは覚えてないものでしょ? 戦闘中に使われたらどう対処すんのよ?」


「普通に防御力高いから平気」


「どこまでも力技だねえ」


 自然とバリアとか無効化すら必要なくなってくる。

 そこからがまたスタートラインだけど。


「それを反省してな。ちょいタブーだけど、第四の壁を認識して干渉、書き換えるって荒業使ってた時期もある。それさえ覚えちまえば大抵は『俺もできるようになった』の一文書き加えりゃどうにでもなる」


「もう全然わかんない。参考にできないでしょ。じゃあ敵のこう……あんたゲームみたいにステータス見れるんでしょ? それどうなの? 敵の能力とか見てる?」


「全能力無量大数と全知全能は基本だな」


「基本から狂ってんのね」


 これ全部満たさないと、最近倒したあいつの残骸レベルにすら歯が立たない。

 メテオを作り出したあの搾りカスですら、宇宙そのもの程度のやつなら鼻息だけで億単位を始末できるだろう。


「うーむ、次は新しいスキルでも覚えてこようかな。強いやつが出てこないし、今のうちにもっと強くなるか」


「こうして化物は強化されていくのね」


「なんて言えばいいのかわかりません」


 反応が鈍いな。いずれリーゼをそのレベルまで引き上げていこう計画は、秘密のうちにボツになりそう。


「想定はしていたよ。さっきの忍者の世界とかどうだい? 忍者が国家資格なんだ。現代に忍者がプラスされている。口寄せで大宇宙の意思でも呼び出して組手に使えばいい」


「お、悪くないな。でも召喚術はもうできるし」


「かなりピンチな世界っぽいよ」


「それを先に言え。んじゃそこに行くか」


 俺は勇者だ。俺にしか救えない世界があるのなら、まずはそこに行こう。

 勇者の本分は世界を平和にしたりだろ。強敵は趣味で探せばいい。


「そうかい。それじゃあ手続きはしておいたよ。今日から先生は国立忍者学校高等部二年生だ」


「…………なぬ?」


「がんばってくださいね、勇者様」


「いやいやいやいや!? 高校生に混ざれと!?」


「あんた大学くらいじゃないの? 見た目若いじゃない」


 まずいぞ。いや俺は忍者じゃなくて勇者なんだよ。これはいけない。


「なんか昔行ったことある気がするんだよ」


「はいはい、ごまかそうったってそうはいかないよ」


「いやマジでなんかぼんやりそんな気が……普通に勇者として活動しちゃ駄目か?」


「もう手続き終わっちゃった。じゃ、頑張って忍者勇者先生」


 ここでヘスティアに誘導されていたことに気づいた。

 こいつ……俺を見て楽しむつもりか。


「好きに楽しんでおいで、いつでも帰りを待っているよ。先生」


「いってらっしゃい、勇者様」


「お土産よろしくね」


 完全に笑顔で送り出すムード作られました。


「ああもうわかったよ! 待ってろよ異世界! 忍者だろうが行ってやるからな!!」


 ヤケクソ気味で部屋を後にした。

 次はどんな女神と、どんな敵に出会えるか。まだ見ぬ技術や食材も楽しみだ。

 できれば普通に行きたかったなあ。


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