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異世界を数百個救った勇者の俺は駄女神学園で先生をしています  作者: 白銀天城
第一部

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駄女神のお部屋サファイア編

「格ゲーをやるわよ! ついてらっしゃい!」


 そして俺はサファイアの部屋へ呼ばれたのだった。

 各種ゲーム機と格ゲー筐体がある。多少散らかっているのは予想済み。

 漫画も大量にあるな。部屋がめっちゃ広いのでなんとかなっている。


「この最新式筐体があれば、何十種類ものゲームができるわ」


「シンプルなやつでいこう」


「そうね、まずは小手調べよ!」


 パンチボタン二つ。キックボタン二つ。

 敵の攻撃をブロックするボタンが中、下段に一つずつ。

 シンプルでいい。飛び道具と対空のあるキャラでいこう。


「あんた手慣れてるわね」


「ゲームが全てを決める世界もあった」


 サファイアはリーチ短め、突進力とコンボ精度が物を言うキャラだ。


「いくわよ!」


「はいはい」


 威勢がいい割には、通常技を振ってゲージ貯めてやがる。

 合わせつつ飛び道具振っていこう。


「ゲージ溜め禁止よ!」


 ブロックされると相手だけゲージ増える。

 これをやられると飛び道具が振りにくいんだよなあ。


「よっしいくわよ!」


 相手の方がゲージ一本たまるのが早い。

 じりじり距離を詰められる。俺の通常技はそこそこスキがあるし、飛び道具は飛ばれると微妙に危険な距離。


「無駄にやりこんでやがるな」


「当然よ! これならあんたに勝てる!」


 下手に動くと突進技が来る。通常技を振って釣るか。

 小パンチで牽制しつつ、大パンチ振ってスキを見せる。


「そこよ!」


 やはり引っかかってくれた。ダッシュから拳を突き出すタイプの技だ。

 モーションでかいので、見てから無敵時間のある対空を出せる。


「甘いな」


「ふっふーん。アホめ!」


 サファイアが、ゲージ一本使って分身を作る超必殺技を発動。

 攻撃のスキをキャンセルしてガードされる。


「うっわマジか!?」


 俺の対空はジャンプするタイプだ。対してサファイアの突進は、あくまで地面を滑っての技。キャンセルかけてガードくらいはできる。できるが。


「てめえ知識あるタイプか!」


「強キャラの対策くらい持っとくもんよアホが!」


 正直そこまでやりこんでいるタイプには見えなかった。

 油断した。きっちり最大までコンボを繋げられ、画面端まで持っていかれる。

 俺のキャラがダウンした瞬間にも、ゲージを貯めることも忘れない。


「やーべえな。ちょいとマジでやったるわ」


「無駄よ! 中下択がどうせ見えないわ!」


 こいつの中段はそこまでじゃない。俺が全力で目を凝らし、反射神経で避けられるが。ここは素直に対空ぶっぱしとく。


「ぬあぁ!? ぶっぱは甘えよ!」


「当たったからいいんだよ。投げに行くつもりだったろ? 俺に心理戦は通用せんよ」


 とりあえず接近。正直、このラウンドは落としてもいい。

 もう少しでゲージが二本貯まる。2ラウンド先取なので、1ラウンドで貯めきろう。


「どうすっかなーっと」


 大足払いで転ばせ、めくり飛び。上手く当たったので突進技かけて画面端へ。

 この時点で残り体力は俺が三割。あっちが六割。まあ見込みは薄い。

 ぶっぱはさっきやったので警戒されている。


「はい投げー」


「うっわマジかおい!?」


 歩き投げされた。完全に舐められている。

 端に追い詰めて投げられたため、今度は俺が画面端。

 しかも起き上がる前にバクステで距離を開けられた。


「びびってんな?」


「挑発は無意味よ!」


 俺を画面端に追い詰めておきながらバクステ。無意味っぽいが面倒だ。

 通常技は届かないし、投げも対空も距離が足りない。

 サファイアは体力勝ちしているので、無理に攻めず、ここで俺が飛ぶのを待って落とせばいい。


「普段ポンコツのくせに……」


「わたしはゲーム能力極振りなのよ!」


 相手ゲージがもう溜まっている。つまり、へたに攻撃すれば分身キャンセルで潰してくるだろう。


「ほいほいほいほい!」


 中段技を食らうも、コンボは繋がらず、さらに足払いを食らう。

 投げに移行すんのバレたか。

 おとなしく1ラウンド捨ててゲージを温存するため、対空ぶっぱ。


「やりこみは裏切らないわ!」


 分身発動。きっちり殺される。狙い通りだ。

 対空で上に飛べば、拾って確殺するにはゲージ使うしかない。

 相手がゲージゼロで、こっちが二本。これがまあ理想だろう。


「侮っていたぜ。女神に格ゲーで負けるとか予想外だ」


「ふっふーん、後が無いわよ?」


「知ってるさ。ここで負けるようじゃ、世界なんて救ってられんよ」


 2ラウンド目は速攻で攻める。とにかく相手にゲージを貯めさせない。

 差し合いで若干不利くさいが関係ないさ。

 若干クソゲーにしてでも止める。


「露骨な中段にかかるーう」


 中下段振りながら、飛びにめくりを混ぜる。

 まあ全部ガードは無理。正確にコンボ決めて、ちまちま通常技をあてればよし。

 通常技からきっちり超必殺まで繋いでゲージ二本使う。

 最後に投げて俺の勝ち。


「よしよし問題なし」


「でもゲージないわよ」


「半分あるならいけんだろ」


 あっちは一本ちょい。こっちは半分。引き伸ばすか速攻かけるかだな。

 分身をガードできりゃいいが、正直運がからむ。


「いくわよ!」


 いきなり突進技を使ってくる。こっちはゲージないんだからガードしかない。

 対空は1ラウンドで落とされた。


「甘いわよ」


 分身発動。これがもうマジでうざい。手数増えるし、よく見えねえし。


「人読みでなんとかなるレベルだろ」


「ぐぬぬぬぬぬ」


 よしよし、ガードできてる。ここまであいつの攻め方はほぼ同じ。

 中下段のタイミングもだ。手癖なんだろう。


「中段三連続ー!」


「俺のパクんな!」


 当たってしまい浮かされる。こいつビビるとかないのか。

 女神だからな。折れないメンタルは厄介だ。


「あーあ分身切れちゃった」


 二発目が当たった時点で切れたため、ちょっとだけダメージは少なめ。

 まだ半分は体力ゲージが残っている。


「ほいっと」


 とりあえずなんか見えたら対空でいい。

 振りの大きい技はブロックして、通常技で攻める。


「ここにきて対空振るか!」


 俺の飛びに、対空からの突進で地味に対応してきやがる。


「この応用力こそ人間との頭の違いよ!」


 下段からゲージ技ぶっこんで、なんとか持ち直す。

 いかん、ちょっと飲まれ気味。冷静に距離取って飛び道具。

 ゲージ一本半。よし、殺しきれる。かかってくれるかは賭け。


「これが強キャラの強さよ! 強さこそパワー!」


「どっちも強キャラだろうが」


 ダッシュで接近し、飛び道具発射。

 パンチ同時押しで強化版を出した。必殺ゲージ半分これで消える。


「あっ!?」


 サファイアも咄嗟にブロックするが、強化版は多段ヒット。二発目の対応をミスる。この瞬間を待っていたのだ。


「残念だったな」


 そのまま下段攻撃。そこから超必を入れて勝ち。


「あああぁぁぁ!?」


「ふぅ……危なかった……お前マジでやりこんでやがるな」


「くううぅぅぅ! あの距離でEX出す普通!?」


「お前なら食らってくれると信じていたよ。正直賭けだった」


 久しぶりにやると楽しいな。実力が拮抗していると面白い。


「ぐううぐぐ……もう一回よ!」


「違う格ゲーもやらないか?」


「じゃあこっちのやつで」


 凄いクソゲー指定しやがった。いいだろう。俺が格ゲー。それもクソゲー好きなのを知らんようだな。


「はいわたし緑のやつー」


「うーわきったねえ。俺も緑使うわ」


「運ゲー始まったわね」


「同キャラ戦極めると運ゲーになるとか、最高にクソゲーだな」


 クソゲーはクソプレイで面白くなったり、ガチ攻略でもっと面白いクソゲーになるのでおすすめ。


「その設置ガー不だから」


「愛されボディにガー不が通るですって!?」


「カウンターするのも手だぞ」


「援軍は命より重いのよ!」


「援軍さんが主役まであるからな」


 こうしてサファイアの部屋でエンジョイしました。

 たまにはこういう日があってもいいな。


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