2.スライムループ
ペチャペチャペチャ。
スライムの体を必死に動かす。この体凄い動きづらい。液体だから当たり前なのかもしれないが、精神的に体が不自由なのはきつい。
「フーーハッハッハ。次の標的はお前だぁぁぁ!」
やばい、さっきの幼女の親だ。なんであいつはスライムを狩まくってんだ。勘弁してくれよ……。
いや……ちょっと待てよ。
殺してもらえれば別の種族に転生できるかもしれないよな。そしたら、スライムとはお別れできる、人にだってなれる可能性はある。
そうと決まればドンと来い。
「逃げないとはすばらしぃぃぃぃ!」
彼の剣が俺の体を貫く。痛くはまったくないのでとてもありがたい。剣が体内に入りちょっとムズムズするくらいだ……。
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『スキルを発動します。今回の生存時間32秒。ステータスを一部引き継ぎます』
『転生準備を開始します』
『準備が完了致しました。転生します』
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どうやら、転生に成功したようだ。前回と比べかなり早く感じたが、うまく行ったようで良かった。
転生はうまくいってよかった。
転生『は』うまくいってよかった。
あまりにも信じがたい事実に、思わず二回も言ってしまった。
――ピチャピチャピチャ。
スライム……そう、スライムなのだ。
他種族になるために死んだはずなのに、またスライ厶。
もはや、神にスライムとして生きろと言われている気しかしない。俺にスキルを渡したのは神様のはずなのにさ……。
あ、なるほど。もしかして神はスライムが好きなのか? だから、最初はスライムとして生き。
「成敗ぃぃぃぃぃ!」
ふざけんな、人が長考してる最中に……。
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『スキルを発動します。今回の生存時間19秒。ステータスを一部引き継ぎます』
『転生準備を開始します』
『準備が完了致しました。転生します』
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はぁはぁはぁ、またスライムということは取りあえず置いておこう。今やばいのはあの人間だ。
どうにかしなければ。でも、どうする。
戦闘能力ない=倒せない
足が遅い=逃げられない
スキルない=なにもできない
結論、詰み。
こんなのどうやって逃げるんだよ。せいぜい見つかる前に出来るだけ遠くに移動するぐらいしか出来ない。
ここは草原、遮蔽物なし。隠れる場所もない。300メートルほど先に森があるがあそこまで行くのに何分かかることやら……。
ほら、もうそこまであの家族が……。
「ふぅーーはっはっは。ティナ、次はお前がやってみなさぁい!」
「わかった!」
おお、幼女の名前はティナというのか。別に俺はロリコンというわけではない。この状況では新しい情報は大切だからな。
うーん、体の半分くらいある剣を頑張って持っているのが可愛いな。もしかしたら、ティナちゃんが剣を持ってる間は逃げれるかもしれない。
剣をゆっくり上げて俺の頭の上まで持ってくる。流石に幼女の一発で死ぬことはないだろう。
「ういしょ、えい!」
ほら、スウィングスピードも父親に比べたら大したことないから……つっ!
(いてぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!)
なんだこれ、すげぇ痛い。
確かに1発で死ぬこはないが尋常じゃない痛みだ。もしかして、今まで痛みを感じなかったのは父親が強いからだったのか……。
「よ〜しティナ。もう一発だ!」
「うん!」
え、ちょっ、やめて……。
「えいっ!」
かわいい顔してなんてこと……を…………。
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『スキルを発動します。今回の生存時間43秒。ステータスを一部引き継ぎます』
『転生準備を開始します』
『準備が完了致しました。転生します』
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逃げる逃げるぞ。
もうあの二人にはかなわない。痛みがないならまだウェルカムだったが、幼女の『攻撃』あれはだめだ。
何分かかってもいい、あの森に逃げよう……。
「えいっ! えいっ! えいっ!」
ギャァァァァァ……。
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『スキルを発動します。今回の生存時間12秒。ステータスを一部引き継ぎます』
『転生準備を開始します』
『準備が完了致しました。転生します』
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新事実が判明した。最初は二階だったのが3回になっている。これがステータスの引き継ぎなのだろう。でもね……。
殴られる回数が増えるだけなんだよね!
もう、どうするよ。これ。
「えいっ! えいっ! えいっ!」
あぁ、もう。気付かなかったよ……。
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『スキルを発動します。今回の生存時間18秒。ステータスを一部引き継ぎます』
『転生準備を開始します』
『準備が完了致しました。転生します』
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