日常からの脱獄
朝日とともに目を覚まし、
朝食をとって服を着替え、
支度をして家を飛び出し、
学校に着いて友達と不平不満を言い合い、
退屈でつまらない授業を聞き流して、
母の作ってくれた弁当を食べ、
さよならの声と共に教室を出て、
友達と喋りながら家に着き、
温かい風呂に入って体を温めて、
ほかほかの夜ご飯を母と会話しながらとり、
適当にダラダラと時間を過ごして、
月に見守られながら眠りにつく。
何でもない、特別なことは何もない、そんな平凡で退屈で、しかし平和で優しい日々。たまに心を痛めたり、また踊らせたりと微かな違いはあるものの、大きな違いはまるで無い。
そのことについて悲観的に思うことはないし、自分が可哀想だとも思ったことはない。
しかし、心はいつでも求めている。
新たなる刺激を。今まで味わったことのない高揚感を。
あの眼鏡の魔法使いの少年のように、仲間と共に戦いをのぞむようなファンタジックな世界に行きたい。そうでなくとも、不治の病を抱えながらも愛する人と共に僅かな希望を探すような近そうで遠い非日常の世界に行きたい。
そう思うのはこの年代には仕方のないことだとは思わない?