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ドラゴンプラネット  作者: 葉月 優奈
十一話:人類を飲みこむ巨大樹
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町はいたるところが破壊されて、巨大な樹の根が活動を停止していた。

変わり果てた廃墟の秋葉原を僕たちは疾走していた。

背後から追いかけるニーズヘッグを、僕たちは何とかしないといけない。

いつのまにか小さな愛子に手を引かれて走った。僕のすぐ後ろには結衣。


結局二手に分かれることになった。

僕と結衣と愛子、弘明と棗と冬規。でニーズヘッグが追いかけてきたのが僕たちだ。

いきなりニーズヘッグがブレスを吐いて、攻撃してきた。

真っ赤な炎に、エキドナが咄嗟に僕の手を引く。

エキドナに引っ張られた僕は、跳ぶように走っていた。

いきなり走ったので呼吸が乱れる中、巨大な樹の根を飛び越えていた。


「なんで愛子を?」

「ヤツは知っているのだろう。わらわが唯一ユグドラシルに対抗できる手段を持っているのを」

「てことは……」

そんな僕の隣には足の速い結衣が来ていた。

結衣の足の速さには僕は追いつかないけれど、彼女なりに速度を落としてくれた。


「わらわを守れ」高圧的に言い放った愛子。

隣の結衣は、笑顔になっていた。

結衣が愛子を撫でると、凛としていた愛子はあたふたした顔になった。


「あたりまえじゃない、こんなにかわいいんだもの!」

「えっ……うん」

僕はやっぱり適当に話を合わせていた。


「野高谷よ。助けて……くれぬか」

「はいはい、結衣あまり愛子をいじめるな」

「いじめていないわよ」

なぜか結衣はふてくされていた。

それでも少し遅れて、ニーズヘッグが追いかけていた。

幸いにもヤトノカミよりは動きは遅い。


「でも、こっちは池袋方面だけど……」

「あっ」

倒れた道路標識を見て、愛子は気まずい顔を見せていた。

どうやら逃げる方向を間違えたらしい。


「とにかく、路地に逃げ込みましょ」

そう言いながら、結衣は僕と愛子の手を強引に引っぱった。

近くの細い路地に結衣を先頭で飛び込んだ。そのままスマホを見ながら。


ゲーム画面・・・『ドラゴンモード』秋葉原エリア・秋葉原電気街口


そこは、古き良き居酒屋の横丁が広がっていた。

ドラゴンが出ているのに、そこはあまり変わらない世界が広がっていた。

そんな僕は、赤い提灯の明かりでスマホを見た。


「愛子ちゃん、あれはドラゴンだろ」

「そうだ」

「なら、ドラゴンモードで戦闘できるんじゃないかな」

「頭がいいじゃない、誉!」

サッカー部で学校内で『智の蓼沼』と呼ばれる結衣は、本当に成績優秀なのか疑問に思ってしまう。

慌てて結衣が黄色のスマホを取り出した。


僕たちはドラゴンプラネットの『ドラゴンモード』を開始した。

出ているドラゴン警報は、もちろんニーズヘッグ。

フィールドは、秋葉原エリアで電気街だ。

見える街並みの秋葉原は、今の状態をリアルに映して廃墟化していた。


「出たわね、ボスドラゴン!」

先頭にいきり立つヴァルキリア。

凛々しい女戦士がドラゴンに堂々と向かっていく。


「やっときたな、ノーキン」

「うるさいわね、K・シューター!あたしたちの方にドラゴンが追ってきて大変なんだから」

K・シューターもナツナイトもすでにゲームにログインしていた。


「大丈夫、ゆ……ヴァルキリア、ハルヒメ?」

ナツナイトが心配そうに声をかけてきた。


「大丈夫、あたしは心配いらないわ」

胸を張ったヴァルキリアは、剣を構えてニーズヘッグの方に近づいていく。


「それよりこいつを倒せばいいのね」

「無茶するな、かなり強いぞ!」

K・シューターが言い放った。たしかにニーズヘッグの体力はそれほど減っていない。


「でもリアルでニーズヘッグに捕まったら、あたしたちは殺されるわ」

結衣の言葉は最もだ。

現在スマホ片手に歩き回りながら、僕たちはシェルターの入口を探していた。

少し背後には僕たちを探し回って、ニーズヘッグが空を飛びまわっているだろう。


細い路地に隠れたので、ニーズヘッグは僕たちの位置を捕捉できないでいた。

ニーズヘッグの動きを完全に止めるには、ニーズヘッグになっている人間をバトルモードに取り込むしかない。

それにしてもニーズヘッグは誰なのだろう、純粋に疑問があった。


銀波会計の時にいた執事は自殺していた。

それと冬規に一週間ほど前に送ったメールの主は……一応予約で送ったとも考えられるがピンポイントでは難しい。ニーズヘッグは単独犯で無いと考えた方がいい。

(ニーズヘッグってどんなやつなんだろう)

そんな疑問を頭の片隅に入れながら、僕は走っていた。


「なんかボスボスっぽいわね。こいつはボスボス感が充満しているわ。

こんな充足感は初めてよ、わくわくするわ」

「戦い楽しんでいる暇は……」

「ないわよ、分かっているわよ!」


ヴァルキリアがニーズヘッグのそばに来てオート戦闘を開始した。

K・シューターも射撃を繰り返す。

ハルヒメの僕は当然のごとく回復を担当していた。

だけど、スキルの使用は自分の操作と相手の操作があるので難しい。


「ハルヒメ、回復できる?」いつも心配そうにナツナイトが声をかけてきた。

「……ムズ」

「あたしやろうか?」

「ノーキンのヴァルキリアがやるな、お前死ぬぞ」

「なによ、K・シューターよりあたしの方がダメージ与えているじゃない!」

K・シューターの突っ込みにヴァルキリアがふてくされていた。

そんなヴァルキリアが一撃を喰らうと、かなりダメージを負う。

体力バーが大きく減っていくのが見えた。

僕は急いでスキルウィンドウを開いて、ヴァルキリアを回復。


「ありがと」

「危ないな……」

「ごめん」

回復にはようやく慣れたが、移動しながらの操作は上手くできない。


そんな時、リアルでスマホを持っていない左手が握られたのを感じた。

握った相手は前を走る結衣だ。

「誉は絶対あたしが守るから」

「結衣……」

「誉はドラプラに集中して」

「うん」

僕は結衣に言われると不思議と安心感があった。

『たまだん』随一の運動神経抜群な結衣に言われて、僕は彼女を信じた。


「でも……だったら早く()らないとな。

ヴァルキリア、スキルポイントどれぐらい……」

「……聞かないで」

そう、僕たちはもう一つ大きな問題を抱えていた。

それはスキルポイントが、前回のヤトノカミ戦で消耗した分か完全回復していなかったから。


「それより弘明、後何ポイント?」

「俺は30『煉獄コンボ』一回分、ヴァルキリア、まさか残っているだろ」

「……ちょうど2」

恥らうように言うヴァルキリアに、K・シューターは呆れていた。

攻撃系のスキルがヴァルキリアは多いだけに、火力が落ちると倒す時間が落ちてしまう。


「K・シューターはヤトノカミ戦で蔦の術(バインド)を多用していたからスキルポイントないけど、なんでヴァルキリアのポイントが?」

「スキル上げに使っちゃった、てへっ」

「かわいく言うな」

つまりは、戦闘で余りスキルを使わない。

普段はつかわないスキル上げをするために、スキルポイントを使い切った算段だ。


「でも、ナツナイトだってポイント少ないんじゃないの?」

「私は前回の戦いには参加していませんから、ポイント700あります」

そう、ナツナイトはヤトノカミ戦に参加していない。

冬規の家に戻って竜器を探して、冬規の説得にもあたっていた。


「ハルヒメだって、ポイントないでしょ」

「400かな」喋りながらだと、回復がやっぱり乱れるな。


ハルヒメは元々スキルポイントの最大値が1000近くあるから、回復量も多い。

ちなみに一時間おきに最大値の4.1%回復する計算になっていた。


「……何よ、なんでみんなポイントがあるの?」

「ヴァルキリアが後先考えずに使うからだ、ノーキン」

やっぱり馬鹿にされてふてくされるヴァルキリアだった。


「まあ、ヴァルキリアはアタッカーだし」

「そうよ、あたしの戦いは常に全力勝負よ。そんなことよりジャイアント・キリングは?」

「太先輩は一週間の修学旅行だから」

「メールとか送らないの?東京がヤバイことになっているじゃない」

「……だな」

K・シューターが同意すると、いきなり一人がログインしてきた。

それを見て、僕たち四人は驚きと喜びがあった。

噂していた巨大な男『ジャイアント・キリング』が、姿を現したからだ。


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