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ドラゴンプラネット  作者: 葉月 優奈
十話:つながろうとするRPG
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そこは僕が今までに見たことない、秋葉原の雰囲気がそこにはあった。

エレベーターでビルの七階を行くと屋上にたどり着いた。

その屋上には、どこにでもある小さな小屋があった。

おそらくは、分電盤や発電所の類だろう。


棗に導かれるままに、僕たちはそこに入った。

飾られることもない小屋の重たいドアを開けた棗。


「本当にここに住んでいるのか?」

「うん……ここ」

それはビルの屋上にある電気制御室。

制御室の両脇には、いくつもの分電盤ボックスが見えた。

前にある見たことのある暖簾(のれん)を開けると、見えたのはパソコンが三台見えた。


「これは……」

それは画像で最初に見た暖簾と同じ視点が広がっていた。

機械の音がうるさくて、狭くて、蒸し暑い。

足の踏み場もないから慎重に歩かないといけない。


周りにはフィギュア、三台のパソコンディスプレイ、ゲームの箱が乱雑に置かれていた。とても狭い場所。

だけどこの部屋の主である彼は、今はいないようだ。

それでもパソコン画面がついていた。

右側のパソコン画面は掲示板をついていて、真ん中のパソコンにはゲーム画面。


「本当に誉さんは、彼を助けてくれるんでしょ」

「もちろん、僕は救う気だよ。ナツ、彼の竜器を探してくれ。スマホをかざして赤いのがあたりだ」

僕の言葉に、棗はすぐさまスマホを取り出していた。


「これ、『パンタスタ・オンライン』だね」

「うん。私も冬規と一緒にやっていたから。もちろんフレンドです」

「棗も?」

「冬規のキャラクターが、すごく強くて最強の武器防具持っているから」

なんかそんなことを画像で言っていたな。あの火縄銃みたいなのか。

でもあのゲームコミュニティを覗いても、そんな武器は載っていなかったな。

どういうことだろうか。


「これ、私です」

そう言って出てきたのが背の高い大きな男。よく見ると、耳や顎が尖っていた。

「これがナツなのか?名前が『なつき』と書かれているけど」

「ネナベしているし」

「なんだよ、ネナベって?」

「ネットオナベ、分かりやすく言うと女が男をやっている感じ」

「そっか……て、こんなことやっている場合じゃない。

ナツはパソコンから何か調べて、僕は周りを探すから!」


僕はスマホ片手に周りを見回していた。

竜器を探すには、スマホのカメラ機能で『ドラゴンカメラモード』にして周りを見回していた。

しかし、赤く光る様子はない。見えるところに竜器はない。

だとすると、彼が持ち歩いている可能性がある。

竜器を見つけて、エキドナに渡せば……後はエキドナ次第だろうが。

とにかくここでやるのは竜器を、冬規に見つからないで探さないといけない。


「ないな……」

カメラ画面を見ながら、ため息を漏らす。

「ナツ、あったか?」

と僕が声をかけようとしたとき、棗はパソコン画面を見たまま口だけが動いていた。

まるで魂が抜けたかのような棗の肩に、僕は手を触れた。


「ナツ?」

僕が手を引くと、うつろだった棗の目に光が戻った。

それと同時に、顔を見て赤くしていた棗。驚いたのか、小動物の様に縮こまった。


「えっ、あっ……」

「大丈夫か?」

「うん……ごめんなさい」

「どうしたんだ?変だぞ」

「メールを開いていたら……悪いと思って……でも急に……」

棗の言葉がかなりおかしかった。それは掲示板を開いていた右側のパソコン前。

僕はおそるおそる右側のパソコン画面をスマホ越しに見ると、画面が真っ赤になった。


「なんだこれ!」僕の手が自然と震えた。

「誉さん?」

「スマホ通して見ろ!絶対!直に見るな!」

僕が棗を促して、彼女は黄色いスマホを開いた。

そして棗も驚いた。パソコン画面が、真っ赤になって白い文字がかすかに浮かびあがった。

それは、『危険!!ギアス・メール』と書かれていた。


「『ギアス・メール』?まさか……」

スマホを下げて、パソコン画面を見ようとしたときに急に脳内に気持ち悪さがあった。

スマホを通しても頭がガンガンして割れるように痛い。

言葉が頭の中に迫ってくるかのようだ。

前の画像に見たあの時と同じだった、これが竜器だとすぐにわかった。


すぐさまスマホをかざして、目を逸らした。

スマホ越しでも見るのは気持ち悪い。一体誰が差し出したんだ。

とりあえず、愛子にこのスマホを渡せばいい。ただ、スマホの電源は切っておこう。

冬規の真っ白なスマホを僕は手に立ち上がった。


「これは……間違いない。きっとこれが……」

「棗……がっかりだよ」

そう言いながら出てきたのは、ショートカットの冬規だった。

寂しそうな目で僕達を見ていた。

持っていたもう一つのスマホはスマホ越しに見て、やはり赤かった。



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