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ドラゴンプラネット  作者: 葉月 優奈
十話:つながろうとするRPG
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夕方五時もまだ外は明るい。

一時間後には、秋葉原の町を僕は棗の二人で一緒に歩いていた。

相変わらず人が多いこの町には、学生の姿も目立つ。

大通りを抜け、細い路地を歩くとそこはオタクっぽい男性の姿が見えた。


弘明は、バイト先に戻ってバイトを休む報告にコンビニへ。

結衣は、愛子からいろんな説明を受けているところ。

学校では成績優秀な副生徒会長も、現状の理解は苦手みたいだ。

そんな二人とは、夜六時に秋葉原駅近くのカラオケボックスで合流することにしていた。


「冬規君の家って秋葉原から遠くないの?」

「うん……結構近い」

「彼、冬規君とはどこで知り合ったの?」

「始めはSNS……」

棗は冬規の話をすると少しうれしそうな顔を見せていた。

やっぱり彼のことが今は一途に好きなのだろう。

問題は冬規の方が棗を好きかどうかだけど……それはわからない。


「SNSサイト?」

「そう、始めて話したときから私と彼は似ていたから」

「似ている?」

「今は閉鎖しているけれど彼のブログを見たの。

寂しがり屋で、自分を表現するのが下手で、臆病で……私に似ていた。

私はそんな彼に共感して、親近感があった。私は単純に会いたいと思った」

「それで知り合ったんだ」

僕の言葉に棗は無言で頷いた。


僕とは違う恋の形、棗と冬規は同じ感覚を持っていた。

それは弘明や結衣とも違う恋の形。

人が人を好きになるのに理由なんかいらない。

どんなにひどい人でも、好きになったらそこしか見えない。


「ナツ、冬規君の事好き?」

「うん、でも親からは反対されていたの。

始めて家に連れてきたときに、冬規がとてもそっけなかったから……悔しい」

棗は悔しそうな顔がにじんだ。普段はおどおどしている棗も、冬規の話になると感情的だな。


「棗?」

「冬規は誤解されるようだけど、悪い人かもしれないけれど……本当は寂しがり屋」

「えっ?」

「冬規には両親がいない、家族がいない。冬規は一人で生きていかなければいけない。

彼は本当の愛も知らない、本当の家族も知らない、周りに誰もいないから」

涙ぐんでいた棗の目、小動物のような棗は僕に命乞いをするかのような目で見てきた。


「棗はでも家族だって、友達だって……」

「学校じゃあ誰もいない。私はいつも一人ぼっちだよ」

「棗……僕たちがいるよ」

そんな僕は少し照れながら棗に手を差し出した。


「誉……さん」

「誉でいいよ。僕はクラスだとみんなとそつなく付き合うけど……やっぱり打ち解けなかったんだ」

「えっ、誉さんも?」

「うん、こっちに来たら一から友達作らないといけないよね。

だけど、僕はみんなほど深い友達ができなかった。幸い僕は器用だったから平面上はつき合えたんだけど。

そうやって騙しながら僕たちは過ごしてきた。初めの僕にはドラゴンプラネットもなかった。

それでも僕は今寂しくないんだ、みんなもいるし、クラスの人とも打ち解けたし」

苦笑いしながら僕は打ち明けた。

それを真剣な顔で聞いている棗は、やはり昔と同じだ。


「そうだね。きっと……そうなんだと思う。この世界は」

「えっ?」首を傾げた僕。

棗は二散歩前に出て、右隣にあるゲームショップの看板を見ていた。

それは『つながるRPG』と書かれたあるRPGゲームのイラスト。


「みんなさびしがり屋なの、つながりが欲しい」

「つながり……うん」

「それはきっと、私たち(たまだん)がドラゴンプラネットを続けている理由と同じ。

みんながいるから、こんなひどいオンラインゲームを続けられる」

「そうだね、僕もそう思うよ。

でもそれが、命をかけるものではあってはならない」

「誉……私もずっとゲームを続けて疑問だったの」

うつむいた棗は、ため息をついたようにも見えた。


「棗?」

「弘明さんはドラゴンと戦うことだけが正しいって言いきっていた」

「弘明らしいな」

「でも、私はずっと疑問だった。

それしかドラゴンと向き合う方法がないのだろうかって。

きっとずるいよね、私が急にドラゴンに関係してきたら恐れておののいて……

だってアジ・ダハーカの時は弘明さんや誉さんのところで……」

「あれは救えなかった命だ、だけど分かったんだ。

僕たちは変わることができる、変わっていかないといけないんだ。」

「そうだね、誉さんのおかげ」

「うん、だから彼を何とかしよう。

今回の戦いは僕たちにとって、新しい一歩なんだ」


そして、案内されたのが一つの寂れたビル。

「ここが彼の家」

棗はそう一言いって指さした。見えた七階建ての古いビルの一階には、メイドのイラストが出迎えてきた。

可愛らしいメイドのイラストは、『おかえりなさいませ、ご主人様』と漫画の吹き出しつきで微笑んでいた。



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