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その日、僕たちは行動に起こしていた。
時間はまだ四時あたり、夏の太陽はまだゆっくりと西に傾いていた。
この時刻だと、日没は七時ごろになるらしい。
豊洲の棗の家は二階建ての一軒家。棗の部屋に通された僕たち四人。
綺麗に片ついた棗の部屋は、ゲームとパソコンが一台ずつ置かれていた。
それ以外はテーブル、鏡、タンス、デスク、ぬいぐるみ、一般的な女子の部屋。
「棗、僕は君にどうしても話さないといけない」
僕一人だと、通してもらえなかっただろう。
でも結衣も、弘明も、愛子もそこにいた。僕は一人じゃない。
人見知りの棗の部屋に通されて、僕は棗と小さなテーブルを挟んで向き合っていた。
「紹介するよ、彼女がエキドナの愛子だ」
僕は愛子を棗に紹介した。いつも通りの無表情な愛子は、よそよそしく頭だけを下げた。
「……私は『親園 棗』」
緊張してか、もじもじしている棗の姿。
愛子はそれでも無表情で、長袖のブラウスの棗はうつむいてしまう。
「誉さん……本当に助けられるの?」
「それはおぬし次第だ、棗よ」返したのは愛子。
「じゃあ、早速助ける方法を教えろ。もっと具体的なやつ」
弘明がしびれを切らして、愛子に迫ってきた。
それでも落ち着いた表情で、弘明を軽くあしらう愛子。
「まあまて。まずは冬規が持っている竜器を探すこと、破壊しても構わぬ」
「冬規の竜器ってなんだ?」
「知らん」愛子は容赦なく突き放した。
「教えろよ、お前はエキドナだろ!」
「無理だ、わらわはドラゴンであって神ではないからな」
「秋葉原……」
一言、そうつぶやいた棗。
「秋葉原?」
「冬規は秋葉原に住んでいるの、同じ学校で違う学区の生徒だから」
棗が言った瞬間、僕達の次の行動は決まっていた。




