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ドラゴンプラネット  作者: 葉月 優奈
九話:二つの選択を打ち破る意志
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初めてやることには、常に不安がつきまとう。

みんなは、ドラゴンと戦うという選択肢があるのなら戦うことを選ぶ。

それを変えるには勇気がいって、変えるには大きなリスクを背負う。


だけど僕は知ってしまった。

これはゲームであって、ゲームでない。

命のやり取りがあり、殺し合いなのだ。

わずかな判断ミスや失敗は、死に繋がる。人生にコンテニューもロードもない。

そう考えるとエキドナの言う『人生はゲーム』というのは嘘だ。


そして僕は学校から真っ直ぐ自宅の部屋へ集めていた。

制服姿の僕と結衣、それから弘明。三人そろうとやっぱり狭い。

今日も両親はいなくて、妹は新作ゲームをやっているのか部屋にこもっていた。


「誉、棗の彼氏が本当にヤトノカミなの?」

「マジかよ、それ!」

結衣と弘明に話した。事の経緯を話して、結衣と弘明は驚きのリアクションを見せた。

結衣はよく知っていたらしく、不満そうにうなずく。

だけど弘明は、あまり彼のことをしらない。


「じゃあ早速倒しに……」

「倒さない!」

「なんでよ!」当然不満そうな結衣。

「誉がこんなことを言うんだ。何か考えがあるんだろう」

弘明は結衣と違い、落ち着いた様子で僕を見ていた。


「うん。僕はどうしてもヤトノカミを助けたい」

「でもどうやって?ドラゴンは野放しにしたら被害が大きくなるわよ」

「分かっている、でも助けたいんだ。結衣、銀波会計のことを覚えているか?」

「えっ……うん」

結衣の顔が急に曇った。

生徒会役員だから、結衣も銀波会計の名前を出すと心が揺さぶられた。

そのドラゴンを知らないで結衣たちは戦っていたんだから。


「僕はドラゴンと殺し合うのは、間違っていると思うんだ」

「相手が分かっているなら、どうやってドラゴン化を止める?」

「方法はある。まずは紹介したい人がいる」

そう言って部屋に呼び寄せたのが、小さな小学生の女の子『九石(さざらし) 愛子』。

いつも通り憮然とした顔で愛子は、威圧感があった。


「わらわがエキドナこそ九石 愛子だ」

「えっ、何この子!」

大きな声を上げた結衣は、すぐさま愛子を抱きしめた。

いきなり近づく巨乳の結衣は、笑顔で愛子を撫でてあげた。


「やばっ、すごいかわいいだけど。よしよし」

「ううっ、苦しいぞ」

巨乳と腕の力で顔を挟まれた愛子。

僕の隣では、弘明がちょっとうらやましく見ていた。


「愛子ちゃんっていうんだ、かわいいっ」

「ううっ、野高谷……助けろ」

「えっ、ああ、そうだな。結衣」

「何?この愛子ちゃんがなんだって?」

「それがエキドナだ。ドラゴンプラネットの創造者(クリエーター)だ」

「へっ?またまた冗談でしょ」

全く信じていない。愛子は苦しそうにバタバタと手足を振っていた。

でも結衣は全く気づかないで力いっぱい()でていた。


「俺もにわかに信じられない」

「僕も最初はそうだった、でも愛子は黒いスマホを持っている」

「あら、ほんとね」

そう言いながら、愛子が右手に持っている真っ黒なスマホを見てようやく結衣は解放していた。

襟を正して愛子はいつも通りのよどんだ目を見せた。


「で、愛子がエキドナとしてどうなるんだ?」

「エキドナは、ドラゴン化を止める方法を知っている」

「……まあ努力するのは、おそらくヤトノカミに一番近いナツナイトだが」

エキドナは黒いスマホで、心配そうに見ていた。


「だから二人とも頼む。今から棗の家に行こう。

棗を説得するのに協力してくれ」

僕は結衣と弘明の前に手を出した。

それは晴海に告白をしたときの様に、頭を下げて両手を二人の前に差し出す。


「誉はそういうところが……なんかいいのよ」

先に口を開いたのは結衣だった。すかさず僕の手をとってくれた。


「銀波会計みたいな最期、嫌だもんね。棗を悲しませたくないもんね」

「結衣……」

「だからあたしも誉に協力する」

結衣は笑顔で僕に言ってきた。残るは弘明だ。

しかし弘明はしばらく動いていない。じっと僕を見ていた。


「俺に一体何ができるんだ?」

「弘明……」

「みんなで今までと同じ群れたところで、棗の心は動くのか……

棗はずっと戦ってきた、戦う事しか知らなかった」

「動くよ。僕達ならできる、始めはみんな自信がないんだ。

だからずっと戦うことしかしてこなかった。でもそれを変えないといけない。

僕たちは、僕たちのやり方でドラゴンと戦っていくんだ!」

「誉……そうだな。ちきしょう、晴ねえが誉を選ぶわけだ」

悔しがりながらも弘明は僕の手を力強く握った。僕は顔を上げて彼を歓迎した。


そう、それは僕達の新しい決意だった。

それを愛子はすこし遠くで見守っていた。

だけどすぐさま結衣が、愛子の手を強引に引っ張っていた。


「わらわも行くのか?」

「もちろんよ、愛子ちゃん。お姉ちゃんと一緒に行きましょ」

結衣の笑顔に、なぜか愛子の顔が引きつっていた。



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