78
翌日の僕は彼女にメールを送っていた。
休み時間、図書館の個室に来ていた僕はスマホをずっと見ていた。
しつこく聞いてくる結衣をまくのには時間がかかったが。
『ドラゴンプラネット』で僕はハルヒメで待っていた。
チャットルームのホスト役で僕は、誘った相手を待っていた。
このアドレスのことは、僕と送った相手しか知らない。
そしてやってきたのが金ぴかの鎧の少女。
「ナツナイト、来たね」
「ハルヒメ……何か用?」
「今、学校からチャットをやっているよね」
「うん、休憩時間です。ハルヒメ」
チャットルームは僕と棗しかいない。
わざわざパスワードをかけてほかに入れないようにしていたから。
僕が誰かをチャットルームに誘ったのは初めてだ。
「ナツナイトはヤトノカミが出た後に、ストーリーモードクリアした?」
「えっ……うん」
「ナツナイトは、クリアしたらGPSが出て来るんだよね」
「……そう」
「地図を明日あったら教えてもらえるかな?」
「ハルヒメもクリアしたんでしょ」
「ああ、分かっているさ」
ハルヒメの僕はナツナイトをじっと見ていた。
ナツナイトは難しい顔で、ハルヒメに近づいていく。
「ナツナイトは、GPSどのあたりが出たの?豊洲、秋葉原?」
「私のは……豊洲かな」
「僕は秋葉原で会ったんだよ、ヤトノカミに」
「秋葉原も出たんだヤトノカミ……」
「そう、しかも僕たちは彼に出会っていた」
僕の言葉に、ナツナイトは二歩後ろに下がっていた。
そうか、やっぱり知っていたんだ棗は。
「何の冗談?」
「いや、棗はいつから知っていたんだ、ヤトノカミの正体」
「とうとう知ったのね!誉さんは……」
「ナツナイト、僕は彼も助けたい。冬規君も!」
「帰って!」
あっさり拒絶したナツナイト。激しく言い返した。
そのまま後ろずさりするナツナイトに僕は無理矢理ハルヒメを近づけた。
「僕は冬規君を助ける。そのためには、棗の協力が……」
「私を馬鹿にするんでしょ、私はいつもダメンズ好きだから」
「違う!僕はみんなを助けたい!
棗も冬規君も助けたいんだ。晴ねえみたいになりたいんだ」
「嘘よ!ドラゴンになった人間を助けるなんて……」
「助ける方法がある、エキドナを知っているか?」
「エキ……ドナ?ドラゴンプラネットの管理者?」
「そうだ。僕はエキドナにこの前、初めて会ったんだ。
そこで僕はドラゴンについていろいろ知った。
竜器の事、ドラゴンの事、なぜ僕たちが戦わないといけないか。
そして僕は知ったんだ、ボスドラゴンを……ヤトノカミを救う方法を。
だからヤトノカミを救う術を知っている。そのためにナツには……」
「無理よ……そんなのしたことがないもの!」
昔から棗は弱気な性格だ。いつもながらに投槍で、前に踏み出せない。
それでも僕はどうしても食い下がった。
ドラゴンと本当に戦ったら、どちらかが死ぬまで戦わないといけない。
銀波会計みたいな最後を二度と見たくない。
「僕は未来を……」
「そんな方法があるなら、私が何とかするの!
私は昔より強くなったんだから!昔の私と違うんです!」
ナツナイトは最後にそう言い放って、チャットルームを逃げるように立ち去った。




