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ドラゴンプラネット  作者: 葉月 優奈
九話:二つの選択を打ち破る意志
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――人ごみの音が聞こえ、談笑が聞こえた。

前回の画像と違って、画像の雰囲気が明るかった。

どうやらドラゴンである人物は、椅子に座ってスマホを見ていた。

見える画像は何かの掲示板らしい。文字が流れているが流れがものすごく速い。


「そっか、苦労したんだね」

スマホを持った視点で、どこかで聞き覚えのある声が少し遠くから聞こえた。

この声は男だ。ちょっと穏やかな感じの声だ。


「うん、三年は昨日から修学旅行なの。福岡に行くらしい」これは女の声。

「福岡って結構遠いよね」聞き手の男の声。

「一週間行ってくるみたい、私立だから」

(何となくだけど、この会話は覚えている……)


一瞬だけ視線がスマホから上にあがった。

そこにはテーブル。

見えたのは飲みかけのカフェ・ラテも、アップルジュースも見えた。


視線を上げたかと思うと、すぐに視線を落とす。

スマホの画面には、あることが書かれていた。


『氏ね氏ね氏ね』

それは衝撃的だった。掲示板に書き込んでいたんだ。

ネットで見たことがある。『死』よりも『氏』を使って不満をぶちまけるネットの隠語みたいなものだ。

どうやらドラゴンの主は、相当怒っていた。


でも、僕はこの感覚を何となく思い出しかけていた。

散々『氏ね』と書いていた男は、飽きたのか届いているメールを見始めた。

開いたメールを見た瞬間、画面がぼやけた。


(なんか、急に画面が……おかしいのか?)

僕はスマホの画面を拭いたけれど、治らない。どうやら視界そのものがぼやけたらしい。

眠気でも襲ってきたのか、まぶたが閉じられようとしていた。


(どうなっているんだ?)

しばらく目を凝らして見ていた。

すると視界のさえぎられる目と目の間から、浮かび上がった機械的な赤い文字が見えた。


『お前は、あいつが嫌いか?あいつがいると彼女を取られるのか?』

そう書かれていた。その文字を見た瞬間、僕の頭がグラグラした。


(なんだよ、この画像……くそっ)

急な偏頭痛が僕に襲う。心臓の鼓動が嫌になるくらい早く感じた。

まるで自分の体が、操られるんじゃないかというそういう気分だ。

そのあと、書かれた文字は3D映像の様に画面手前に迫っては消えた。


『だったら、お前は自分をもっと表現しないといけない。

コロセ、コロセ、そこの男を、野高谷 誉を』

再び書かれる文字は、まるで襲ってくるかのようだった。


(……ダメだ!画像を止めよう)

そう思って指が画像停止ボタンに近づいたときに、文字が消えた。

どうやら視点者のドラゴンである人物が、メールのページを変えたらしい。


それと同時に不思議な頭痛も収まった。

画像を見ただけで呼吸を乱していた僕は、必死に呼吸を整えていた。


(なんなんだ?これは)

それから間もなくして光が戻った。見えたのはスマホ。

スマホの画像に映し出されたのは、掲示板だけどある分が追加されていた。


(通り魔殺人の予告……)

それは驚いてしまった。

『明日夕方六時、豊洲ショッピングセンターで通り魔します。

みんな殺すよ、止めたかったら謝れ。社会はこの僕に』

その瞬間、通り魔予告とヤトノカミがはっきりとつながった。

後は誰なのか……だけどすぐにわかった。


「ねえ、そろそろ帰ろうか」

この女の声で僕ははっきりわかった。声の主はよく知っている人物だから。



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