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ドラゴンプラネット  作者: 葉月 優奈
九話:二つの選択を打ち破る意志
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あれから一時間後、僕は自分の部屋に戻っていた。

僕のマンションにはまだ誰も戻っていない。

妹も友達の家に出かけていて、両親は働きに出かけていた。


整理するまでに時間がかかった。

ベッドの上で愛子はチョコバナナがささっていた割り箸を、口惜しそうな顔で見ていた。

そんな上から見下ろす愛子を、床に座る僕はじっと見ていた。


豊洲で僕は見た。しかも二匹のドラゴンを。

透明で足の速いドラゴンと、青く小さなドラゴン。

しかももう一匹のドラゴンは、あの愛子だったのだから。

でも頭の中で整理ができない僕は愛子に聞こうとすると、いつも通りのよどんだ目で、

「お腹空いたから、チョコバナナ買って」と結局十本のチョコバナナを買わされていた。


僕の財布の中の貴重なお札が三枚全部消えていた。それでも愛子は話してくれない。

結局僕は愛子を自宅まで連れてきたのだ。

最後の一本を食べ終えた愛子は、寂しそうな顔を浮かべていた。


「愛子ちゃんは、ドラゴン……」

「その前に言うことがあるだろう。野高谷(のごや)は高校生なんだから」

「えっ?」

「そうじゃないだろう、礼だ」

「助けてくれて……ありがとう」

「よいだろう」


納得したのか首に下げたポーチを持った愛子は、ピンク色のポーチを広げた。

よくみると、そのスマホは黒くて僕の……いや晴海のと同じ型だった。


「同じスマホ……」

「野高谷は、『鐙塚(あぶつか) 晴海』からスマホを引き継いだのだろう。

エキドナであるわらわに分からぬことはない」

「えっ、ちょっと待って……愛子ちゃん何を?」

「エキドナじゃよ」

僕はその名前を聞いて驚くしかなかった。


『エキドナ』……それは『ドラゴンプラネット』を作った人物。

だけど、ドラゴンプラネットは五年前にできたゲーム。

どう考えても矛盾が生じてしまう。愛子はなにせ七歳だから。

いつも家の前を通る時は、女の子なのに逆行して黒いランドセル背負っていた小学女児だ。


「何か不満でも?」

「不満て言うか……エキドナって」

「野高谷の頭では、理解に苦しむだろうな」

「うん……いろいろおかしいなって。つっこみどころが満載だし」

「別におかしくはない」

「えっ?」

愛子の言葉に、僕は単純に驚くしかなかった。

そんな愛子は真っ黒なスマホを見せてきた。


「いずれ話す時が来る、今はヤトノカミのことが先だ。

ヤトノカミの活動は、アレの復活が早まってしまうからな」

「アレの復活?どういうこと……」

「おぬしは晴海のスマホなのだろう。ならば調べられるはずだ。

ストーリーを調べてみよ、野高谷を殺そうとした相手をあぶりだすのだ」

「あぶりだすって……」

「ヤトノカミは、野高谷をまっすぐに狙ってきた。そしてお前を殺そうとした。

きっとヤトノカミとお前との間に何かあるはずだろう」

「僕はドラゴンに恨みを買うって……なんだろう?」

「知らぬ、わらわは野高谷の事はよくわからぬ。

だが、あのドラゴンとは何らかの接点があるのだろう。

野高谷が持っておる鐙塚のスマホなら、問題なく動画が見られるはずだ。

ほかのスマホと違う、鎧塚には『ドラゴン視アター』があるのだからな」

「……えっ、うん」

僕は思わずうつむいてしまう。


何気なく見ていた画像は、晴海が命を削って手に入れた機能だ。

そう思うと、僕はピンク色のスマホを見始めた。

ドラゴンプラネットを起動して、ストーリーモードを進めることにした。



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