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秋葉原、それは東京のほぼ中央にある電脳都市。
独特な文明の発達、または外国人の観光地としても有名。
かつては電気街で有名だったらしいが。
今は綺麗な高層ビルが立ち並んだ町。
古くの電気街も少しあるけど、朝早くても人がごみごみしていた。
なにより、彼女の晴海が大好きな町で僕を初めてデートで連れて行った場所なわけだが。
朝七時でもサラリーマン風の男が駅改札から出てくる。
真っ直ぐに僕は妹の買い物先へ向かった。
『ソルティック』というゲーム販売店で見つけた行列。
周りがほとんど女子で、僕の存在は明らかに浮いていた。
開店時間十時だよな、それでも行列は二十人ぐらいいた。
三時間並んで、ようやく妹の買い物が終えた僕は近くのカフェに来ていた。
(終わったか……)
そこは秋葉原のメインストリートが見えるカフェの二階。偶然にも開いていた窓側に一人で座っていた。
戦利品のBLPCゲームを、持ってきた大きなカバンに入れていた。
さすがに誰か知り合いに見られたらまずい戦利品。
棗と彼氏も一緒にこの駅に降りたので、秋葉原のどこかにいるはずだ。
カフェ・オレを頼んで三十分間、僕はまだ午前中のカフェで粘っていた。
(午後まで暇だな……どうするか)
僕にとっては暇つぶしが問題だ。秋葉原から帰るのも、午後になるまで
スマホの『ドラゴンプラネット』もレベル上げができない。
行動力が全然回復していないし。
そんな僕は運悪く棗をメインストリートで見つけた。
隣にいた彼は、相変わらず重そうなリュックを背負っていた。
手提げ袋を彼と棗が重そうに持って歩いていた。
(どうする?追いかける?)
再び太の言葉を思い出した。
『棗を助けてほしい……棗は騙されているだけなんだ』
メールにはそう書かれていた、そして添付された写真は紛れもなく彼だった。
頬がこけて、痩せていて、大きなリュックをいつも持っていたオタク系男子。
顔を見ても間違いなく同じだとよくわかった。
リュックの彼は太が言うダメンズ、棗は騙されているらしい。
棗に相談したけれど、そのメールを太が見て僕に返信してくれた。
だけど、棗とは今の僕には昔ほどの関わりがない。学校だって違う。
そんな僕は悩んでいると、いきなり通りから棗が消えた。
(あれ……どこに行った?)
だけどすぐにわかった。それは僕の背後から聞こえた声。
「誉さんも来ていましたか……」
棗が僕を見つけたから、ものの一分もかからなかった。




