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ドラゴンプラネット  作者: 葉月 優奈
七話:小さな恋の話
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豊洲の街並みがイラストで再現されていたエリアから、チャットルームへ。

僕はまだハルヒメのままでチャットルームへ。

晴海の団地の部屋が、今まで通りリアルに見えた。

ドラゴン警報が解除され、平和な時が流れてきた。


一方リアルではコンビニに残っていた僕。

冷蔵庫の前で、スマホをじっと見ているわけだが。

そういやあ、バイト中の弘明はスマホをしまって仕事をしているな。

よってK・シューターはいるけど、ほとんどインはしていない。

当然のことだけど僕の話し相手は、


「なによ、あたしに恐れをなして逃げたのね。チキンじゃない」

不満そうなヴァルキリア。だけど『ノーキン』と突っ込む弘明のK・シューターはほぼ無言。

離席マークを出していて、ログを垂れ流しているだけらしい。


「ヴァルキリア、逃げるボスって今までいたの?」

「さあ、あったことないわね。ボスドラゴンは、いつもボスボス感があったし」

「ボスボス感って?」

「そのままよ、ボスボスって空気があるの」

「よくわからん」

ヴァルキリアの言っていることは時に理解不能だ。

フィーリングで何となくは理解できるけど。

これが有明高校一の才女とはとても思えない。


「まあ、あんなに逃げるドラゴンはいないって事だろ」

「そういうこと。『ヤトノカミ』だっけ?ボスボスしていないんだから」

「ヤトノカミ、襲ってこなくていいじゃないか」

「何よ、襲ってきた方がいいじゃない!」

「でも、あのヤトノカミって現実に現れているドラゴンなんだろ」

「……それも、そうね」

ようやくヴァルキリアは納得したようだ。

銀波会計の件もあって彼女なりに少しは考えるようになった。


そんなヴァルキリアの結衣を、リアルのコンビニで仕事(バイト)している弘明は好きだ。

レジ打ちの佐藤さんは、いつの間にかコンビニから姿をくらましていた。

どこに行ったのだろう、彼女のことを傷つけた事実だけを残してすごく心配になっていた。


「弘明もどうやらバイトに戻っちゃったし、誉は今どこにいるの?」

「あ、僕も弘明と同じコンビニ」

そう言いながら、コンビニでコーラ一本を買って出ていくところだけど。

レジ対応には、別の店員が対応していた。

年齢的に四十代のおばさん明らかな主婦だ。

どうやらこの時間帯のシフトリーダーらしい。


「そっか、じゃあ弘明と一緒にいたのね。あたしは今、家にいるのよ」

「まあ、そうなるな。大体結衣は家でなにしていたんだよ?」

「昼寝よ。昨日は寝るのが遅かったから」

「ナツと長電話していたんだろ」

「あら、よく知っているわね」

ヴァルキリアの結衣は、驚いたリアクションを見せた。


僕は朝にナツにメールを送った。

夕方にナツからメールがかえってきた。

『ありがと、誉さん。昨日結衣と長電話して眠かっただけ。

いろいろ結衣には相談に乗ってもらえたから、もう大丈夫』と返事が返ってきた。

棗はただの寝不足だけみたいで、少し引っかかったけど一安心していた。

彼女はもうたまだんの時みたいに一緒にいない。これ以上関わるのはよくない。


「大体何で電話なんか?メールで済ませばいいじゃないか」

「メール?何言っているの?電話することに意味があるのよ」

「なんで?」

「だって、いろいろあるじゃない。学校でムカついたこととか。

面白いこととか、ファッションとか、あとお気に入りのゲームね」

ヴァルキリアが話すと、やはりいまどきの女子だ。

こんなひどいゲームをしていても結衣は、やっぱり普通の女の子なんだ。


「好きな人とかも?」

「……それは内緒」

「なんだよ」

「いいじゃん、あたしだって。誉、あたしもコンビニとうちゃ~く。どこ?」

「僕はもういないよ」

いつの間にか僕は、マンションへと戻っていた。

買っていたコーラのペットボトル片手に、マンションのエレベーターの中だ。


「なによそれ、騙したわね!」

なぜか結衣は不機嫌な声で言い返していた。

結衣の不機嫌を僕はやっぱり理解できなかった。


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