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――いつの間にか僕は海浜公園に来ていた。
霧がかかった海浜公園は、海がよく見えない。
集まった人は海を見ていた。しかし濃い霧の先はうまく見通せない。
霧の上から見える太陽の光が徐々に強くなって霧を晴らしていた。
持っていたピンク色のスマホ、メールを受信して震えていた。
『この世の終わり……』そう書かれていたメール。
立ち尽くした僕は徐々に晴れる霧の先を見ていた。
そして、海の中にたたずむ一本の棒が見えた。
それは単なる棒じゃない。巨大な樹だ。巨大な樹が遠く遠くに見えた。
新しくできた自立式電波塔のツリ―……よりも大きいだろう。
霧が晴れていくと、幹のようなものがこっちに伸びてきた。
「離れろ!ここは危険だ!」
海浜公園にいた誰かが叫んだ。
そして霧の先にいた幹が、伸びていって次々とそこにいた人の体を掴んだ。
巨大な樹の幹に捕まれた人々は、次々と樹の方に体ごと引っ張られていく。
「シェルターに逃げろ!」
誰かが避けんでそこにいる全員が、逃げようとしていた。
だけど次々と人が巨大な樹の方へ連れて行かれた。
一人きりの僕は動かなかった、決して動けなかったのではない。
驚いた顔で僕はスマホを見ていた。
「残念ながら人類は終わりだ。お前たちはよくやってくれた。
ユグドラシルはこの星の意志だから」
一通のメールが来ていた、差出人は『エキドナ』。
信じない、僕は信じたくない。
前をまっすぐに見ていた、霧にたたずむその樹を。
人の叫び声や悲鳴が、海浜公園に響く。まさに地獄絵図。
彼等の恐怖の声が、巨大な樹の根に捕まれて巨木の元に引っ張られた。
そんな僕の方へ巨大な樹の幹が迫ってきた。
虚ろな顔の僕は大きな抵抗することなくその根に捕まれた。そのまま体が持ち上がって引っ張られた。
水上スキーの様に海の上を飛び越えて見えたのが大きく見えた巨大な樹の幹。
ビルよりも電波塔よりも大きく見えた巨大な樹は真っ黒い渦が巻いていた
(このゲームは……ゲームオーバーなのか)
そう思いながら、僕は巨木の巨大な渦にまるでゴミの様に放り込まれた――




