47
夜の体育館で僕は結衣に会った。
泣き出しそうな結衣のいきなりの登場に、僕は戸惑っていた。
静かな体育館に、拾い上げたスマホを僕は見ていた。
「無事でよかった……誉!」
「結衣……どういうこと?」
「誉が頑張って捜索しているのを聞いたら、いてもたってもいられなくて」
「でも、兄さんのところで……」
「うん、だから急いだの!」
半泣きしそうな結衣、制服姿の結衣は僕のことを抱きしめた。
相変わらず力強く抱き返してくる結衣に、僕は顔をちょっとだけ赤くした。
「おい……結衣……無理だろ。いくら人がいないとはいえ……」
「うん、誉。ごめんね」
「いや、だからこういうのじゃなくて……一人で来たのか?」
「あたし一人じゃない」
そういいながら、結衣は体育館の床に置かれていた緑色のスマホを取り出した。
そこに映っていたのは、ジャイアント・キリング。
「太?」
「そう、太と一緒に来たの。あたしに協力してくれたの」
「でも結衣……銀波会計が……ドラゴンに……」
「誉は優しすぎるよ!」
結衣は浮かない顔で、自分の持っている青いスマホを見ていた。
やはり太と同じ型のスマホで、特殊なモノだ。
「ねえ、誉」
「何?」
「なんでバトルモードにすぐしなかったの?」
「そりゃあ、バトルモードにしたら勝者しか出られないから」
「ダメよ!」
その時の結衣はとても怒っていた。眉間にしわを寄せて、僕を指さしてきた結衣。
思わず僕は「ごめん」と謝ってしまう。
「このゲームは、楽しいゲームじゃないんだから」
「そんな悲しいことを……」
「だって相手はドラゴンよ、多くの命を奪ってきたドラゴン。
人の心につけいっては、魅了していく……ただの敵」
そういいながら、結衣は落ちていた緑色のスマホ画面を僕に突き出してきた。
「もう、行くわよあたしたちの戦いが始まるから。
太は五対五のバトルを仕掛けているから……覚悟を決めて」
結衣はそう言いながら、ポケットから自分の黄色いスマホを取り出してバトルモードにログインした。
結衣はその瞬間に、僕から見えなくなった。
僕は自分のピンクのスマホ画面を見ていた。
そこで、バトルモードへの参加メッセージを見ていた。




