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僕はまだ学校にいた。
夕暮れから夜になる学校、会議が終わったのは六時半。
銅林会長の無駄話で、最近は会議のまとまりが悪い。
こうしてみると金森会長が、いかにうまく会議をまとめていたかがよくわかる。
僕がいるのは渡り廊下。
背中に渡り廊下の柱につけて、後ろを振り返っていた。
柱の影に隠れて尾行をしていた、相手は銀波会計。
ブレザー姿で、鞄を両手で抱えて先生と廊下で話していた。
どこにでもいる少し知的な女子生徒と変わらない。
でもドラゴン視アターに写ったのが彼女だ。
本当に彼女がアジ・ダハーカならば『バトルモード』をすればいい。
だけど、バトルモードをすればどちらかが倒れるまで戦わないといけない。
それは命を懸けた最終手段。
それに彼女のことを信じたくもなかった。
(だから彼女がアジ・ダハーカでない、本当のアジ・ダハーカを探すしかないんだ)
銀波会計が楽しく中年男性教師と話を終えると、一礼して体育館の方に向かっていく。
僕は少し距離を取って体育館の方に向かっていく。
この学校にある一番古い体育館は、おそらく今の練習でバレー部が使っているはず。
(体育館?この時間だと部活……)
第一体育館へ向かうと、銀波会計は奥の方に進んでいく。
僕の予想通り、バレー部が練習をしていた。
最初にできた学校で一番古い体育館で、学校できた当時からあった。
そのまま、僕が銀波会計を追いかけて素通りしようとしたとき、
「あれ、野高谷じゃん」
バレー部の男子の一人が僕に声をかけてきた。
一瞬背中がビクッとなって声の主を振り返った。
そこにはクラスでそこそこ仲のいい男子。
ジャージ姿で近づく彼に、僕は「黙って立ち去る」勇気がなかった。
そんな僕を知らずに銀波生徒会長は、倉庫の方に消えて行った。
結局僕は、そこで運悪く無理矢理談笑につき合わされていた。




