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ドラゴンプラネット  作者: 葉月 優奈
五話:傷つく者の戦う意味
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僕の姿は翌日、放課後の生徒会にあった。

学校では普通に授業を過ごして、それでも頭はあの画像のことを考えていた。

最後にタブレットに一瞬映ったのは、やはり『お嬢様』と呼ばれた少女の顔だ。

衝撃が走った僕は、どんなことをしても忘れることができなかった。


それ以上に思い出されるのが、金森会長の最後。

区役所で倒れていた彼の姿があった。

タブレットに映った少女の顔は、本当に『アジ・ダハーカ』ならば僕は戦わないといけない。

いけないいけない……僕は決めたんだ。

信じられない事実だけど、もう一つ調べないといけないことがあった。

それは『ドラゴンコイン』の場所。


学校で何気なくしていると、生徒会の集まりに来ていた。

銅林新生徒会長は今回から中央に座っていた。両脇は席が空いていた。


「今日も蓼沼は来ていないのか」

銅林生徒会長の言葉に、結衣のクラスメイトの男子が答えた。


「今日もお休みです。本人は体調がすぐれないとか」

「ふーん、まあ始めるか。今回は体育測定会の件だけど、前任の引継ぎでいいよな。

なんつうか面倒くさいし、なにより……」

「なんですか?」

銅林生徒会長が不満そうに反対側の女子を見ていた。

そこにはクールに眼鏡をかけた銀波会計が、行儀よく座っていた。


「俺はあんなケチ臭い元会長ほどではない」

「ケチ臭い?」

「ああ、なんでも予算を数パーセント余らせるとか、金にやたらと細かいんだよ」

「会計としては、前任はよく考えていたと思います」

「大体人の金だろ……この金は俺たちが出すもんじゃ……」

すると、周りの視線が銅林生徒会長に刺さっていた。

周りの目も明らかに銅林生徒会長を軽蔑の目で見ていた。

それを見るなり、空気が気まずくなった。すかさず


「銅林 前任愚痴で 胃がいたい」銭戸書記が句を詠んだ。

「銭戸、なに変な句を詠んでやがる!」

「いえ、和ませ俳句でしょ。季語は銅林」

「よくわからん」

微妙な空気になってしまったが、銭戸書記なりの気遣いなのだろう。

そんな僕はずっと疑念を持ちながら会議に参加していた。


(何を疑っているんだ、僕は……)

頭の中で、あの画像のことをまだ考えていた。

生徒会なのに、生徒会……金森会長……コイン……


「それより、野高谷」

「は、はいっ」呼び出してきたのが銅林会長。

「いきなりで悪いが、野高谷は蓼沼と同じ中学だそうだな」

「まあ、同じ中学だっただけ……です。何ですか?」

いきなりの質問に、僕は背中が凍る思いがした。


「玉……南中だっだかな?」

「今の話と何か関係があるんですか?」

「いや、なんでもない」

銅林会長はなぜか冷や汗だ。なんだろう、すごく嫌な質問をされた気分だ。


結衣の素性はネットで流れて、みんな知っていた。

結衣がブラコンなのも知っていた。

それが僕にとってものすごく嫌だった。


今まで結衣に対して自分の優位にあったものが、急にみんなと同じ同等の扱いに変わったから。

知らない結衣の素性を、みんなが知っていることは僕にとっていやでたまらなかった。


「まあ、この学校も……その……なんだ。遠方から来ている学校組っていうのがある」

「銅林 話そらして 汗をかく」

「また、季語は俺か?銭戸」

「いや、汗」

「よくわからん奴だ、変なところで話を折るな。

いいか……最近俺も考えていたことがあったんだ」

「珍しいですね」


ある意味ノーキン系の銅林生徒会長。

柔道じゃあ都内の高校生でも右に出る者はいない、無差別級の王者。

金森生徒会長曰く、『智の結衣』『武の銅林』の位置づけらしいが。


「その……なんだ遠方組のことも考えて学校も動いた方がいいと思う」

「おおっ、まともだ」

「なんだよ、そのやる気のない拍手は!」

生徒会役員のメンバー全員が、銅林生徒会長に乾いた拍手を送った。


「とにかく……だ。今後金森元会長のような被害者を出さないようにするために……

生徒会では通学ルートを調査することにしようと思う。

金森元会長は渋谷組だ、蓼沼は玉地区から来ていて……」

「結衣は……いえ蓼沼さんは今、台場です」

僕は理解してそうもない銅林会長に言った。

すると、なぜか少し驚いた顔を見せた。


「ぬわにっ!」

「銅林 生徒会長 失格です」

最後に銭戸書記がオチまでつけていた。

そんな俳句を聞きながらも僕はずっと彼女を見ていた。

それは電卓をたたいていた、眼鏡をかけた彼女。銀波会計をじっと見ていた。


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