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――始めこの画像の視界もぼんやりしていた。
やはりアジ・ダハーカは目があまりよくないようだ。
眼鏡のようなものをかけると、視界が良くなった。
そして仕込んできたのが光の束が見えた。画面越しに見ていた僕は一瞬、目がくらんだ。
見えたのはどこかの部屋みたいだ、だけど薄暗いカーテンがかかっていた。
きらびやかで小さなシャンデリアが見え、長いテーブルも見えた。
間もなくして小さな部屋が揺れた。
「つきましたよ、お嬢様」
白い服の男がそう言うと、笑顔で立っていた。
ドアが開くと外には夜の街が見えた。お嬢様と言われた人物がドアの先に行くと、夜の繁華街が見えた。
背中には乗っていた黒塗りのリムジンも見えた。
繁華街で、隣にはいつも通りの白い服の執事が目を細めて歩いていた。
彼のエスコートで繁華街を歩くこと二分ほど。
「彼はここですよ」
大きな歩道で、案内をしているとそこには金森会長がいた。
私服姿の彼は大きな麻袋を持っていた。
「順調に売れたぞ……お嬢様」
金森会長は妙に言いづらそうな顔で挨拶していた。手でピースサインをしていた。
「二枚ですか?」
「ああ、売り上げは十万だ」
そのあと何か会話があったのだけど、すぐに万札をポケットにつっこんでいく金森会長。
「でもいいのか、コインの売り上げは俺がもらっても?」
視点が一瞬頷いたように上下に動いた。
「そうか、お嬢様は懐が深い……ですね」
「ええ、リアルマネーを稼ぐのはどうですか?大変ではないですか?」
「でもこのコインってただのカジノのコインだろ。金の価値がこんなにあるとは……
疑っているわけじゃないけれど……なんていうか売っていておかしいというか……」
何か話しているが、金森会長が納得した。
「そっか、見えない金も同じか……」
金森会長が見ていると、視点のお嬢様は一枚のコインを手にした。
「私たちが定義する金持ちというのは、ものを買って見せびらかすよりも、将来値上がりしそうな資産を有することを選ぶタイプの人のことだ。『トマス・スタンリー』の名言ですよ。
このコインは将来絶対に価値が上がる理由があるんです、いずれあなたも分かりますよ」
執事は金森会長に目を細めた笑顔を見せていた。
そんな執事と金森会長が話をしている最中、目線を下に落とした。
そんな時、視線が下に下がっていた。見ていたのはタブレット端末。
一瞬黒い端末に映った顔が、鏡の様に見えた。
その顔は僕が見たことのある顔で、思い出すのにモノの数秒かからなかった――




