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ドラゴンプラネット  作者: 葉月 優奈
四話:ドラゴンの切り札
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結衣は初めから、太と合流する計画だった。

ジャイキリ作戦……つまりドラプラのジャイアント・キリングを呼んだことらしい。

ジャイアント・キリング、略してジャイキリというわけだ。


509の六階にいたベンチで僕と結衣、それから太の三人でアイスを食う。

509にある数少ないアイスクリームショップ、前のベンチは数少ない休憩スペースだ。

太は、カップに入った山盛りのアイスをおいしそうに食べていた。

それにしても本当に509の中は女子の割合が多い。

僕と太以外全員女子なんじゃないかと思えるほどに。


「太、どうだった?」

「ええ、いろいろおかしかったですよ」

「どういうこと?」

「ん~、なんか空き家になっていましたよ」

「空き家?」

「よくわかりませんが空き家でしたよ。中に入れましたし」

太の言葉に、結衣は難しそうな顔を見せていた。太はいつも通りの穏やかな顔でアイスを淡々と食べていた。


「入れたってどういうこと?」

「何もありませんしたよ、これが画像」

「……これは」

太が見せたスマホ、そこにはもぬけの殻のマンションの部屋が見えた。

まるで不動産の紹介写真の様だ。紹介写真を何枚もスライドショーの様に見せていた。


「誰もいないし……生活感がない」

「どうやらここには……」

「待って!」

だけど僕は太が撮ってきた写真の一枚を見て驚いた。


「どうした、誉?」

「彼……どこかで見たような」

それはマンションの入り口あたりで歩いていた若い男性。

だけどどうしても思い出すことができない。


「思い出せないの?」

「うん……あとちょっとなんだけどな」

太がほかにも見せるけれど、結局分からなかった。

隣では結衣が山盛りのアイスを食べながら、じっと太のスマホ画像を見ていた。


「それにしても、ここは空き家なのね」

「どうやらそうですね。洗濯物も干していないし、カーテンは閉まっているし」

「うーん、ますますおかしいわね」

結衣もアイスのスプーンを持ちながら、自分のスマホを見ていた。


「住所は間違いなくそこなんだけどね、逆に怪しくない」

「さすがに入るのは難しいよ、鍵がかかっていたし。セキュリティもしっかりしているよ」

「分かったわ、そこはいったんおいておきましょ。

ん~、じゃあもう一か所をみんなで調べましょ」

「もう一か所って……」

「そりゃあ、あたしのよ」

結衣がそう言いながら、太に負けじとカップに入ったアイスをほお張っていた。

急いで食べたのか、ちょっと頭がキーンとしたらしい。


「結衣?大丈夫か」

「大丈夫よ、あたしは。あたしの場所は渋谷区役所だから、少し離れているわね」

結衣がスマホを僕と太に見せてきた。


「ここって地下?」

「そう、渋谷区役所地下シェルター。アイコンは下の方を指しているでしょ」

「そういえば地下室……ってドラゴン視アターで……思い出した!」

「何が?」

「さっきの人物……もう一回、太のスマホを見せて」

「お、おう」太がスマホの写真を僕に見せてきた。

唯一人物が通行人として映りこんだ写真を見て、そこにいた若い男性が見えた。


「この人、初めて見たドラゴン視アターにいた男の子にそっくりだ。ほら、目元とか顎のラインとか」

「分かんないわよ、あたしたちは」

ふてくされ気味に結衣が声を返してきた。

逆に太は、うーんと返事を返していた。


「この人って……分からないか」

「ええ、確かに髪の色が藍色っぽく特徴的ではありますね」

「それじゃあ近づいているのね、ドラゴンに!いや金森会長に」

結衣は急に嬉しそうな顔へと変わっていく。


「嬉しそうだな、結衣!」

「嬉しくないわよ……でもずっと戦ってきたから」

「今回は長かったですね、半年以上。区役所ですね。

いい方法がありますよ。ちょうどここは509ですし」

「えっ?」

太はなぜか自信たっぷりに言い放った。


普段はおとなしい太が、自信たっぷりなのも珍しい。

僕たちと離れて二年近く、彼の成長が垣間見られた気がした。


そんな時、結衣の携帯が突然震えていた。

それと同時に彼女の顔が、真剣な表情に変わった。

僕もピンク色のスマホを見て、震えを感じてはため息をついた。


「チャンスよ、これは!」

いつの間にか山盛りのアイスを強引に食べきった結衣は、スマホを持って笑顔になっていた。

それはスマホの画面が赤く光る『ドラゴン警報』だったから。


スマホの『ドラゴン警報』の後、509でサイレンとアナウンス。

『ドラゴンが出現しました、至急地下シェルターに避難してください』そう聞こえてきた。


「僕たちも向かいましょう、渋谷の地下(アンダーグラウンド)へ」

太の一言で、僕たちは行動を始めていた。


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