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驚きがあった、信じられなかった。
なんでドラゴンプラネットの画像に、金森会長が登場するのか全く分からない。
僕はそのことを相談すべく、次の日結衣を学校帰りに呼んだ。
弘明とうまくいかない僕でも、結衣とならかろうじて話せる。単純にそう思ったから。
放課後、僕と結衣は学校近くの商業施設にあるファストフードに立ち寄った。
制服姿の僕は、スマホを見ながら結衣を眺めていた。
「随分食うな」
「当然よ、お腹すいたもん」
ハンバーガーを平らげて、シェイク、ポテト、チキンの紙屑が見えた。
まだ、ハンバーガーが三つほど残っていた。
そんな結衣は、ハンバーガーを食べながら僕の話を聞いていた。
僕は昨日見た画像の内容を話した。一度見た画像はどうやら消去されるらしい。
「金森会長が出てきたんだ……」
結衣も僕の話を聞いて、ショックがあったようだ。
「結衣……」
「分からないけれど晴ねえは、『ドラゴン視アター』をいつも見ていたんでしょ。
この画像は犯人により近いモノでしょ。その証拠に……ほら」
結衣が見せてきたのが青いスマホ。
そこには、渋谷区役所の位置が書かれたGPSの地図が見えた。
「これは?」
「金森会長、実は渋谷から来ているの」
「えっ、渋谷……」
「GPSの位置で、『台場』『渋谷』それに『上野』。
台場は有明とはすぐ隣だし、渋谷は金森会長の住宅があるじゃない。
上野はこの前にドラゴンが現れた場所として考えれば、金森会長以外考えられないわ」
「なんでそこまで知っているんだ?」
「ふふん、それはね……」
自慢げに語る結衣に、僕はあえて乗っかって追求することにした。
「あたしたち生徒会幹部連中は連絡先を交換しているからよ」
「あっ、そうなんだ」
「なに、その無反応」
流し目で僕を見てきた、副会長結衣。
不機嫌そうな顔で、新しいハンバーガーを食べ始めた。
「でも、結衣は生徒会長が怪しいって……」
「その辺は……しょうがないじゃない」
それにもまして、驚いたペースでハンバーガーを平らげた結衣。
ちょっと不機嫌そうな結衣は、首を横に振った。
「だけど、僕はまだその確信が持てなくて……」
「だったらどうするの?あたしは、やっぱり金森会長が怪しいと思うわ」
「彼のことをよく知らないよね。調べないで決めつけるのは早いんじゃないかって」
「何言っているの?もし生徒会長がドラゴンだったら、被害が出る前にすぐに倒さないといけないでしょ!」
「それも分かるけれど、僕たちは『竜器・ドラゴンコイン』を探すのも目的だよね」
僕の言葉に、難しい顔で考え込んだ結衣。
賑やかなファストフードの中で、少し僕たちの周りの空気が取り残され中の様に静かだ。
「それに結衣は、学校じゃあ頭いい方だろ。学年一の成績優秀生徒だから」
「まあ、あたしは『智の蓼沼』だから。じゃあ、しょうがないわね調査行きましょ」
「調査って、どうやって?」
立ち上がった結衣は、ハンバーガーを持っていた。
すぐさま最後のハンバーガーを食べきって、大きく息を吐いた。
「あたし行ってくる!」
「どこに?」
「ハンバーガー、ヤケ食いしてやる」
ふてくされ気味に結衣はレジの方に向かっていった。
去り際の結衣は待っている僕に一言。
「渋谷に行くでしょ」
「渋谷っていきなり行くのか?だから僕はもう少し……」
「土曜日、それまでに調べといて。あたしはいつでも戦う準備はできているから」
一瞬結衣の顔に、薄く影の線が見えた。
結衣は意志が固い、それは僕にないもので羨ましかった。
結衣の言葉を僕は断るだけの勇気がなかった。それは、長いつき合いで分かっていた。




