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翌日、僕は学校にいた。そして生徒会室に来ていた。
決して人殺しゲームの『真ドラプラ』に、心を許したわけではない。
だけど僕には日常があった。
それは高校生という顔で、生徒会役員という立場が僕にはあった。
いつも通り授業を受け、今日も生徒会の会合に参加していた。
生徒会室ではさっきから会議が行われていた。
遠巻きに結衣を見ながら、僕はずっと考えていた。
議題は『体育測定会の話』の細かな打ち合わせ。会議中ということもあって緊迫した空気が流れていた。
「それでクラスの方だけど……二年生はこの提案順番でいいかな?」
金森会長が続けていた。
「ええ、いいと思います」
と返事をしたのは副会長の結衣。
「そんなことより気になることがあるのだが……」
「どうしました、銅林副会長」
「俺たちの体育の授業の時に噂が出ているんだが」
「噂?」
「ああ、なんでも一番古い体育館に幽霊が出るってよ」
それを言った銅林副会長に、金森会長は首を傾げた。
「おもしろい 幽霊騒ぎ 銅林」と銭戸書記がすかさず短歌を歌う。
「なんだよそれ?おかしいか?」
「変よ」銀波会計も、電卓をたたきながら突っ込みを入れた。
一体何の計算をしているのか、全く分からないがいつも高速で計算していた。
「それは興味深い。でも幽霊は昼間、現れないだろう」
「確かに、だけどこの噂を何とかしないと」
「噂は噂よ、銅林副会長」
と強く言い返した結衣。結衣に対して銅林副会長は睨んでいるように見えた。
「そうだね、蓼沼副会長の言うとおりだと思うよ。噂は所詮どこかでいろいろついているモノだからね。
心配だったら新聞部にでも頼もうか、銭戸書記」
「承り 新聞広告 消す噂」と短歌で答えてきた。
なんでこの人は短歌でいつも返すんだろう、というか銭戸書記は新聞部だったことに驚いた。
そんな中でも、僕はずっと考えていた。
(僕にはこのリアルがある、このリアルをドラゴンから守る……これがそのゲーム。
でも僕はそのゲームをしてよいのだろうか、人殺しの手助けじゃないのだろうか?)
僕は机の下にお守り代わりにあったスマホを握った。
そんな時、スマホはあるメールを受信した。
『誉、この後空いている?』
一瞬驚いて、スマホを机の下で隠しながら見た。僕は金森会長のそばにいる結衣を見ていた。
強心臓の結衣は、隣に生徒会長がいてもお構いなしだ。
そんな結衣に誰も気づいていないのがまたすごい。
『空いている』
返事を返すと、すぐに結衣がメールを打ってきた。
『じゃあ、あたしと一緒に帰らない?いい場所に連れて行ってあげる』
そのメールを見て、僕は少しだけ懐かしさを覚えた。
結衣からの誘いのメールは、中学以来だったから。




