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いきなりK・シューターは僕に発砲した。
銃を撃ったK・シューターは、真っ直ぐハルヒメに命中した。
銃に撃たれた僕ははっきりと痛みを感じた。痛みで顔がゆがむ。
「グアッ!」僕のハルヒメはダメージを受けた。
バトルモードには、ドラゴンモードで無かった痛覚があった。
何よりハルヒメの体力ゲージが、一撃で三割の体力を奪っていた。
「なぜこんなことを?」
「知ったことか!俺はお前が、誉が大嫌いなんだ!
大好きな晴ねえを奪って、しかもお前が『ハルヒメ』になんか成りすまして。
お前はどこまでも卑怯で最低で臆病だ!」
K・シューターの言葉に、僕は真剣に見入っていた。
彼の怒りのモーションが見え、僕は恐怖を感じた。
「お前は俺に殺される運命だ。後二発でお前を沈める」
「弘明、やめてくれ!負けたら分かっているのか?」
「俺はお前が嫌いなんだよ!だから消えろ!」
戦うのは苦手だ。あの件以来、僕は競うのをやめようとしていた。
力もいらない、弱気でいい、強気になって人を傷つけるなら負ける役でいい。
だからゲームは楽しくないし、最後の方にはいつも手を抜いていた。
でも、この戦いは負けたら死ぬ。それだけはできない。
「弘明、やめてくれ!戦いをやめるんだ!」
「その顔で俺に近づくな!」
僕のハルヒメが近づくと、K・シューターが離れていく。
そのまま射撃モーションになった。
モーションの後に、赤く光ってハルヒメのキャラが苦しみの表情を浮かべた。
僕に胸に痛みがあった、呼吸が乱れるほどの痛み。体力ゲージは三割もない。
次打たれたら僕は死ぬ。僕はそれでもおののくK・シューターに近づいた。
(K・シューターを何とか止めさせないと)
僕は頭を回転させて考えていた。
だけど、それは当然K・シューターに見破られているわけで、K・シューターは距離をとって離れていく。
(なにか方法は……そうか)
僕は前の戦いでスキルの使い方を学んだ。
弘明を殺すわけにはいかない、でも僕はこんなところで死ぬわけにはいかない。
豊富にあるスキルから選んだ一つのスキル。
「『治癒』!」
迷うことなく僕はハルヒメのスキルを使った。するとハルヒメの体力ゲージが回復していく。
「小賢しい!」
K・シューターは射撃モーションでハルヒメを攻撃。
回復が強いのでダメージを上回って、体力バーは半分まで回復した。
「ちっ、しぶとい」
「やめろよ、K・シューター。負けたらわかっているんだろ!」
「ハルヒメのことを何も知らないくせに」
「なんだよ、それ!」
言い合う僕とK・シューター。再びK・シューターが銃口をハルヒメに向けた。
やはり射撃のモーションは若干遅い、ハルヒメの『治癒』スキルが間に合う。
だけど欠点があった、スキルポイントには限りがある。
「お前、晴ねえがどれくらい力を注いでこのキャラを作り上げたかわかっているのかよ!」
K・シューターの……いや弘明の叫び声が聞こえた。
ログはたまだんメンバーで参加しているメンバーが共有できる、それ以上に弘明の意志がはっきりと伝わった。
ゲーム好きの晴海は、このハルヒメに愛情をかなり注いだのだろう。
結衣や太、棗よりもレベルが高いのが何よりの証拠だ。
それなのに何も知らない僕が使っていていいのだろうか。
K・シューターの言葉で湧き上がった罪悪感と不安。
そんな僕のハルヒメにさらに射撃を加えようとするK・シューター。
「俺はそれでもお前が許さない。
俺が殺す相手はハルヒメじゃない、『野高谷 誉』だ!」
「弘明……」
「言っておくがお前か俺が死なないと、この戦いは終わらない。
向かって来いよ、これは俺かお前のどちらかが生き残るための生存戦争だ!」
そう言いながらK・シューターが挑発していた。
「それは違う。K・シューターよ、今すぐ『休戦申請』を申し出よ」
それは突然、天から聞こえてきた声だった。
それと同時に上野のフィールドから一人のキャラクターが出てきた。
威風堂々とした、女王様のようなキャラクターが赤い舞踏会用の仮面をつけて突然現れた。




