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次のブレスを撃たれたら僕は死ぬ。
それは分かっていた。だけど僕はその現状を打破する方法を知らない。
最初に自分を回復していればよかったんだ。
ブレスのモーションに入ったドラゴン。口から赤いものが見えた。
リアルの画面もまた、ドラゴンがブレスを放つ準備をしていた。
「えっ!」リアルの結衣の顔がゆがんだ。
「ドラゴンの口が……」
「やめて!このままだと誉が死んじゃう!」
悲壮な顔になった結衣、僕に抱きついてきた。
「結衣……」
「スマホを切っても……」
「ダメ!サーバーにデータ残っているから電気で繋がっているの」
結衣の悲壮な叫びを聞いても、僕は実感できなかった。死というモノを。
僕は死ぬのか、こんなところで死んでしまうのか。
晴海のいない世界で、晴海と同じ世界で死んでしまうのか。
それが運命なら、僕は受け止めないといけないのか。
何度も自問自答し、僕はスマホの画面を見ていた。
体力は半分以上あった。だけど全快で一度受けたブレスは、体力を70%以上削った。
ナツナイトのカバーリングがなければ、ハルヒメは死ぬ。
しかも、ナツナイトの体力だって回復していない。
晴海の顔をした羽衣女性は、それでも笑顔だった。
「なんで、なんで笑っているんだよ。
あの時みたいに、このままだと死ぬかもしれないのに!」
僕は思い出してしまった、晴海の最期。
安らかな笑顔を、僕に伝えた言葉を、大好きだったぬくもりも。
このままではハルヒメのスキルの発動は間に合わないだろう。
次の瞬間、ドラゴンのブレスを放とうとしたがドラゴンの動きが止まった。
ドラゴンの体力ゲージが一気に無くなったのだ。
「えっ?」
カラオケボックスで、結衣と僕は目を疑った。
そう、ドラゴンが倒れて『WIN』という表示が見えた。
「どういうこと?」
だけど結衣の疑問は間もなく解決された。
それはドラゴンの奥から出てきた一人のキャラクターが見えた。
拳銃を構えた、男のキャラクターよく見ると僕が知っているアイツにそっくりだった。
二丁拳銃をかっこよく構えたその男、それは……
「遅いわよ!K・シューター」結衣はスマホ画面に笑顔で言っていた。
そんなK・シューターが逆に一言。
「おい、ノーキン!なんでハルヒメを前線で戦わせているんだ」
その一言を言うと、ヴァルキリアは怒った仕草を見せていた。
それと同時に、ハルヒメのスマホではメールを受信していた。
自分やみんなをスキルで回復させながら、僕はそのメールを見ていた。




