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ドラゴンプラネット  作者: 葉月 優奈
十二話:最高のデスゲーム黙示録
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地下鉄駅に鳴き声が木霊(こだま)した。僕も、結衣も、棗も、大声で泣いていたから。

そばにいた愛子が、首を横に振った。

それは魂の抜けた弘明、愛子が前に言っていた。

ドラゴンプラネットのプレーヤーは戦闘で負けると、脳に電気が大量に流れた。

脳に電気が流れると心臓や肺の機能が失われる。それが、現実に起きてしまった。

これで三例目だ、起きては欲しくないのに二人も起きてしまった。

心臓が動かない弘明を見て僕は泣いていた。


「弘明!」

僕は声をかけて、体をゆすった。だけど弘明は赤いスマホを見ていた。

外傷はない、だけど心臓も動いていない。

間違いなく脳死だった。


「弘明っ、起きなさいよ!」

結衣も一生懸命弘明の体をゆするが、弘明は目を覚ますことがない。


「弘明……太……なんで」

棗は少し離れて倒れている太を見ていた。

こちらの太も脳死だった。ニーズヘッグに体を乗っ取られた太も、最期を迎えていた。


「無駄じゃよ」愛子の残酷な一言。

「お前が、お前が開発したんだろ!」

僕は詰め寄っていた、枯れた声で愛子を激しくゆすった。


「すまない、わらわがいけなかったのだ」

「全くだ!なんで人類のために僕達だけが犠牲に……」

「やめて、誉!」

怒った僕に、結衣が背後から抱きついていた。

背中から結衣の涙をはっきりと冷たく感じた。


「それを知ったうえで……あたしたちは戦っていたんだから」

「結衣……」

「うん、結衣の言うとおり。私たちはドラゴンと唯一戦う力がある。

力があるということは、そういう責任を負うこと……」

棗も泣いていた。当然親友の死を受け入れるのはきつい。

それでも棗が泣いたまま前を向いていた。


「だとしたら理不尽だ!ドラゴンの苦労は皆が背負って……」

「欲望とは案外そういうモノなのかもしれぬ」

「どういうことだ?」

「欲望は強くなればなるほど、人を傷つける。

だから人間には理性があるのだ。その理性のタガが外れた姿が、ドラゴンになってしまう。

それでも、人は今まで積み重ねてきた歴史がある。

人は歴史で欲望にまみれた過去を学び、悔い改めることができる生き物だとわらわは信じている」

愛子の言葉に、僕と結衣、棗は心を打たれた。


「じゃあ、愛子……お前はいったい……」

「少なくとも人ではない。さながら人の管理人というところだろうか。

それより今は急ごうぞ。まだ戦いは終わっていない」

「でも、弘明と太はどうするの?ここに……」

結衣の質問に、地下鉄にさらに来客が来ていた。

それは棗と別れた冬規だった。


「冬規、どうしてここに?」

「棗と別れて、ボクは帰ろうとしたけど何かできないかって、思ったらいてもたっても……」

そんな冬規には数人の男が集まっていた。


「彼らは?」

「『パンタシスタ』のオフ会連中。悪い奴らじゃない。

一緒に棗を助けようと……」

そんな冬規の周りにはオタクっぽい成人男性がいた。

痩せたのから、太ったのまで、でもサラリーマン風の真面目な成年もいた。

様々な男性たちを引き連れて、現れた冬規は少し凛々しかった。


「ねえ、頼めないかしら?」

「あっ、そうだ……」

結衣の言葉に棗はすぐに冬規の方に動いていた。


かくして僕たちは冬規たちに頼んで、弘明と太をまかせた。

冬規は弘明と太の死に、悲しんだ様子を見せた。それは致し方ないことだ。


そして、走り出した僕たち。結衣も足をくじいていたが気合で走った。

時刻はいつの間にか夜の二時を迎えていた。

タイムリミットまで後三時間少々だ。僕たちは立ち止まる暇がなかった。



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