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ドラゴンプラネット  作者: 葉月 優奈
二話:戦う意志と逃げる勇気
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――これは僕が小学生の時の話。

玉第三地域団地、通称『たまだん』にいた時の話。

そこは僕達の生まれ故郷、玉地区にあるアットホームな団地。

いつもと同じように、団地の六階にある晴海の家に集まっていた。


穏やかな陽気の晴れた春休みのある日、晴海の家で僕たちはテレビゲームをしていた。

リビングに集まったのは、僕と晴海、それから弘明と結衣。

さらには奥のソファーで太ったいがぐり頭の小学生男子と、逆に小柄な女の子が応援していた。

僕達が前で集まって一つのテレビゲームをやっていた。

それは、キャラもののレースゲーム『マ○オカートW』だ。

僕はゲームコントローラーを持ちながら嘆く。僕の車が置いてあったバナナでスピンした。


「うわっ、またバナナ~なんか駄目だな」

「おさきー」

僕が嘆いている合間に、横で弘明の車が抜いて行った。

僕の車には緑色の怪獣、弘明の車には凶暴な亀のキャラクターが乗って走っていた。

すぐ後ろから、結衣のキャラであるキノコが乗っている車もやってきた。


「誉君、諦めないで立て直して!」

僕の傍らには、少し背の高い晴海がいた。穏やかな目で僕を見守っていた。

「うん」僕はボタンを連打して倒れた緑色の怪獣の乗る車を起こした。

その横で結衣が全速力で駆け抜けた。

僕も追いかけたが、結衣のキノコにかわされてしまった、


「三位はあたしがもらったわ!」

加速度のついた結衣のキノコキャラに、僕の緑色の怪獣が追いつけるはずもなかった。

押し切ったのが結衣、そのまま僕はコントローラーのアクセルボタンを押すのをやめた。

乱暴な結衣のドライブテクニックで、最後に結衣がゴールした。

次の瞬間、僕の目の前が真っ暗になった。『ビリ』と書かれていた。


「やったー、三位!」

結衣が隣で二位になった弘明とハイタッチ。

チーム戦で僕と晴ねえ、弘明と結衣のチーム。僕達のチームはまた負けてしまった。


「これで俺たちの五連勝」

「晴ねえにはトップ取られたけれど、ポイントで上回ればいいのよ!」

結衣と弘明は、すごくうれしそうだ。


「あら~、負けちゃったね、誉君」

「ごめん、僕のせいで」

「いいのよ、今度は勝ちましょ」

それでも晴海は穏やかだった。だけど僕はとても悔しい。

負けたのよりも、それ以上に悔しかったことが晴海に迷惑をかけたから。


僕達六人は団地の中の仲良しグループであった。その中央にはいつも晴海だ。

ゲームが得意で、面倒見がよくて、優しい。三つ上のお僕達のお姉さん。


「うん」

悔しそうに僕が頷く横で、ふてくされた弘明がいた。


「晴ねえ、今度は俺と組んでよ!」

「えー、そんなことしたらハンデ無くなっちゃうでしょ」


これに反対したのは結衣だ。

たまだんメンバーで一番ゲームが上手い晴海が、二番目にゲームの上手い弘明。

二人がペアを組めば、誰も太刀打ちできない。


「今度、私もやりたい……」

そこにショートカットの女の子が後ろから参加してきた。

彼女は棗、『ナツ』と呼ばれていた。


「弘明君、じゃあナツと組んで」

「ええっ、俺は晴ねえと一緒がいい」

「弘明君、私とは今度ね。少し疲れちゃったから、みんなの走りを見ているわ」

そんな穏やかな晴海の顔を見て、ゆっくり立ち上がった弘明。

そのまま晴海はソファーに座って、穏やかな顔で微笑むのだった。


「じゃあ、誉はあたしと組もう。ナツと太でいいかな?」

結衣が僕の方に近づいてくるなり、不機嫌な弘明が立ち上がった。


「ちょっと出かける」

一言残してふてくされた弘明は、晴海の家を出て行った。

そんな弘明を見て晴海も、すぐに笑顔を見せながら立ち上がっていた。


「私も出かけて来るわ~。みんな遊んでいていいわ」

晴海も弘明を追いかけるように、リビングを出て行った――


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