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2.それは公然の片思い
「結婚しないか」
ずっと憧れていた人から言われて頭が真っ白になった。
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伯爵令嬢だが媚びずかと言って孤立せず、
研究に真摯なところも好きだった。
研究以外に興味がなくて、
気づけば夢中になっていた。
別に隠す気もないし、本人以外の研究棟の誰もが知るところとなった。
「それでもいい」と告白されて付き合ってみたりしたが、あまりにグロリアのいる所に通い詰めるのですぐにフラれた。
ーーこの人はここで断っても他の奴に聞くな
考えるより先に体が動いて、気づけば手を取って言っていた。
「結婚しましょう」
よくよく聞けば、仮でしかも半年で破棄されるらしい。
「とは言えお返しできるようなものがないのだが…」
申し訳なさそうにグロリアがこちらを見てくる。
しめた、と思った。