第4話:「見えざる改変」
第4話:「見えざる改変」
第1章:不安定な歴史(起)
舞台:1968年 アリゾナ州・タイムトンネル基地
トニー・ニューマンとダグ・フィリップスが、歴史改変の影響を正したことで、基地との通信は回復した。しかし、基地の科学者たちは不安を抱えていた。
科学者「歴史計算機が示すデータと、外部世界の記録に微妙なズレが残っています。」カーク所長「どういうことだ? 歴史が修正されたのなら、すべて元通りになったはずだ。」
トニーは計算機のデータを確認しながら、驚愕の事実に気づく。
トニー「いくつかの歴史的な出来事の時系列が微妙にずれている。サラエボ事件やロシア革命は戻ったが、別の改変が起こっている可能性がある。」
基地のモニターが再び点滅し、警報が鳴る。
オペレーター「時空振動を検知! 新たな歴史改変の兆候があります!」
ニュース速報(1968年)「最新の歴史研究によると、ナポレオンがロシア遠征を成功させ、フランス帝国が崩壊せずに存続した可能性が高いことが判明しました!」
ダグ「ナポレオンがロシア遠征に成功した…? そんなことがあり得るのか?」カーク所長「これは大問題だ。もしフランス帝国が存続していたら、ヨーロッパの歴史は完全に変わっているはずだ。」
トニーとダグは、歴史の歪みの原因を突き止めるため、1812年のロシア遠征の真っ只中へ向かうことを決意する。
第2章:1812年、モスクワ(承)
舞台:1812年 ロシア帝国・モスクワ近郊
トニーとダグは、ナポレオンの軍がロシア遠征中の厳しい冬を迎える頃に転送される。しかし、想定していた「フランス軍の壊滅的な敗北」とは異なり、彼らの目の前に広がっていたのは、戦況を完全に掌握したフランス軍だった。
トニー「何だこれは…フランス軍がこの時期にまだ健在だ?」ダグ「通常ならば、補給が尽き、ロシアの冬に耐えられず崩壊しているはずなのに…。」
二人は密かにフランス軍の動向を探るため、ナポレオンの司令部に潜入することを試みる。
フランス将校「驚くべきことだ。ここまで補給が持ち、モスクワから撤退せずに済んでいるのは、まるで我々に未来の知識があるかのようだ。」
トニー「未来の知識…? つまり、またしても未来からの干渉者がいるのか?」
彼らはさらに調査を進めるうちに、ナポレオンの側近の中に「見慣れない技術を使う人物」がいることを知る。未来から来たエージェントがナポレオンに助言し、ロシア遠征の戦略を変えた可能性があった。
第3章:未来からの侵入者(転)
舞台:1812年 モスクワ・ナポレオンの司令部
トニーとダグはナポレオンの司令部に潜入し、問題のエージェントを探る。そこには、異常に近代的な戦略を持つ謎の参謀 「ミシェル・ドラン」 という人物がいた。
ダグ「どうやらこの男が怪しいな。」トニー「ナポレオンが未来の知識を得ていれば、戦局が変わるのも当然だ。」
二人はドランの正体を暴こうと彼の部屋に忍び込むが、そこには小型の未来デバイスが隠されていた。
ダグ「これは…未来の通信機か?」トニー「こいつが未来と連絡を取っていたとすれば、時間改変の原因はこいつだ!」
しかし、二人が証拠を確保する前に、ドランに見つかってしまう。
ドラン「貴様ら…貴様らも未来人か?」
彼は拳銃を抜き、トニーとダグを追い詰める。しかし、ナポレオンの信頼を得ていた彼がここで戦闘を起こせば、自らの正体を暴くことになるため、慎重に言葉を選んでいた。
ドラン「君たちが歴史を元に戻そうとしているのは分かる。しかし、それは愚かな行為だ。」トニー「愚か? 君はナポレオンの未来を変えようとしているんだぞ!」ドラン「そうだ。ナポレオンがこの戦争に勝てば、ヨーロッパの未来は変わる。お前たちは本当に、今の世界が最善だと思うのか?」
トニーとダグはドランを捕らえるため、激しい格闘を繰り広げる。
第4章:時間の修正(結)
舞台:1812年 ロシア帝国・フランス軍司令部
トニーとダグは激しい戦闘の末、ドランの未来デバイスを破壊し、彼を拘束する。ドランが未来と連絡を取れなくなったことで、フランス軍の戦局は急速に変化する。
トニー「このままナポレオンがモスクワを占領しても、補給が持たなければいずれ撤退するはずだ。」ダグ「そうなれば、歴史は元通りになる…!」
未来の干渉が排除されたことで、ナポレオンのロシア遠征は本来の運命へと戻り、フランス帝国の崩壊へと進むことになる。
ニュース速報(1968年)「歴史記録が修正されました。ナポレオンのロシア遠征は失敗し、フランス帝国は崩壊。」
カーク所長「よくやった。しかし、今後も見えざる改変には警戒しなければならない。」
トニーとダグは安堵しながらも、再び時間の歪みが発生する可能性に警戒を抱く。
ダグ「次はどこで何が起こるのか…」トニー「時間との戦いは、まだ終わらない…。」
(次回へ続く)