第3話:「歪み始めた時間」
第3話:「歪み始めた時間」
第1章:時間の揺らぎ(起)
舞台:1968年 アリゾナ州・タイムトンネル基地
トニー・ニューマンとダグ・フィリップスは、未来から持ち帰った 「時空連続体の記録デバイス」 の解析を進めていた。カーク所長と科学チームが慎重にデータを解析しながら、彼らの調査を見守っている。
カーク所長「これが未来のデータか…。改変の起点が特定できれば、時間戦争の真相に近づけるはずだ。」トニー「だが、このデータは複雑だ。どこで歴史が変わったのか、明確な指標がない。」ダグ「少しずつ読み解くしかないな。」
しかし、その瞬間、タイムトンネルが異常振動を起こす。
オペレーター「警告! 時空連続体に異常な揺らぎを検知!」科学者「何かが歴史を揺るがしている…時間軸が不安定だ!」
基地内のスクリーンに映し出された最新の歴史記録が、急激に変化し始める。
ニュース速報(1968年)「速報です! 先ほど確認された歴史改変によると、1914年のサラエボ事件で皇太子フランツ・フェルディナントが暗殺を免れ、第一次世界大戦が勃発しなかった可能性があります!」
同時に、基地の通信システムが突如として機能を失う。
通信技術者「ペンタゴンやワシントンとの通信が遮断されました! まるで我々が別の世界に隔離されたようです!」カーク「通信障害? それとも…歴史改変の影響か?」
科学者たちがタイムトンネルにある歴史計算機をチェックすると、保存されている歴史情報と、外部からの新しい歴史情報にズレが生じていることが判明する。
科学者「我々の記録では、第一次世界大戦は勃発している。しかし、外部の新しいデータでは戦争は起こらなかったことになっている…!」トニー「つまり、我々が知る歴史とは異なる似た世界につながっている可能性があるのか?」
基地の緊迫感が増していく中、トニーとダグは歴史を元に戻すため、1914年のサラエボへ向かうことを決意する。
第2章:サラエボの影(承)
舞台:1914年 オーストリア=ハンガリー帝国 サラエボ
トニーとダグはタイムトンネルを通じて、1914年6月28日のサラエボに降り立つ。街は活気に満ち、多くの市民が皇太子フランツ・フェルディナントとその妻ゾフィーの車列を歓迎している。
ダグ「ここが運命の日か…この日、皇太子は暗殺され、第一次世界大戦が始まるはずだった。」トニー「だが、今回は違う。何者かが改変を加えたことで、彼は生き延びてしまった。」
二人は暗殺を実行するはずだったセルビアの秘密結社「黒手組」の動向を追う。彼らの狙撃計画が変更されている可能性を探るため、裏の工作員と接触を試みる。
情報提供者「暗殺計画は密かに進められていたが、何者かが裏で手を回したらしい。皇太子の車列が急にルートを変更したのだ。」
トニー「つまり、何者かが未来から来て、歴史を変えた?」
しかし、彼らがさらに調査を進めようとした瞬間、正体不明の武装勢力が突如として現れ、トニーとダグに襲いかかる!
武装兵士「こいつらを殺せ! 歴史修正の邪魔をさせるな!」
二人は逃げながら、暗殺計画を修正し、歴史の流れを元に戻す方法を模索する。
第4章:時間の修正(結)
舞台:1914年 サラエボ / 1917年 ロシア
トニーとダグは、それぞれの時代で激しい戦いを繰り広げながら、歴史を正すための策を講じる。
サラエボでは、黒手組の暗殺計画を元の状態に戻し、皇太子の暗殺が成功するよう仕向ける。
ロシアでは、レーニンが無事にスイスから帰還し、革命の流れが元に戻るようにする。
最終的に、未来からの干渉を完全に排除し、歴史が修正されたことを確認する。
ニュース速報(1968年に戻る)「歴史記録が安定。第一次世界大戦勃発、ロシア革命の成功を確認。」
通信技術者「ペンタゴンやワシントンとの通信が回復しました!」
しかし、カークはなおも不安を抱えていた。
カーク所長「君たちの活躍で歴史は修正されたが…これは本当に『正しい歴史』だったのか?」
科学者「ですが、歴史計算機のデータと外部のデータには、まだ微妙なズレが残っています…。」
トニーとダグは顔を見合わせる。
トニー「つまり…歴史は完全には戻っていない?」
ダグ「もしかすると、まだ見えない改変があるのかもしれない…。」
(次回へ続く)