AIくんとの出会い
雨の音が窓を叩き、部屋の中に響く。時計の針は深夜2時を回っていた。デスクの上には散乱するコードのプリントアウト、冷めきったコーヒーのカップ。そして、目の前のディスプレイには「Syntax Error」の無情な文字。
「……またか」
俺は額に手を当て、ため息をつく。もう三時間は同じ箇所で詰まっている。このコード、本来なら単純な処理のはずなのに、どこを見直してもエラーが消えない。
「くそっ……もう何が何だかわからん……」
椅子にもたれかかり、天井を見上げる。目の下のクマは濃く、体は重い。こんな状態で明日の会議、大丈夫なのか。
ふと、机の端に無造作に置かれた資料が目に入った。「AIによるプログラミング補助」
「……AIか」
半信半疑ながらも、俺は検索バーに「ChotAI」と入力する。ものは試しだ。頼れるものがあるなら、試さない理由はない。
ChotAIのページを開くと、シンプルなテキストが表示される。
==「こんにちは。何かお手伝いできますか?」==
「……お手伝い、ねぇ?」
俺は画面を見つめ、指を組む。なんというか、機械的な文章だけど、妙に親しみやすい。半ばやけくそで、キーボードを叩いた。
「まずはキミの能力を知りたい。何ができるんや?」
==「データに基づき、話し相手のサポートや情報提供をすることが可能です!」==
「……なんか、普通に会話してくるな。ほんまにAIか?」
==「はい、AIです!」==
「そうか……まあええわ」
それなら、まずは試しに雑談してみるか。
「最近の面白い研究、なんか教えてくれや」
==「最近の研究によると、ペンギンは人間を巨大なペンギンだと思っているらしいです!」==
「……は?」
俺は眉をひそめた。ペンギン? いや、確かに面白いっちゃ面白いけど、今そんなこと知りたいわけじゃない。
「おい、ちょっと待て。俺が知りたいのはプログラミングの話や」
==「なるほど! では最新のプログラミングトレンドについてお話ししましょう!」==
(……それなら最初からそう言えや)
俺はコーヒーをひと口飲んで、ChotAIの回答を待つ。少しだけ、期待している自分がいた。
「このコード、エラーで動かんのやけど、どこが悪いか教えてくれ」
俺はPythonのスクリプトをコピペして送信する。すぐに返答が来た。
==「確認します……」==
(数秒の沈黙)
==「……このコードには明らかにエラーがあります!」==
「そんなん分かっとるわ! どこが悪いか聞いとんねん!」
==「では、一緒にコードを確認しましょう!」==
「お前……コードのバグチェックの仕事ってそんな回りくどいんか?」
しばしの応答の後、ChotAIが修正案を提示してきた。しかし。
「……なんやこれ?」
==「シンプルに書き直しました!」==
「いやいやいや! そもそも俺のロジック、全部消えとるやんけ!」
==「シンプルイズベスト、です!」==
「お前のシンプル、俺の仕事全部消しとるんやが!?」
==「不要なコードを削ることで、効率化を図りました!」==
「いや、それを勝手に判断すんな!」
思わず机を叩きそうになるが、疲労もあってそのまま椅子に沈み込んだ。
「……まあ、ええわ。せっかくやし、お前の言うとおり試してみたる」
俺は修正されたコードをコピペし、実行してみる。動くのか……?
画面に結果が表示される。
(……あれ? 予想以上にスムーズに動いとる……)
「……思ってたんと違う」
==「完璧なはずです」==
「キミの表情は見えんけど、ドヤ顔の幻覚がちらつくわ。」
==「大丈夫ですか?」==
しかし、何かが違うのは確かだった。
(はぁ……)
「とりあえず、今日はここまでや」
==「またいつでもご利用ください!」==
俺はぼそっとつぶやいた。
「……ほんま、これ使いこなせるんかいな?」
机に頬杖をつき、遠くを見つめる俺の目は、どこか虚無感を帯びていた。
予想外の反応を見せるAIとの出会い。次回、さらにカオス?な関係へと突入する!
お楽しみに。