小さいお兄ちゃん
最初に見た記憶があるのは、小さな黒い人影。
一人で寝れるようになったころ、幼稚園の年少のころだったと思う。
当時は二段ベッドの下の段が私のベッドで、部屋の扉の方を頭にして寝ていた。
夜中にトイレに行きたくて目が覚めた。
トイレは部屋を出て突き当り左にあった。
部屋からトイレに向かう途中、左側に階段がある。
何気なくトイレの方を見たら、階段のところに黒い影。
身長1mくらいの小さな黒い影。
形としてはクッキーマンのよう。
夜中で家の電気は消えているのに、はっきりわかる周りよりも黒い影だった。
とっさに顔を枕につけて、トイレに行きたいことを忘れて目を瞑った。
その後はすっかり朝まで寝てしまって、朝になっていた。
同じ年に、従姉弟の家に泊まった時に同じ影がまた出た。
その時もトイレに行きたくて目が覚めた時だった。
その時の影は、右から左へとヌルっと移動していた。
最初に見たときより怖さはなかったが、またトイレに行けなくて諦めて寝た。
当時、この影のことをなぜか、
「小さいお兄ちゃん」と呼んでいた。
こんな感じの一話完結の短編で進んでいきます。
なるべく時系列にそって進めますが、書き漏れなどがあったときは、前後してしまうと思います。