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5 やっぱり女の子は可愛い


ダンスが始まっている大広間を出て、歌姫たちの控えの間に向かった。

神官服なので、とがめられることもない。

衛兵さんたち、大丈夫?わたし、中央の者じゃないのよ?

ちょっとは警戒してよ。


歌姫たちは出番を終えて、晩餐をいただいていた。

ここでの流れはよく知っている。

なにせ、わたし、歌姫の腰掛け期間だけは長いから。


全員出席できるわけじゃないから、早くに辞めてしまう歌姫はこの新年舞踏会に参加できない子もいるけど、わたしは15歳の時から毎年、出席していた。


高位貴族のお嬢様は、歌姫と令嬢と2つの立場から招待を受ける。

だから、歌姫の出番が終わったら、晩餐をいただいて舞踏会に参加する。

その後の、年下の歌姫をお世話するのに、私みたいな年長で手の空いている者は重宝されるのだ。


晩餐の間のドアを軽くノックして入って、最初に目があったのは歌姫の中でも、次の巫女姫候補になる子だった。


「アリエッティ様!」


そんなに慌てて立ち上がってはダメよ。淑女教育、受けてるでしょ。

大声で言うから、みんな立ち上がっちゃったじゃないの。


「こんばんは。みなさん。とても素敵でした。お役目ご苦労様でした。」


わたしはお手本になるように、淑女の礼をしてあげた。ざわざわとしていた50名ほどの歌姫が、一斉に返してくれる。


ほお、優雅だわ。


若くて、可愛いお嬢様たちってこんなに心を癒してくれるのね。

知らなかった。


みんな愛らしくて、お姉さん、ウキウキしちゃう。

こりゃ、男どもならイチコロだわ。

最近、辺境のむさ苦しい領兵ばかり見てるから余計和むわぁ。

道理で、歌姫は嫁ぎ先に苦労しないって。あ、例外はあるわよ。もちろん。


「アリエッティ様。おかえりなさいまし。お会いしとうございました。」


この子多分、次の巫女姫だろうなーと目星をつけていた美少女が、目をウルウルしながら、近づいてきた。


え?そんな感じ?いやいや、そんな親しくなかったわよ。


「私もです。アリエッティ様。」

「私も!ここでお会いできるなんて、大広間をお断りして良かった!」


え、あなた伯爵家でしょ。ちゃんと社交しなきゃダメじゃない。

社交場、苦手だった?

うーん、そんなことないわよね。この子はとっても明るくて、賑やかなことが好きだったはず。


「エチュア神殿の神官として、招待を受け参りました。素晴らしい歌声でしたよ。だから、次はもっと堂々と歌ってくださいね。不安そうな顔をしてたら、女神様もお喜びにならないわ。」


そうなんです。

代替わりして、新しく巫女姫候補に選ばれた子も多いからか、なんだかボリュームにかける歌声でした。

表情もいまいちだし。


あ、久しぶりだったのに、厳しいこと言っちゃったかしら。

みんなが微妙な顔してる。


ごめんねー。やっぱり先輩、心配で。


だって、ここにいる子たちはちゃんと実力があるんだし。


「そう思うのなら、たまに指導して下さいな。エチュア神官様。」


「ディーバ!久しぶり!」


「ね、みんな、アリエッティもこう言ってるでしょ。さあ、早くお食事を済ませてしまいなさい。お城の方がお困りになるから。」


ディーバ、相変わらず。


しっかり者で、指導が上手。

下の子たちからの信頼も厚いから、中央神殿に残ってくれた貴重な存在だわ。


「あなた、何、そのかっこ。」


またか。


ちぇ、やっぱり選択ミスなの?



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― 新着の感想 ―
なんだかんだでものすごく慕われてるよね。一番じゃなくてもいいんじゃないかなって気がしますが。
[気になる点] 「そうなんです。」から「ごめんねー。やっぱり先輩、心配で。」のくだりが上から目線に感じ、主人公に対して精神的にやや未熟な印象を持ちました。 先輩だから上からなのは当たり前ですが、必要以…
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