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24 酔ってるってことで…

天覧演技の夜、セシリアの屋敷から帰ってきたのは、夜もすっかり遅くなってから。

話しが盛り上がって、時間を忘れてしまった。

タウンハウスの方、遅くなっちゃって、すみません。


天覧演技から一旦、タウンハウスに戻って、ドレスに着替えてからセシリアの屋敷に向かった。

ささやかながら、天覧演技を成功を祝って晩餐を開いてくれて。

セシリアが雰囲気出すためにドレスで来てねー!って言われて、念のため持ってきていたドレスを着ていったのに。ひどい言われようだった。


アリーってほんと、音楽以外センスないわよね。そのドレス、おばさんみたいって、言われ。

セシリアのドレスを着せられそうになったけど、胸のサイズが合わないんだってば!体格一回り違う上に、胸が!胸が!

小さくて着れなくなったからって何枚かもらったことあるけど、未だにガバガバ。着るたびに心を抉るわ。


おかしいなー。鳥の胸肉食べたら、大きくなるっていわれて、気をつけて食べてるはずなのに。


セシリア秘蔵のウィスキーコレクションも出してくれて、久しぶりに王都の贅沢を味わいました。セシリアの執事さんからは、あなた達はおっさんですか、と呆れられたけど。レイフォードさん、相変わらずの毒舌。うふふ。


名残惜しく別れたけど、結構な時間。こんな時間まで騒いだのも久しぶりだから、疲労感はあるけど、すっごく満足。


ヨシュア様もまだ、おかえりになってなかった。良かったー。


ウィルヘルムの一件以来、ヨシュア様はやたら過保護になって、いろいろと煩わし、いや、気にかけてくださって。


今夜ヨシュア様は、王家主催の晩餐会に出るって知ってたから、その前に屋敷に帰るつもりだったんだけど、何だかんだと遅くなってしまった。


騎士たちはタウンハウスに全員泊められないので、郊外に宿を取っているが、わたしはタウンハウスに入れてもらえた。


タウンハウスは去年も使用人の方々の対応が腫れ物扱いで、居心地悪かったから騎士の宿でも良かったんだけど。


今回はちょっと対応が良い。

晩餐の着替えも手伝ってくれたし、食事もヨシュア様と同じ食堂でとるよう勧められた。


去年は部屋に運ばれてたんだけど。まあ、去年は二泊しかしない超強行軍で帰ったから都合は良かった。


ヨシュア様と同じ食堂でってことは、家族か同等の来賓。


屋敷にも入れてもらえない扱いから考えたら、随分格上げされた。


ほかの騎士も何人か泊まってるから対応が追いつかないのかな。


この一年でカービングとの関係も随分変わった。去年の秋行われるはずだった巡業が伸びて、その代わりに行軍演技が披露されることになった。

巡業の準備を急がなくていい分、行軍演技のほうに注力できて、特に領兵たちとはかなりの仲間意識ができた。

自然、領軍の長、ヨシュア様とも顔を合わせる機会が増えた。


城の中ではわたしの存在も受け入れられたけど、ここ、タウンハウスは別。

正直、タウンハウスとカービングの騎士たちの関係も微妙なのが分かってしまった。

わたしは当然、騎士たちの味方なのだけど。


慣れないヒールで、ちょっとふらふらする。

飲み過ぎたかしら。


ベルセマムに手を取ってもらって階段を上がっていると、ヨシュア様が帰ってきたよう。

ちょっと酔ってるけどご挨拶しなきゃ。


上ってた階段を、また下りていくとちょうどヨシュア様が入ってきた。


うっわ!カッコいいー!


ほんと美形は何着せてもカッコいい!!


寒さ避けの黒のマントを脱ぐと、夜会用の裾の長いフロックコート。

長身だから、すごく似合う!


濃紺に銀の刺繍は、今日の騎士の衣装に合わせたのかしら?髪を長めにしてるから、亜麻色の髪が、濃紺に映えて色っぽいわー。


これは、夜会で帰らせてもらえなかったわねー。お嬢様たちのダンスの相手が大変だったんじゃない。


・・・セシリアの屋敷でのテンションが抜けないわ。やっぱり酔ってるわね。


わたしが階段を下りてくるのに気づいたヨシュア様が、流れるように近づいてきて、ベルセマムと代わってエスコートしてくれた。


はあ〜紳士ね。ドキドキするわー。


「どこに出かけていたんだ?アリエッティ。」


うわーん。いい声〜。

腰にくるわ。

酔ってるから余計。理性が飛びそう。


「友人が晩餐に招待してくれて。」

努めて、平静に。


「少し、酔ってる?珍しく顔が赤い。」


あら、バレちゃった?

あれだけ飲めば、酒臭いわよね。

久しぶりにハメ外しちゃった。


だけど、ヨシュア様もお酒の匂いがする。香水の匂いも。


お嬢様方が放してくれなかったのね。

あ、今日は巫女姫同席だから、アリシア様か。道理で。


「休んでなくてよかった。今日のお礼が言いたくて早く帰るつもりだったんだが、遅くなってしまった。・・・コーヒーはどうかな?」


はい、頂きます。


今日のご褒美に、チョコレート、食べたかったんです。


ヨシュア様がわたしの腰に手を回して、応接室にエスコートしてくれた。ふらふらしてたのはヒールのせいです。


細身に見えてしっかりした身体をされてるのよね。こうやって横に立つとそれがはっきりわかる。


ああ、理性が飛びそう。


はしたない真似しちゃダメよ!アリエッティ!

ここで襲ったりしたら、末代まで伝承される痴女になっちゃうわよ!



でも、ちょっとだけ。

気づかれないように匂いだけでも堪能させてもらっても良いわよね。

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