第六話 従魔契約
「では、『従魔契約』をするのである。小娘、『従魔契約』と言ってみるのだ」
「分かった。――『従魔契約』」
そうイリスが口にした瞬間、二人の足元に魔法陣が光りながら現れた。
「わわっ」
「小娘、何でもいい。契約の言葉を言うのである」
マダナイからの無茶ぶりに、頭を悩ませながらも契約の言葉を考えた。
「『――汝、いかなるときも我と共にあれ』」
すると、イリスの右手の甲とマダナイの額が淡く光り出し、少しして収束していく。
「マダナイ君、これは?」
「これが『従魔契約』である。主人の手の甲と、魔物は主に額だな。そこに『従魔契約』の証――契約紋が現れるのである。これは主人によって文様が変わっていく仕様だ。普段は見えないが、魔力を込めると現れるのである」
「ほれ」と言って、マダナイが額の『従魔契約』の証を見せてくれる。
「わぁ! 何だかいいね、繋がりがあるって!」
孤独だった自分に相棒ができた。それをしっかりと感じることができ、ジーンと胸に込み上げてくるものがある。
「ふふっ」
嬉しくて笑ってしまった。
「何を笑っているのである。次は街に行って、身分証を作らなければならないのである。しなければならないことは山ほどあるのだぞ」
「分かったよ。でも街ってどこだい?」
今ここは森の中。見渡しても街は見当たらない。一体どこにあるのだろうか。
「吾輩が分かるから大丈夫である。ついて来るといい」
「はーい」
イリスは言われるがままに、マダナイを追いかけて、後ろをついて行った。
次回は3/31に投稿します。