第二話 神との対面・その2
「では、お詫びの話をさせて頂いても?」
「うん。構わないよ」
少女は内心でウキウキしていた。これはいわゆる異世界転生というヤツではないだろうか、と。目の前にいる女神は地球の神ではない、ということは異世界というところは決定だろう。それに、お詫びというからには、チートなんかももらえるのではないかとも期待している。
「ふふふ」
「? どうしたんだい?」
いきなり笑い出した女神に、少女は首を傾げた。
「失礼しました。あまりにも嬉しそうでしたので」
素に戻っている為、顔に出てしまっていたようだ。少女は両の頬をさすった。
「では、話を始めますね。まず転生先ですが、私の世界でもよろしいですか?」
「うん、構わないよ」
思った通り異世界転生のようだ。
「では次に、転生と転移、どちらを望まれますか?」
「選べるのかい?」
「はい、今回は特別に。本来なら強制的に転生なのですが、今回はお詫びですので」
これは予想していなかった。しかし、選べるのであれば転移がいいと少女は思った。また一から赤ん坊をやり直すのはこりごりだ。転移なら、自分の好きなように動ける。
「じゃあ、転移で頼むよ」
「分かりました。あと、私の世界では魔法が使えます。それに当たって属性を与えようと思うのですが、これは特別に全属性を。それから能力を授けます。これは神族に連なる者しか持てないのですが……まぁ、いいでしょう。種族は『神人』となりますが、寿命が少し伸びて、少し傷の治りが早くなるくらいですので」
どうやら自分は人間をやめることになるようだ。しかし――やった! チート能力だ! と少女は心の中でガッツポーズをしたが、全属性を持っている時点でチートなのに気づいていない。さらに、人間の思う少しと、神の思う少しに差があることにも。
「言語に困らないように『全言語理解』を。これはどの種族とも話せますので、あなたの大好きなもふもふ達とも話せます」
「本当かい!? 嬉しいな!」
もふもふと話せるとはなんと嬉しいことか! 興奮して小躍りをしたくなる。
「あとは……そうですね、『全状態異常無効』を。毒や麻痺、石化、昏睡、幻覚などを無効にします。安全ですよ」
女神はにっこりと笑うが、少女の心は引き締まった。改めてそんな危険なところに転移するのだと。
「それから、お詫びではなく、私からのプレゼントとして装備を差し上げます。丸腰で送り出すのは私が心配なので。転移した際にはすでに装着されている仕様になっています」
「そっか。助かるよ。確かに丸腰はボクも怖いかな」
女神がくれるのだからきっと安心だ。丈夫なものをくれるだろう。
「見た目はどうされますか? そのままにすることも、変えることもできますが」
「ん~、せっかくだから変えたいけど思いつかないや。そっちで決めてくれるかい?」
「分かりました。お任せください」