ゆるゆらふわり。トンボの帰り道
掲載日:2020/09/19
秋風があくびをして
私の髪を撫でた
ゆるゆらふわり
誘われて
トンボが耳の横をかすめる
不可思議な動きを目で追って
どこへ行くのかと
眺めて仁王立ち
草木たちが帰れ帰れと
はやし立てる
トンボは赤い太陽に向かって
消えていった
ゆるゆらふわり
カサカサと
コンビニの袋が音を立てる
自転車のカゴに
ざっと詰めて
太陽に背を向け
ペダルをこいだ
あとはただ
影絵のような自分が
映し出されるだけだった
覆いかぶさってくる風が心地よい
あのトンボも
さぞかしご機嫌だっただろう
帰路はこうでなくては
せっかくの夕日がもったいない
気付かせてくれてありがとう
お前は家に着いたか
名もなきトンボよ




