二つ月
無事に遺跡探索を終えた私達は、町に戻ってきた。
遺跡探索は原則日帰りだ。いつモンスターが襲ってくるか分からない遺跡の中で眠るなんて出来ない。
とはいえ地下遺跡では太陽の位置で時間を知ることは出来ないから、もっぱら腹時計だ。時間はいい加減だし、さらに私達のパーティは安全第一で早めに戻ってくることが多かった。
まだ陽はだいぶ高い。今日も私達が一番に戻って来たみたいだ。
ちなみにこの町は私とペタの生まれた町でもある。
その私が言うのもアレだけど、元々はただの田舎町だ。近くに川が流れていて交易には便利だけど、同じ川の下流に別の大きな交易都市があって、商人もそっちに集中している。だからこの町は交易を主産業とはしていたけど、この付近の特産品であるリンゴを扱っているだけだった。
そんな町が遺跡発見で一変する。それは私の母が流行り病であっけなく死んで、私に身寄りがなくなった頃だ。
すぐに大勢の人が集まってきて、この町は冒険者の町に変わった。
町が大きく変わる中、天涯孤独になった私は冒険者を目指す。
遺跡が発見された時には町全体が沸いたけど、それ以上に私は何かが始まったと思ってワクワクしたんだ。
私には前世の、それも異世界の記憶がある。
その意味は分からないけど、それを知るためにはただの町娘ではダメだと思った。何か特別な存在にならなきゃいけないし、特別な存在になれるんだろうと思った。
そういう考え方も前世の記憶の影響かもしれない。
だから、町に冒険者ギルド(仮)が出来てすぐに私は適性試験を受けた。そして魔法が使えないって分かった時には本当にがっかりした。転生までしたんだから、ちょっとは強力な魔法を使えるようにしてくれたっていいのに、神様はケチだ。
「ナノ、明日はどうする?」
ペタに声をかけられて我に返る。
遺跡から町に戻った後、テラさん達とはギルドで別れて、今はペタと二人で並んで歩いていた。
私とペタはこの町に自分の家がある。でもテラさんたち外から来た人は、町外れに建った冒険者ギルド(正式)周辺に新たに出来た新区画に住んでいた。そっちの方が遺跡にも近い。そしてリンゴより遺跡からの収入の方が圧倒的に多くなった今は、新区画の方が賑わっていた。
元々の町の中心が今は町外れのような雰囲気なので、私達は町の中心部に向かいながらも感覚は町外れに向かって歩いている感じだ。
「明日は昼からテラさんと打ち合わせでしょ?」
「うん、そうだけど昼まではどうするのかってこと。俺は昼までギルドで訓練をしようと思うんだけどさ。」
「そう、頑張るわね。」
ペタは私も誘いたいんだ。
それを理解した上で、つれない言葉が脊髄反射で出る。
素直になれないのか、私がペタのことをどう思っているのか、私自身まだよく分からない。
ペタも何か言いたそうだけど、それ以上は何も言わなかった。
そうしているうちに、私とペタの家の分かれ道まで来る。
「じゃあ、ペタまた明日テラさんの所で。訓練するなら、お昼ごはんはちゃんと食べるのよ。」
「わかってる。・・・じゃあな。」
私はペタの葛藤に気付かないふりをして、それからすぐにペタのことは頭から追い払うことにした。
考えてもしょうがない問題だ。
自宅に戻って装備を外すと、さっそく点検と手入れをする。その後は、水を汲んだり、火を起こしたりといった家のことをしていると日が傾いてきた。今日の仕事はここまでと、タライに水を張ってタオルで簡単に体を拭いて髪を洗ったら、帰りがけに冒険者ギルドで買ったお弁当で夕飯だ。
私はかつて母と暮らしていた家に、今は一人で住んでいる。
私ぐらいの年齢の女の子が一人暮らしなんて、本当は非常識もいいところだ。
もちろん最初はいろいろ言われたけれど、今は冒険者をしていることもあって、周囲からは諦め半分で受け入れられている。
とはいえ、もしここが新しく来た人達ばかりの新区画なら、一人暮らしの女の子なんてタチの悪い男達に簡単に襲われていただろう。みんな顔見知りの旧区画だからこそ、私は危ういながらも周囲に助けてもらって、なんとかやってこれたのだと思う。
そしてその生活が成り立つのも冒険者ギルドのおかげだ。
例えば食事。
ギルドで手軽にお弁当が買える。それだけの現金収入があり、またお金と引き換えに食事を提供する場所があるということだ。
遺跡が発見される前のこの町にはそのどちらもなかった。
ここでは一人で自炊しながら生活するなんて無理だ。薪とかまどを使った調理で一人分だけの食事を作るなんてそもそも非効率だし、たくさん作っても保存する手段もない。
私のように結婚する前に両親ともに死んでしまうことは珍しくないけど、そんな時はどこからとなく湧いて出る世話役が、富裕層の住込みの女中(という名の愛人)として紹介し、相手が気に入れば本人の意思とは関係なく生きるために受け入れるものだった。
「それにまあ、食事が美味しくなったのは遺跡のおかげね。」
ギルド経由で王都や他の町から様々な食材がこの町にも入ってくるようになった。
それまでのこの町定番の料理といえば蒸かしたイモと、塩で味を付けただけの野菜のスープだったのだけど、冒険者でなくても遺跡に関わって現金収入のある家庭ならライスやパンを主食にし、様々な調味料と砂糖を使って料理をしている。
このギルドのお弁当だって、冷めていてもこれまでの食事と比べたら格段においしい。
遠くで犬の吠える声が聞こえる。
近くでは虫が鳴いていて、私が咀嚼する音を少しだけ消してくれる。
こうしていつもの、一人の夜が過ぎていく。
隣のオジサンが大声で喋ってる。職場の愚痴だから聞くつもりはないが、聞こえてくるのはしょうがない。
食堂のオバちゃんがデザートにと付けてくれたリンゴをかじる。
一人が淋しいと思ったことはない。
食事を終えてテーブルの上を片付けたらお茶の準備をする。お茶といっても、この町で良く飲まれているのは毒のない草(本当にその辺に生えている草!)と干したリンゴの皮を煮出したものだ。
出来合いの食事だから、カロリーはともかく足りない栄養を補うという意味で、前世の知識も踏まえて食後にお茶を飲むようにしている。
ここではまだ、まんべんなくいろんな栄養を取るという概念がない。テラさんなど、ほっといたら3食イモだけで済ませているから、せめて食後にリンゴを食べるようにと口を酸っぱくして言っている。
お茶を飲んで一息ついた私は、テーブルの上を片付ける。そして頼りなさげなランプの明かりを少し強めて、遺跡から持って帰った紙と箱を取り出した。
私が引っ掛かったのはこの箱の組み木模様だけではない。
そもそも古い遺跡から紙が発見されるなんてあり得ない話だ。
紙はよほど保存状態が良くなければ残らない。劣化を防ぐ、もしくは劣化しても回復するような機能が備わってない限りは。
改めて紙を取り出して、私は確信する。
足跡が付いて破れていたはずが、もうほとんど新品同様に戻っていた。
「魔道具?」
魔法の紙。これだけ見ればそう思う。
でもこの箱の規則正しい組み木模様は、私にあるものを連想させていた。
「この模様は箱を開けるための仕掛けじゃない。|中に入っていたもの(紙の性質)を表している?」
前世の記憶とこの模様がカチりと音を立ててかみ合う。
そう、前世で私はいやというほどこういった模様を見てきたはずだ。
「この模様は・・・やっぱり分子構造に見えるのよね。でもこの箱全体の模様で一つの分子だとすると、とんでもないものね。高分子…いや、これはもうナノマシンだわ。」
前世での私の職業は研究者。ナノマシンと呼ばれるものを研究していた。
それは小さな分子がたくさん繋がった複雑な立体構造をしていて、その構造によってさまざまな機能を持つ。簡単なものでは温度や湿度を状況に応じて調節する新素材のようなものから、複雑なものは自立型の工作機械のようなものまで、ナノマシンと言われるものの幅は広い。
そして一つのナノマシンに出来ることは微々たるものだが、無数のそれらが連携することで、例えば火星を人類が生存できるように環境改変したり、人工物を分解して原始時代のような世界にすることだって出来る。もっとも私の前世では出来ると言われていて鋭意研究中、だったんだけどね。
でもこれがナノマシンだという私の推測が正しければ。
この町の古代遺跡は今の時代に繋がる魔法文明ではなく、科学文明の遺跡ということになる。
それも分子工学が存在する程に発達した科学文明。
心臓が高鳴る。
だがこれは箱の模様から連想した推測でしかない。
相手はナノメートル、1ミリの千分の一のさらに千分の一という世界だ。専用の機材がなければ見ることも出来ない。この紙がナノマシンの集合体だとしても、目視ではただの紙だ。
「どうしよう、これ。」
私がため息をつくと同時に、大きな鐘の音が町中に鳴り響いた。
何事かと隣近所の人が家から飛び出して、何か喋っている声が聞こえてくる。
「・・この音は、町が襲われている?!」
私は急いで一度脱いだ装備を身に着ける。貴重品と紙と箱もカバンに入れた。誰もいない家の中には置いて行けない。
そして動き出す前にまず深呼吸。
こんな時にあせってもいいことはない。
よし。まずは状況を把握しないと。
町には街灯なんてない。ただ、二つの月が闇夜を薄く照らしていた。
家から飛び出していた隣のオジサンにも声をかけながら、私は鐘の設置されている町の中心部に向かう。そこにはもうペタがいた。
「ナノ!良かった合流出来て。遺跡からモンスターが攻めて来てる。遺跡に近いギルドの方はもうかなりモンスターが侵入してるみたいだ!」
「もう町の中まで入られてるの!?」
先にテラさん達とも合流したかったけど、市街地戦になっているなら合流は難しいかもしれない。
私は集まっている人たちを見渡す。
旧区画だから昔から町に住んでいる顔なじみばかりだ。
町を守りたいという思いは強いだろう。冒険者にはならなかった若者にも武器や盾が配られている。恐怖に顔をひきつらせながらも、みんな出来ることをやろうとしている。
だけど戦った経験の少ない彼らに、はたしてモンスターの集団を相手にすることは出来るのか。
「なあ、ナノ。」
ペタが声をかけてくる。
言おうとすることは分かっている。
半人前とはいえ、立派な装備を持っていて、こんなところでただ敵が来るのを待っているだけという訳にはいかない。
それ以上に、外から来た人たちが戦っているのに、私達が何もしないわけにはいかない。
モンスターと戦うのは、冒険者の役割だ。
私はペタを見る。同じ考えだと顔に書いてある。
それでも私は口に出す。
「私達は、行こう。」
―*―*―*―*―*―*―*―
私達がギルドのある新区画に入って最初に遭遇した戦闘は、知らない人達のパーティとオークの集団だった。オークは弱い敵ではないけれど、そのパーティには魔法使いもいて既にオーク達は相当手傷を負っているようだった。加勢する必要もなさそうだったのでそのまま素通りする。
別に人見知りってわけじゃないのよ。
それから少しして、路地に入ったところではぐれて一匹だけになっているゴブリンを見つける。
本当は先にテラさん達と流したい。
でもこういうはぐれモンスターが家を荒らすことを防ぐのも大切なことだと冒険者ギルドからは言われていた。
今の私達の技量で出来ることは多くないけど、相手は一匹だ。
隣でペタも剣を抜いていた。
まず私が先手を打って短弓で攻撃するが、これは外してしまう。
こちらに気付いたゴブリンが奇声を発して一気に詰め寄って来る。二射目は諦めて剣と盾を構える。
私とペタの基本のフォーメーション。
盾を持っている私が前に出て相手の注意を引きつける。
ゴブリンも小柄な私の方が相手をしやすいと思ったのか、こちらに向かってきた。
もう少しでゴブリンの剣が届くという距離でペタが横から飛び出してフルスイングで大剣を叩きつける。しかしこれは警戒されていたようで避けられてしまった。
すかさず私は盾を前に出して追撃する。フルスイングしたペタの隙を狙って攻撃されるのを、盾で抑えるためだ。そのまま体当たりして相手の体勢を崩すことが出来ればさらにいい。
しかしこの追撃が仇となった。
盾を構えることで視界が遮られ、ペタではなく私の足元を狙った薙ぎ払いが見えなかった。
防具のない足首の辺りを切られる。
焼きゴテを当てられたような痛みで戦闘意欲と体のバランスが奪われ無様に転倒する。すぐに立ち上がることは出来ない。
一人だったら、ここで死んでいたかもしれなかった。
「大丈夫か?」
ゴブリンが死んでいるのを確認したペタが声をかけてくる。
あの後、ゴブリンの左肩を、体勢を立て直したペタの二度目のフルスイングが砕いた。
珍しくそれで戦意を喪失しなかったゴブリンは右手だけで武器を振っていたが、それで状況は変わらず、ペタが無難に押しきる。
手負いになっても戦意を喪失しなかったのは逃げられないと思ったからか、それとも戦闘経験を積んでいたゴブリンだったからか。
私は足を切られて戦意を喪失し、起き上がることもできずにいたからあのゴブリン以下だ。ちょっと落ち込みながら手早く傷口に軟膏を塗って布を巻く。
立ってみるが、だいぶ深く切られていて足に力が入らない。
「ペタ、私はちょっと歩けそうにない。」
「まずいな。どうする、笛吹くか?」
笛というのはこういう場合を想定して冒険者ギルドが配っている連絡用のものだ。
「けが人あり。救護求む」や「負けそうなので撤退する」「強敵あり。集合」「がんがん行こうぜ」など、音の高さで使い分ける。今も遠くから様々な笛の音が聞こえていた。
「どうする?」というのは、近くにいるのが人間ならいいが、モンスターならこの状況でさらに戦闘になる可能性があるからだ。血は止まったので、このままここでじっとしていてもいい。もちろん、笛なんて吹かなくても血の匂いでモンスターが寄ってくる可能性も大いにある。
選択肢はあるが、どちらにしても賭けだ。
「吹いて」
私は壁に手を付きながら、何とか立ち上がって答える。
ここはテラさんの宿の近くだ。うまく合流できればと考えた。
単純に怪我をしたことで頼りになる相手を求めたのかもしれない。
盾をすぐ持てるようにして、スリングで投石の準備もする。短弓は両手じゃないと使えないから、片手で壁に手を付いている今の状況では使えない。
独特の重低音が響いて ――「救護求む」は最も広範囲に聞こえるよう一番低い音が採用されている―― そしてその賭けは裏目に出た。
現れたのはおなじみのゴブリンが一匹。それから犬と人が合成された、というより後ろ足で立っているだけの犬のモンスター「コボルト」だった。
コボルトはゴブリンよりさらに小型で武器を持たない(持てない)ので、一般的にはゴブリンより戦いやすいと言われている。怪我をしてなければ私一人でも勝てる相手だ。
またコボルトは狼のような性質を持つので、通常は大勢で群れるし、好んでゴブリンと行動したりもしない。仲間とはぐれたか、どこかで負けた群れの残党なのか。
隣で焦ったようにペタが何度か笛を吹くが、それ以上は敵も味方も現れなかった。
敵が襲ってくるのを見てペタは笛を捨てて武器を構えるとゴブリンに攻撃をする。
私は残ったコボルトにスリングで投石するが、短弓より命中させるのが難しい上に目の前で投石している。タイミングを合わせられてしまい、これは簡単に避けられる。
剣を構えている暇はない。壁を背にして体を支え、盾でコボルトの勢いの乗った噛みつきを受け止める。
ここまではまだ私も冷静だった。セオリー通りに盾の裏に仕込んでいた短いナイフを抜くが、すぐにコボルトの爪で弾かれてしまう。
盾で防いではいるが壁を背にして逃げ場はない。このままではいずれ押し込まれてしまうという恐怖で私は半ばパニックになる。後先考えずに壁を背で押して盾ごと前に出たが、足を負傷しており踏ん張れるはずもなく、地面に転がる。
相手も転がって少し距離が出来たが、そこは犬だ。四つん這いになって体制を整え、そのまま四つ足で迫ってきた。
立ち上がる余裕もなくそのまま剣を抜いてけん制したが、いつもより低い体勢だからだろう、目測を誤った。
たぶん、恐怖を感じていたのも大きい。
だいぶ早いタイミングで剣を振ってしまい、けん制にはならない。
転がって逃れようとするが、それも簡単に追いつかれてしまう。
目の前に鋭い犬歯が迫る。左手の盾を前に出そうとしたが、先にその左腕に噛みつかれた。皮の手甲は簡単に貫かれて腕に犬歯が突き刺さる。
だが悪いことばかりではなかった。思わず悲鳴を上げながら払った左腕と相手の突進のベクトルがたまたま上手く重なり、巴投げのような格好になる。
相手も予想外だったのか牙は簡単に離してくれた。
相手を遠くに投げ飛ばすことが出来た私は、一息つく。
周囲の状況を確かめる余裕も生まれた。目線は外せないのでペタの様子を見ることは出来ないけど、ゴブリンの唸り声や剣戟の音がしているのでまだあっちはまだ元気なんだろう。応援はまだ期待できそうもない。
私は足に力を込めて立ち上がる。さっきは立てないと思っていた足の痛みも不思議と消えていた。
だが左腕がこれでは盾は使えない。右手の剣を握り直す。
相手は私が負傷している左側から回り込むように突進して来た。右手の剣を振ってけん制しようにも左側では間に合わない。それでも何とか牙を剣で受け止める。そして左足を軸に回転するようにして突進の勢いを後ろに逸らし、そのまま倒れ込んでマウントを取った。
勝てる。
私は無我夢中でコボルトの首筋に剣を突き刺した。
無我夢中すぎて、私の悲鳴に気を取られたペタが、その隙を突かれてゴブリンに刺された事には気付かなかった。
■固有名詞について
この町の名称は「ヨクト」と設定していますが、今のところ本文中には出していません。
いずれ他の町も出てくれば区別するために名称を出すこともあると思いますが、なるべく出さないように工夫はしたいな、と思っています。
こういう形式で少しづつ更新していく場合、間が空いてしまうと固有名詞を出されても誰だお前?ってなりませんか。
まあそんなこともあって、主要なメンバー以外はなるべく固有名詞を排して物語を書き進めたいな、と思っております。
まあ、私の名付けセンスが悪いだけ、という説もあります。
■町の規模
町は城壁と木の柵の間ぐらいの、人が通り抜けるのは困難だけど越えられないこともないよ、程度の壁(木製)で囲われています。ちなみにぐるっと円形ではなく、かなりイビツな形です。
遺跡発見前の壁内の人口が大体2000人。1世帯当たり5~10人(両親+その親の内誰か一人ぐらい+子供)で、およそ300世帯程度。それがそのまま旧区画の人口です。旧区画はさらに10区画程度に区切られてます。人口分布はピラミッド型で、例えば10歳だと100人ぐらいかな。小学校があれば1学年4クラス程度でしょうか。
残念ながら小学校はなく、各区画ごとに私設の塾のようなところに通っています。
新区画はその外側に新たに壁を作って作られた区画です。新区画だけで1000人程度、うち半数が冒険者です。冒険者は3~12人程度でパーティを組んでおり、大体60パーティ程度が存在しています。
また宿屋などは旧区画から移住(もしくは単身赴任)して経営している人も多く、旧区画は人口減と空き家問題が発生しています。
■特産品
特産品というのが設定されるためには、ある程度の流通が存在する必要があります。
今は日本各地に様々な特産品がありますが、平和な江戸時代になって海路や陸路が整備されてから生まれたものが多いのです。江戸という同時代では世界一の人口密集地が存在して大量に物資を消費したがゆえに、効率的に大量生産する体制が作られ、それが特産品になったわけです。
さて、この町の特産のリンゴといえば山の斜面に作られるイメージですが、つまりこのあたりは山と丘が多く、農業に適していません。ただ、山が多いということは川も多く、船での物流が発達しています。
というわけで町の近くを川が流れていますが、氾濫しても大丈夫なように、町自体は少し丘になっている部分に建築されており、神戸や長崎のような坂の多い町です。リバーサイドという雰囲気はありません。
また、遺跡は川の反対側にあります。
■食事とお茶
昔は一日2食(朝夕)だったという話はよく聞きますが、それは町人や貴族の話。農民や武士、肉体労働者は3食以上食べていたらしいですね。私もこれを書くために夜遅くまで起きていることが多くてついつい4食目に手を出してしまい、お腹が引っ込みません。困ったものです。
話が逸れましたが、冒険者たちも体を使う職業ですから3食以上食べていると思います。ただ、訓練もない休みの時は2食に減らしているかもしれませんね。そこでナノはペタに「訓練するならお昼も忘れず食べろ」と言っています。
なんだかんだ言って、ナノも世話焼きなのですね。
さてこの世界の食事ですが、少なくともこの町では、元々イモと豆が主食でそれ以外はリンゴしかありませんでした。ただし、それだけでは栄養が偏りますからその辺の雑草をお茶として飲んでいたのですね。当然美味しくはないですから、リンゴの皮で風味を付けて誤魔化してたわけです。
ただしこの物語の時点では冒険者ギルドが色々な食材を持ち込み、かなり食生活は華やかになっています。そういう設定にしておかないと、この先の食事の描写が味気ないものになってしまいますからね。
■魔法の紙
ものすごく丈夫でいつまでもきれいな魔法の紙。それ即ち、書いたものもすぐに消えてしまう。折り紙にしても元に戻ってしまう。なんて下らない魔道具だ!
というのは着想の一つでしたが、あんまり生かせませんでしたネ。
まあ、あちらを立てればこちらは立たず。しょうがないです。