第2話 それは始まり。
「えっ!?」
少女は驚いた。
誰かもわからないぶつかってしまった相手と何とキスをしてしまったのだから・・・・・・。
ドンー。
事故とはいえ初めてキスをしてしまった少女は驚いて動けずにいた。
そんな少女をぶつかった相手が突き飛ばした。
「いったぁー」
少女は突き飛ばされて後ろの壁にぶつかってしまった。
しかし、普段ならここで相手に怒る少女も今回はさすがに怒らなかった。
『だって、キスだもんね・・・・・・事故とはいえ知らない相手と・・・・・・』
キス、言わば口付け。
それは魔法使いと召喚師の契約につながるため異性とはもちろん、同性や親子ですらこの世界では滅多にしない行為だった。
少し落ち着いているように見えるこの少女でさえ、母と以外では今回が初めてだった。
だから少女も心の中では結構動揺している。
『もしも、相手が男性だったらどうしよう』とか、『これが契約になっちゃったらどうしよう』とか考えている。
しかし、少女には混乱している暇はない。
早く逃げないと、早く隠れないと、奴らはいつ少女を追ってくるのかわからない。
『ひとまず相手に簡単にでも謝っとこうかな』
少女はそう思い、暗くて顔が見えない相手に向かって誤ろうとした。
「あ、あの、今回のは何ていうか事故だから・・・・・その・・・・・・ごめんね?」
何て言えばいいのだろうと思いながら何とか少女が謝った時だった。
「いっっっっつ!!」
少女の左手に激痛が走ったのは。
よく聞けばぶつかった相手も悲鳴を上げている。
『な、何!?
この痛みは!?』
少女の左手に何かが焼き付けられているような痛みがある。
少女は顔をしかめながらも自分の左手がどうなっているのかを見た。
「うわッ!!
何よコレッ!!!!」
少女の見た先には確か父と母の右手と左手にもあったと思う、というか絶対にあった魔法使いと召喚師の“契約成立”の際に現れる魔法人だった。
「どうしてくれんだよ、お前」
急なことで半ば放心状態の少女の前に現れ、どすの聞いた声で話しかけてきたのは多分ぶつかった相手であろう青い大きな瞳に綺麗な金髪の巻き毛をぶら下げた、結構かわいいゴスロリ少女だった。
ここから少女の今までにない地獄の日々が始まった。