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異世界転落  作者: 金柑山
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第2話

眼前に広がる景色に呆然としていた安土竜也は、ローブの男との一悶着の後、記憶喪失気味のの流れ者として処理された。

二日に一度来る鉄道列車が先日来たばかりだということ、此処が終わりの街として一種の名所となっているということ、竜也が倒れていたゲート前でいざこざがあったことが竜也を助けたと言ってもいい。


ーーーーーー


「帰りたい…」


安土竜也は愚痴を零した。

記憶喪失者として、人手の足りない『繋ぎ屋』の職を与えられた竜也は、元の世界に戻るべく密かに資料を漁っていた。

この世界の言語は何と日本語そのものであり、竜也は「何か思い出すだろう」と、鷲鼻の男…リークスに紹介された資料館に居た。


『影の柱』

研究結果やデータ資料等の溢れる中にポツンと一つ、物語のような装丁の本があった。

竜也はその本を開く。


ーーーーーー


『天の力と地の力、二つの根源は何方も空の向こう側なのかもしれない』

との書き出しで始まるその本は、民話集のような形で次々と『影の柱』に纏わる伝承のようなものを語る物だった。

安土竜也はその内容から役立つそうなものを抜き出し記憶していく。


魔法のような力が有った。

天の力を体内に溜め、敵を焼く火として、味方を癒す熱として、暗闇を照らす光として、その手から放つそうだ。恐らくあのリークスもこれを使い竜也を治療したのだろうと竜也は背中を摩る。


人類には共通の敵が居た。

大虫、怪物、地下に巣食うもの達、それらはそう呼ばれ、鋭い爪と顎を、兜のような殻を持ち、地上に山のようなコロニーを形成し人類に害を成していた。

だが既に全てのコロニーの破壊が終了しており、今の地上は人類の天下だということだ。


「凄い…」


魔法を使いモンスターと戦う世界が実際にあったのだと竜也は感動していた。

立ち会えず残念と思う気持ちと、それでも今は平和なんだと安心する気持ちが入り乱れた。


結局解ったことはその二つと、『影の柱』についてのみだった。

『影の柱』というものはあまり明確ではないもので、空からスッと伸びる真っ黒の柱を見たとか見てないだとかそのような書き口であった。


ーーーーーー


一冊を読み終えた安土竜也は、資料の山に立ち向かう気がおきず手を拱いていた。

すると資料館の扉が開き、ひょろりと背の高い細身の男が入って来た。


「タツヤってのは君かい、ちょっと来てもらおう。」

「ちょっと待って、一体なんなんだ!」

「ニゴエだ、良いからついて来い」


そう言うとニゴエを名乗る細身の男は、竜也の腕を掴み資料館の外へと連れ出した。


一切の言葉を発さずニゴエが連れて来た建物の中には、髭を蓄えた大男が座っていた。

大男の顔や腕には傷が走り、その鋭い眼光は竜也を固めてしまうには充分だった。

ニゴエが外に出て行くと、部屋には沈黙だけが残る。


耐えきれなくなった竜也が口を開こうとしたその時に大男が語りかける。


「タツヤと言ったな、俺はサカザキだ。早速だが説明に入る」


そう言うとサカザキは淡々と『繋ぎ屋』の説明を始めた。



「お前のその体型では盾持ちよりも射手が妥当だろう、『光』を使えるワケでもなさそうだしな」

「射手?」


地下に潜りパイプラインを引くという行動の目的や意味を説明した後に、突然出てきた複数のわからない単語に、竜也は思わず突飛な聞き返し方をしてしまう。


「もしかするとお前はそこも知らないのか」

「ええ、まあ、はい」


サカザキが語気を強めながら質問をすると、竜也は冷や汗を垂らしながらそう答えた。


「…わかった、一から説明してやる」


呆れた用にサカザキは説明を始める。


「人間が怪物共に立ち向かうには武器と盾が必要で、その武器となるのが『火』、そして弩だ。

射手というのは弩の撃ち手のことで、怪物の動きを止める役割を担っている。

鋭い爪と顎は一度引っ掛かれば獲物を離さず、その丈夫な殻は面の広い一撃を防ぎ、忌々しい再生能力は中に異物の残らない剣や槍の効果を激減させる。そんな怪物と『火』の力無しで対峙する方法、それが射手による弩での攻撃だ。」


「あの、射手以外にも何か有るんですか?」

「当たり前だ」


そう言うとサカザキは溜息をつきこう続ける。


「この調子では全て忘れて居るだろうし、残りの役割も一頻り説明しておこう。」


そうして竜也が聞いた説明によると、もう三つの役割が有るらしい。

盾持ち、工員、光使い、この三つだ。

盾持ちが一番多く、部隊行動の場合は半数を占める。表面を滑らかに加工した大きな盾で怪物の爪や顎を弾く仕事だ。

次に多いのが光使いで、球状に光草を纏めたボールランプと、螺旋状に光草を纏めたスポットライト、其れから天の力を溜め込む金属の詰まったタンクを背負い、洞窟内を照らす仕事だ。

最後に一番少ないのが工員で、こちらは地上で技術者等をやっている者が担当する。地形の記録を担当する者やパイプラインの整備を担当する者等、繋ぎ屋の要とも言える仕事だ。


ーーーーーー


「ありがとう、ございました。」


説明を聞いてクタクタになった竜也が部屋から出ると、満天の星空が広がっていた。

ツンと冷えた風が吹き、竜也はそそくさと繋ぎ屋の寮に向かって行った。


ほぼ設定集でした

主観っぽい世界観は3話の方で御座います


派手な(?)動きはn話までどうかお待ち下さい

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