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おじちゃんが見た世界  作者: 蛇炉
7/20

第七話 おじちゃん、頼まれる

※誤字・脱字などがあるかもしれませんが、ご了承ください

人は、自分の意にそぐわない事に対して、“理不尽”という言葉を使う者が居る。



理不尽

道理に合わないこと



確かに、筋の通らないと感じればこの言葉を使うのは当然のことだろう。

だが、この言葉にとても似ている言葉がある。


それが、“無理”だ。



無理

物事の筋道が立たず道理に合わないこと



無理と理不尽



はたして、この言葉の明確な違いは何なのだろうか?



私は、この二つをこう解釈している。


理不尽は

自分には行えないものをやらされている状態


無理は

自分には行えないものをやらされそうになっている状態



ようは、今"やっているか" "やっていないか”の違いだ。

だが、正直この二つを明確に使い分けているかとても怪しい。





・・・あなたはこの二つ、どう使い分けてますか?



















*****************














「・・・はぁ」



俺は、何度目になるか分からないため息を吐き、天井を見上げた。

俺の目には、寝るときや寝起きの時に見慣れた天井が写り込む。

天井には、やる気のない電球がゆらゆらとした光で部屋の中を照らしていた。


やっぱり、どっからどう見ても俺の部屋だよな・・・ここ

この電球、適当に拾ってきて中にロウソク突っ込んで明かりにしてたんだよな・・・

そのせいで、電球の真下は溶けた蝋のせいで少しだけくらい

定期的に中の蝋を取らないとあっという間につけなくなるんだよなー・・・



「・・・はぁ」



俺はもう一度ため息をつき、頭をボリボリとかいた。

そう、紛れもない俺の部屋


だが、それは俺の理想論

実際は違う


その証拠に・・・



「あ、あの・・・やっぱり部屋を移られた方が・・・」



巫女は、おずおずと俺にそう進言して来た


そう、巫女の存在

ここが俺の部屋じゃないという証拠だ。



アルとの話し合いの後、俺と巫女は例のでかい部屋を出て、俺の部屋に戻るはずだったのだが、俺が無理を言って巫女にあることを頼んだ。


それは、“俺が最初に目が覚めた部屋に連れて行け”だ。


正直、この部屋は俺が居た世界の俺の自室そっくり、いや、そのものだった。

さっきも思ったが、俺が考えついてつけた電球まで全く変わらない。

俺の下にあるこの布団も、俺が愛用していたものと変わらない。


この世界に来て、唯一の自分の世界との共通点の用のものだ。


俺はそのまま身体を倒し、慣れ親しんだ布団に潜り込んだ。

もぞもぞとしばらく布団の中で転がり、定位置に頭を出した。

完璧だ・・・ここはもう俺が居た世界の俺の部屋だ・・・間違いない



「あ、あの・・・勇者様?」



巫女が再び、俺に声を掛けてきた。

今度は、俺の顔をのぞき込むようにグイッと身体を寄せてきた。


・・・此奴がいなけりゃ、現実逃避できんだけどなぁ~


俺は、巫女を見ながらもう一度ため息を吐いた。



「なんでもねぇよ・・・それより、何でお前はここに居るんだよ?自分の部屋に帰ればいいだろ?」



俺は顔をのぞき込んでくる巫女を見下ろしながらそう言った。

巫女なのだから、自分の部屋くらいあってもおかしくない。

アルの用事も済んでることだし、俺と一緒に居る理由はない。


出来れば、かえってもらいたい・・・とういか帰れ。


しかし、そんな俺の思いとは裏腹に、巫女は少々いいづらそうに顔を背けた



「あっ、えっと・・・私の部屋と言われましても、日をまたいでしまいますし、昨日私が使った部屋は戻りようがないといいますか・・・」


「は?」



え、なに?

巫女の部屋ってそんなに遠いの?

・・・ちょっと待てよ?


俺は今の話を聞いて一つ疑問が出来た。



「お前・・・昨日どこで寝たんだ?」



そう、こいつの寝床

もし、俺の話が正しいなら、こいつの部屋はこの建物の中にはない。

あっても、ここからかなりの時間が掛かると予想が出来る

だが、こいつは今日の朝、問題なくこの建物の中にいる。

とすると、こいつが昨日寝泊まりしたのはこの建物の中の一室という事になる。



「あ、えっと、昨晩は・・・ですね・・・一応」



巫女はそこまで言うと、右手で地面をポンポンと叩いた。


・・・

・・・・・・は?

どういうことだ?


俺は巫女の行動の意味が分からず首を傾げると、巫女はもう一度地面をポンポンと叩いた。



「私、この部屋を使わせてもらったんです・・・今勇者様がくるまっている布団で・・・」



そこまでいうと、巫女は途端に顔から煙を出してうつむいてしまった。

そして、俺は自分がしている行動がどういう事かを理解した。



「・・・」



俺は、無言で布団からはい出て、巫女の正面に正座した。

そして



「・・・すまん」



静かにそういうと、頭を下げた。



「え?!、あっ、あの!!そそそんなっ、あ、頭を・・・」



巫女は俺にそう声を掛けてくれたが、頭を上げる気は無い



「ほんっっとうにすまんっ。知らなかったとはいえ、お前の寝床を・・・申し訳ない」



俺は地面に額を擦り付けながら巫女に頭を下げ続けた。

すると巫女は、両肩をグイッと押して俺の身体を無理矢理起こした。

おそるおそる巫女の顔を見ると、少々困ったような表情をして俺を見ていた。

まるで子供を落ち着かせるように、巫女は優しい表情を浮かべながら首を傾げて見せた。

俺は、さらに口を開こうとしたが、人差し指で口を押さえられ、何も言えなかった。



「誰にだって間違いや失敗はあります。それに、私なんかに頭を下げることはありません。貴方は私たちの希望、勇者様なんですから」



そういうと、巫女はニッコリと微笑んだ。

その笑みは、俺には妙にまぶしかった。


・・・またか

こいつは、また俺のことを勇者って



俺は・・・お前が考えてるような奴じゃねぇよ

何の力も、持ってない



その言葉を、俺は口にしようと思った

しかし、俺の口から言葉が出ることは無く、ただ口を半開きにする程度で収まった。

まるで、のどに何かを詰まらせたように、声を発することができなかった。


この世界に来て、巫女に何度か言われたこと



“私たちの希望”

“勇者様”



この言葉を聞く度、何かが警告を発する様にガンガンと頭痛がする。

そのたびに、俺は言葉を否定する。



違う・・・俺は、勇者じゃない。

こいつが思っているような力は持ってないし、期待に答えられるほど立派な生き物でもない。


俺は・・・ただの人間だ

誰がなんと言おうと、俺は人間だ

・・・そうだ、俺はただの人間なんだ



自分に言い聞かせるように、心の中で同じ言葉を繰り返す。



『痛い・・・痛い・・・』



俺は人間なんだ



『・・・痛い・・・痛いよ』



やめろ・・・違う・・・



『やめてよ・・・痛いよ・・・助けて』



やめろ・・・違う、人間だ・・・何もない、何もできない無力な・・・



『・・・誰か』



うるさい・・・喋るな・・・俺は正真正銘、ただの人間だ。

・・・そうだ、人間だ・・・人間なんだ



頭の中で響く声、それは子供のか細い声

誰かに、助けを求め続ける、声。


声が聞こえるたびに頭痛がひどくなり、苦しげな子供の声も大きくなる。

俺は両耳を手で覆い隠す。

そして、なぜだか分からないが「自分はただの人間だ」と、何度も心の中で繰り返す。



俺はただの人間だ・・・俺はただの人間だ・・・俺はただの人間だ・・・



『助けて・・・僕は・・・』



俺は




「ただの人間だ」


「え?」



気がつくと、心の中でつぶやいていた言葉を口に出していた。

巫女は、俺の方をキョトンとした顔で見ながら首を傾げていた。

俺は、慌てて「なんでもない」と巫女にいうと、巫女は少々訝しげに俺の顔を見てからまた表情を先ほどの優しい笑みに戻した。



「・・・都合が良すぎますよね、私たち・・・ですが、もはや事態は、私たちの手には負えないほど深刻です。もう・・・私たちは、貴方に頼るしかないのです」



すると、瞬間巫女は表情を真剣なものに変え、俺をまっすぐ見つめるとその場でガバッと両手をついて頭を下げた。



「・・・は?」



巫女の突然の行動に俺は、何が起きたのか理解できず、ぽかんと目の前できれいな☆DO☆GE☆ZA☆をしている巫女を見た。

すると、巫女はそのままの体勢で叫んだ。



「お願いします!!私たちの希望、この世界の救世主。どうか私たちにお力をッッ!!!」



それは、巫女の叫びだった。

詳しい事情は知らないが、巫女の声は俺に頼んでいるというより、勇者に頼んでいるようだ。


俺には、よく分からない

巫女の声は、テレビ画面から聞こえてくる声のようで、俺の心へは届いてこない。

だが、一つだけ伝わってくる事がある。

それは、巫女が心の底から頼んでいること・・・


目の前の少女は、勇者に懇願している。

この世界を、人々を救ってくれと・・・


俺には不可能に近い、とうていできないと頭で分かっている。

断るべきだ、否定すべきだ。

“俺にはできない、ほかを当たってくれ”と


だが、俺の口は全く正反対の言葉を出した。




「わかったわかった・・・俺に出来ることはやってやるよ」


「・・・!!、・・・!!」



巫女は、口をパクパクさせながら嬉しそうに顔を輝かせた。

何度も何度も頷いて、涙をぽろぽろ流していた。

俺はそんな巫女の泣きっ面を見ながら自分の言ったことが理解できなかった。


なんでだ・・・?

何で断らなかった・・・?

できもしないことを、なんで引き受けた?


不可解な出来事に、自分自身へ質問を繰り返してみたが、当然答えは返ってこない。

自問自答を繰り返しても、考えがまとまらない。


なぜ・・・?どうして・・・?


すると、不意に コンコンッ と扉をノックする音が聞こえてきた。



「すみませ~ん巫女様。いらっしゃいますか~?」



けだるそうな声が扉の向こうから聞こえ、返事も聞かずに扉をバンッと開き、声の主が部屋の中にズカズカと入ってきた。



「あら?、勇者様もいらっしゃったんですか~。・・・噂通りですね~」



メイドは間延びした口調でそういうと、俺と巫女を交互に見てニヤリと笑った。

すると、さっきまで泣いていた巫女がすげー早さでメイドの方を振り返った。



「ミ、ミイナ!!!勝手に部屋に入って来ないでくださいっ!!」


「はいはいごめ・・・じゃなかった、すみませんでした巫女様。」



メイドは手をひらひら振りながら頭を軽く下げたが、俺の方をチラリと見るとすぐに態度を改め深々と頭を下げた。



「・・・いいんですよミイナ。そんなことより、何か私に用があったのではないですか?」



僅かな間をおいて巫女は首を傾げてそういうと、メイドは少し焦った様子で口を開こうとしたが俺の方を見るとピタリと動きを止めた。

そして、目だけで巫女と俺を交互に見て、何度か口を開いたり閉じたりを繰り返した。



「・・・分かった。外出てるから、ゆっくり話せ」



俺はそういうと、まっすぐ扉の方へ歩いていった。



「お待ちください」



が、メイドに腕をつかまれ、足だけが前に放り出された。


・・・なんだ?

俺がいたら話しづらい感じの雰囲気だったじゃねーか

違うのか?


俺は腕を掴んでいるメイドを片方の眉をつり上げて首を傾げた。

すると、メイドは巫女の方を一瞥してからはぁとため息を吐いた。



「私は、別に勇者様がいるから話しづらかった訳じゃないの。ちゃんと話するから、戻って」


「はあっ?」



俺は首を傾げながらメイドを見た。

メイドは、にっこりと笑顔を浮かべ、腕を引っ張ってきた。

すると、すごい力で身体がメイド側に引っ張られ、よろよろとしながらさっきまで座っていた所に転がされてしまった。


な、なんだ?

今、俺は何をされたんだ?


何度か瞬きを繰り返し、自分の身に何が起きたのかを確認するように引っ張られた腕を隅々まで見た。

すると、隣で巫女が少し慌てた様子でメイドをしかりつけていたが、気にする様子も無かった。



「これは・・・ガリセウス様直々の頼み事です。勇者様、巫女様。至急、執務室へ来るようにと・・・お一人ずつ来るようにとのことです。まずは、勇者様から、ついてきてください。」



そういうと、メイドは踵を返して扉の方へ歩き始めた。

俺はメイドの後ろ姿を見ながら、巫女の方をチラリと見た。

巫女も同じように俺の方を見ており、巫女はすぐに首を傾げてしまった。


どうやら、巫女も詳しいことは知らないようだ。

・・・アルに呼ばれてる、か

大体予想はできる

どうせ、「今すぐ出発しろ」とか「明日にでも旅に行け」みたいな事を言われるんだろう。

あ~、面倒くせぇ・・・



「勇者様?さっき言いましたよね?“急ぎ”だって・・・」



メイドはそういうと、両手をぱきぱきとならしながら俺に笑顔を向けてきた。

満面の笑みなのに、メイドの背後にはなぜか般若がうっすらと見えていた。



「(ヒソヒソッ)お、おい・・・メイドの後ろになんか見えないか?」


「(ヒソヒソッ)勇者様・・・ミイナを怒らせてはいけません。近接戦闘だけなら、彼女は私の父より実力は上です」


「(ヒソヒソッ)・・・納得した」



このとき俺は、メイドの言うことだけは絶対に守ろうと肝に銘じた。そして、なるべく怒らせないように気をつけながら、メイドの後を大人しくついて行った。


















**********


















「この部屋です、勇者様」



メイドは廊下の突き当たりにある扉の前で立ち止まると、ゆったりとした動きでこちらに一礼した。



「あ、ありがとう」



なるべく平静を装いながらメイドに礼をいいつつ、目の前の扉を見た。

扉は、とても質素な木製で、僅かに光を反射する銀のドアノブが付いていた。

俺は、扉を開けようとノブに手を伸ばそうとしたら、突然目の前を白いものが横切った。

瞬時に手を引っ込め、目の前を見るとメイドの手がドアノブをしっかり掴んでいた。



「勇者様、ノックをお忘れではありませんか?」



ニコッと笑いかけてきたメイドの目は、少しも笑っていなかった。

俺は、黙って頷くとメイドはゆっくり手を引っ込めてくれた。

ほっと息を吐きそうになったが、それを一つ咳払いをして誤魔化し、気を取り直して扉をコンコンとたたいた。



「誰だ?」


「ア・・・ガリセウス様、大路おおじ 智秋ちあきです」


「おお、“おおじ ちあき”か!!入ってくれ!!」



アルの返答をもらってから、俺はドアノブを握った。

そして、僅かにドアノブが手の形に変形していることを確認し、改めてメイドへの恐怖心を一層強め、俺は部屋の中に入った。

すると、俺の目に飛び込んできたのは本の山だった。

どちらを見ても一面本、本、本っ!!

本以外のものは見あたらず、唯一目の前に一本道をつくるように本がどけてあった。

俺は、あまりの光景に動くのも忘れ、気がつくとメイドが俺の隣に立っていてさらに驚いた。



「おおじちあき!!、よくぞ参った。さあ、奥へ進んでくるといい」



すると、少しくぐもった声がどこからか聞こえてきた。

俺は周りの本を見てみたが、アルの姿はどこにもない。

だが、声の大きさからそこまで遠くにいるような感じではなかった。

すると、メイドは何の迷いもなく目の前の本の一本道を進んでいった。

俺も遅れてはいけないと、メイドの後に続くと、突然本の山が開け、大きな執務机が姿を現した。

執務机の上には、当然本が大量に積み重なっていたが、その中に紙の資料もちらちらと混ざっており、机の中心だけ綺麗に何も載っていなかった。

すると、机の奥からアルがひょっこりと顔を出した。



「すまないな“おおじ ちあき”。なにぶんやることが多くてな・・・ここにきてもらうことにした」


「いいえ・・・お気になさらず、ガリセウス様」


「ガリセウス様、巫女様を呼んで参りますので・・・くれぐれも」


「う、うむ・・・分かっている。ミイナ、下がって良いぞ」


「畏まりました。失礼いたします」



メイドは下腹部あたりで手を組みゆったりとした動きで頭を下げた。

そして、きびすを返してそのまま入り口の方へ戻っていき部屋の外へ出て行った。

しばらくの沈黙の間、がちゃりと扉が閉まった音が部屋の中に響いた。



「・・・さて、“おおじ ちあき”よ。巫女が来るまでに大まかな内容を話しておこう。・・・がその前に一つ、お前何かあったのか?」



そういってアルは、執務机の前まで出てくるとその場にあぐらを掻いて座った。

俺は、ふぃ~と息を吐いて同じようにあぐらをかいて対面した。

どかりと座り込んで、首を一周させてから俺は口を開いた。



「何かあるも何も、おまえに失礼があるとあのメイドに・・・これだよ」



そういって、俺は親指を立てた手を自分の首ものへ当て、そのままクイッと真一文字に首を横切らせた。

すると、アルはニヤリと笑って満足そうに頷いた。



「そうだな、あれは・・・私も、常に気を張っておかないとお仕置きされてしまうからな・・・まあいい。さて、話をしようか、どこから話したものか・・・」


「手短に頼む」



アルは、分かっていると片手を上げて答え、あごに手を当てた。

しばらくして、話がまとまったのか「うむ」と独り言を漏らすと、突然立ち上がり、執務机の上にある本の山をいじり始めた。



「異世界人のお前のためにも、まず基礎的な所からだな・・・ちょっと待っててくれ、確かこのあたりに資料が・・・」



そういいながら、本の山に次々と目を通していくアル

たまに、手を伸ばして本の背を指でなぞったり、ボソボソとつぶやいたりしながらどんどん机の向こう側へ移動していく。

すると、不意にアルがぴたりと動きを止め、本の山から一冊の本を素早く抜き取った。

本の山は、バタバタとやかましい音を立てて本一冊分低くなった。



「これだ・・・確か34-2に・・・ここだ、“おおじちあき”この本のここを見てくれ。」



抜き取った本をペラペラとめくり、本の右ページを指さしたアルは、本を地面に下ろして俺の前に置いた。

俺は、言われた通りアルの指さす箇所を渋々見た。

このとき、俺は初めてある事に気がついた。



(ああ、そうか・・・文字・・・読めねぇんだ。俺)



アルが指さしている箇所を見てみると、カクカクした記号やクルクルフニャフニャした線がびっしり書かれているようにしか見えず、それを文字として理解することはできなかった。



「・・・どうだ?、“夜”の意味はおおざっぱに理解できたか?」


「ん?、“夜”?・・・なんだそれ?」


「む?」

「あ?」



首をかしげたアルに、俺も首をかしげて見せた。

しばらくそのままお互いの顔を見ていたが、不意に、アルが何かに気がつきピシッと姿勢を正した。

いきなりどうしたのかと口を開きかけたその瞬間



「ガリセウス様、巫女様をお連れしました」


「うおっ!?」



突然メイドの声が頭の上から降ってきて、俺は慌てて顔を上げた。

そこには、うっすら笑みを浮かべて佇んでいるメイドが居た



「勇者様、何か?」


「い、いや別に何も・・・」


「おおミイナか、巫女は連れてきたか?」


「こちらに」



そういって、メイドは身体を少し横にずらした。

すると、メイドの陰に隠れるように身を寄せている巫女がいた。



「お、お待たせしました・・・少々身仕度に時間がかかってしまって。」



巫女は、メイドの陰に隠れたままそう告げると、メイドが巫女の方を見ながら不思議そうに首を傾げた。

すると突然メイドが一瞬ぶれ、メイドの姿が消えた。

メイドが消えたことで、支えを無くした巫女は前屈みに数歩よろけて俺の目の前で止まった。

巫女は、パチパチと何度か瞬きをすると、目を大きく見開いて半口を開けて俺を見てきた。



「あっ、ゆうっ、そのっ、あうぅ・・・」



巫女は、きょろきょろとせわしなく目を動かし、口をパクパクさせて何かを言おうとしていたが、言葉が出てこないのかうなり声のようなものしか出てきていなかった。

俺は巫女を引きはがそうと、両手を巫女の肩に乗せた。

すると、なぜか巫女はピクリと身を震わせ、まっすぐ俺を見てきた。



「あっ、あああっ、あの、あの、ああうあ」


「とりあえず落ち着け、な?」



俺は肩から手を離し、右手で巫女の頭をポフポフとなでた。

巫女の髪の毛は、サラサラとしていて、僅かに花のような良い匂いがした。

しばらく頭をなでてやると、巫女は落ち着いたのか顔を伏せたまま大人しくなった。

たまに、こちらをちらちら見てきたが、何かを言うわけでもなく、いやがっている様子もなく、ただ俺に頭をなでられていた。



「・・・手慣れていますね」


「うむ・・・あなどれんな勇者」




「うるせぇよ、てめぇらッッ!!」




失礼なことを言う二人を怒鳴ると、巫女は素早く俺から離れ、さっきまで俺がなでていた箇所を押さえてうずくまってしまった。



・・・嫌なら嫌って言えよ、止めたのに

何となく・・・今のは傷つくな。


・・・っておい、そこの王

何だそのため息

何に対してのため息だコラ!!!

そしてメイド

お前はお前で何ニヤニヤしてやがる!!!

・・・いつの間にアルの隣に移動したんだよ



俺は、二人を睨み付けたがアルは苦笑いを浮かべ、メイドはニヤニヤしたまま一礼するだけと、特に反省している様子は見られなかった。

俺はため息を一つ付くと、アルは巫女の所まで近づき肩をトントンとたたいた。



「そろそろ話を進めたいのだが・・・大丈夫か?」


「は、はい!!すみません!!」



巫女は素早く姿勢を正すと、その場で正座をして頭を下げた。

それをみて、また苦笑いを浮かべたアルは、俺の方にも確認するように視線を送ってきたので黙って頷いた。

すると、アルは先ほどの位置まで戻ると、一つ咳払いをした。



「単刀直入に言おう。お前たちをこの国から出すのが難しくなった。理由は単純、外が“夜”になってしまったからだ」



アルが“夜”という単語を口にした途端、メイドは息をのみ、巫女が小さく悲鳴を上げ口を両手で覆った。

あのメイドまでビビるとは・・・どうやら“夜”と言うのはとんでもなく不味い時なのだろう。


・・・“夜”がねぇ

そんなの、毎日来るじゃねぇか


この場にいるものすべてが恐れや驚きといった反応を示しているにもかかわらず、俺だけが状況が飲み込めず、首をかしげた。



「ど、どういうことですか・・・まだ“朝”になったばかりで“夜”になっているはずが・・・」


「窓の外を見た。・・・ほんの一時間ほど前にな、間違いない」


「そ、そんな・・・」



巫女はガックリと肩を落とした。

それを見たメイドが、肩をポンポンとたたきながらそっと巫女を抱き寄せた。



「ガリセウス様・・・」


「分かっている・・・だが、今回は運がいい。今この城には“セレドマ”が帰還している。ここにお前たちを呼ぶ前、セレドマ・アイン・ミズチの三人に国中を巡回をするよう言ってある。・・・大事にはならないだろう」



アルの言葉を聞き、なぜかメイドと巫女はホッと胸をなで下ろしていた。


・・・まあ、あのおっさんだったら安心だよな

何があるかしらんが



「だが、国の警備は今厳戒態勢。入国どころか出ることすら叶わぬ・・・少なくとも“夜”が終わるまでな」



アルがそこまで言うと、三人は顔を伏せて押し黙ってしまった。


・・・何だこの居づらい感じは

あれか、“夜”のせいか?

“夜”の意味を理解できてないから俺はこんな気持ちなのか?

・・・聞くか!!



「なあ、巫女巫女」


「・・・へ?、あっ、はい!!何でしょうか?」


「“夜”って・・・何だ?」



思い切って巫女に聞いてみると、アルが半口を開けて俺を見てきた。


こらこら王

半口開けて俺を見るな、メイドにやられるぞ?


そんなことを考えていると、巫女が少し視線を斜め上に向けながら、思い出すようにぽつりぽつりと説明してくれた。



「そうですね・・・“夜”というのは・・・なんといいますか・・・こちらの世界では、“朝”と“夜”の二つの時間帯がありまして・・・一日を・・・100時間をこの二つに分けています・・・その100時間のうちに魔物の行動が最も活発的かつ攻撃的になる時間帯が“夜”です。“夜”の特徴として、あたりが“朝”に比べて薄暗くなり“朝”より短い時間帯であると定義しています・・・ですが、“夜”の長さはバラバラで・・・平均50時間以内に“夜“から“朝”に変わるんです・・・ですが、古い文献によるとごく稀に“夜”の長さが変わる日があり、最短で5時間、最長で70時間続いたことがあるそうです。」



なるほど・・・そうなのか

時間がバラバラなのは、おそらく俺がいた世界の“春分・夏至・秋分・冬至”みたいな感じで長さが変わるんだろう・・・

さて、ここでまた疑問が出てきた。



「・・・魔物って、あの黒い化け物か?」



念のため、確認のために聞いてみる。

もしかすると、あれは魔物ではない可能性もある。

そんな俺の予想とは裏腹に、巫女は黙って頷いた。



「はい、そうです。魔物は粘液質の真っ黒な体を持つ生き物を総称して魔物と呼んでいます。主に“吸収”という行為をして生き続けています。それは、あらゆる物質を対象に行います。無機物、人、動物、植物、虫など、とにかく何でもです。しかも、魔物は個体によって“一体化”をする魔物もいます」



行程だけでは無く、魔物の特徴まで教えてくれた。


なるほど・・・やっぱり、あの黒いやつが魔物か

しかし、吸収に一体化か・・・



「“吸収”と“一体化”の違いって何だ?」



色々考えてみたが、結局は取り込むわけだよな?

そうすると、吸収と一体化の違いが分からん


すると、口を開いたのは巫女ではなくメイドだった




「一体化と言うのは、一度吸収した物を取り込み、姿形、特性、知性を反映することです。今まで確認されている一体化した個体で、被害が多かった例として、“樹木”と一体化した個体による擬態・襲撃を繰り返した例、“鳥類”と一体化した個体が縦横無尽に空を飛び回り、家屋や人を襲った例、そして、最も被害が出たのが・・・“人”と一体化した個体です。この個体による被害が数えきれず、また、対処も難しいため、現存している中で最も多いのがこの個体です。」


「・・・なるほどな」



人か・・・そいつは、やっかいだな。

今までの情報から推測していくと、“人”ってのが一番危険なのもうなずけるな。

おそらく、あの化け物が人と一体化すれば、“物を考えること”ができるだろう

戦略的な動き、他の魔物の統率、人に化けて人混みに紛れたりもできる

しかも、人っもそれぞれ個人の能力値が違う。

馬鹿みたいに身体能力が高かったり、頭使うのが得意なやつもいる

俺みたいな普通の人間ならそこまで驚異ではないだろうが、どこぞの最強おっさんでも吸収したなら・・・


・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・考えただけで恐ろしい

形ある物すべてを無に帰すんじゃないか・・・?



想像しただけで、ブルッと体が震えた。

すると、メイドが何かを察したのか俺を見ながら頷いた。



「そう、魔物というのはそういうものなのです。さらに、その特徴から肉弾戦はほぼ不可能。投石や武器での攻撃も、あまり効果はなく、逆にこちらが不利になってしまいます・・・」


「魔物の一部になるから・・・か」



俺がそうつぶやくと、メイドは再びコクリと頷いた。


うっわ、魔物面倒くせぇ~

あの黒いのそんなに面倒くせぇのかよ

攻撃が効かず、本体に触れない、おまけに吸収・一体化するって・・・


俺は、そこまでの情報から頭の中で魔物を思い浮かべてみた。

妙に細かく、鮮明に・・・

黒くてグニョグニョした黒い物体が、あらゆるものを溶かし、形を自由自在に変える姿を・・・

多くの人が、恐怖し、逃げまわり、悲鳴を上げ、泣き叫びながら黒い塊によって消されていく光景を・・・




ひどい




俺はその光景に、思わず顔をしかめた。

ただ思い浮かべただけなのに、妙に鮮明でリアリティがあった。

自分の想像力が恐ろしい・・・

だが、その想像も魔物が一匹しかいない場合だ。

“夜”という時間帯が、最も魔物が活発かつ攻撃的になるということは・・・


俺は、アルの方へ顔を向けた。

するとアルは、静かに頷いた。



「魔物は一匹でも恐ろしい物だ。それが大量に押し寄せて来るのが“夜”だ。・・・だから、対抗策として先ほどあげた三人に巡回を任せているのだ。」


「・・・いや、何でだよ」



思わず素で突っ込んでしまった。

俺は、ハッ!として自分のしてしまった気づいた。

だが、時既に遅く、アルの隣でにっこり笑顔を浮かべたメイドがいた。


うっわ、なんかアルの隣からものすごい笑顔の・・・

メイドさんメイドさん・・・出てます、般若さんお出ましになってます・・・

謝るから、素直に謝るから許して・・・


俺は全力で頭を下げた。

人の目?プライド?そんな物は知らん!!

自分の命の方が大切ですっ!!!!!


この場にいる自分以外も、おそらくメイドの 般若はき に気づいているだろう。

ほら、アルなんてメイドから少し体引いてる・・・てか、震えてるぞ?!

ちょっ、ほらメイドッ!!気づいてあげて!!!王が、王が怯えていらっしゃるぞ!!!


すると、俺の隣にいる巫女がこの殺伐とした空気を遮ってくれた。



「あ、あのですね。先ほどガリセウス様が仰っていた三人は“静騎士”(せいきし)と言いまして・・・魔物に唯一直接攻撃を加える事ができるんです。」


「ええっ、マジかよ!!スゲー!!何でだ?!俺、スッゲー知りたいなあ!!!」



俺は思わず声を荒げてしまった。

そうでもしないと、この殺伐とした空気を拭いきれないと思ったからだ

俺は恐る恐るメイドの様子を伺ってみた。

すると、先ほどまで感じていた重圧はすっかり消えていた。


ふぅ~何とかなった・・・


俺はほっと胸をなで下ろし、改めて巫女の静騎士について説明をしてもらおうと、口を開きかけた。




「静騎士様とは、“対魔物殲滅”の使命を負った誉れ高き存在でございます。静騎士様は、心・技・体のすべてを極めており、そのお力は、武装兵一万人に匹敵いたします。静騎士様の歩みは魔を震え上がらせ、静騎士様の洗礼された剣は、一振りであらゆる魔を払い、静騎士様の屈強なその体は、いかなる魔にも犯される事ない!!!。世界に十数名しかその名を名乗ることは許されておらず、静騎士様の中でも五本の指に入る実力者のうちの三名!!!


『静騎士随一の剣の使い手にして、第1防衛騎士団 切り込み隊長“剣王・ミズチ”様』



『静騎士随一の身体能力の持ち主にして、第1防衛騎士団 副団長“武王・アイン”様』



『数十名の静騎士を束ねるリーダーにして、第1防衛騎士団 団長 “静騎士王 セレドマ”様』


まさに、最強にして頂点!!武人の鏡ぃッ!!!!。」




突然メイドがつらつらと言葉を発し始めた。

最初は普通だったのだが、徐々に熱が入ってきたメイドは、わずかに顔を赤く上気させつつ、声高々と静騎士について熱弁してくれた。


・・・かなり嘘くさい話になっているが

まあ、とにかくすごい奴らなのは分かった。


てか、あいつらそんなにスゲー奴らだったのか。

俺、そのうち二人に襲われてたのかよ・・・よく生きてたな俺


俺はアインとセレドマに攻撃されたときの事を思い出し、ゴクリと生唾を飲み込んだ。



「ま、まあ勇者も彼らのことは十分理解できたと思うが・・・魔物を“静水”(せいすい)以外で消し去ることのできる唯一の人間、それが静騎士だ。」


「・・・なるほどな、で?その“静水”って何だ?」


「勇者様、私が使っていた白い水の事です。」


「白い水?・・・ああ、俺が水瓶ごとぶん投げたあれな」



俺は水瓶に入っていた例の白い水を思い出した。

真っ白というわけでもなく、かといって透き通っているわけでもない

無味無臭だったあれな・・・



「なるほど、水瓶をひっくり返したのはお前だったのか・・・そうか」



アルは目を細めながら俺を見ると、人差し指と親指であごを撫でた。

その動作は、何かよからぬ事を考えているように見てた。

不意に、アルは何かを思いついたのか手を休め、あぐらをかいている膝の上に手をついた。



「ならば、遠慮なく頼むとしよう・・・お前と巫女には、これから城を出て街に出没する魔物を殲滅してきてくれ。もちろんこれは、静水をひっくり返したお前の責任問題・・・いわば義務だ。拒否権は無い」


「・・・はい?」「・・・え?」



俺と巫女の声が重なった。


いま、なんて言ったこいつ?

魔物の・・・殲滅?

散々静騎士にしか倒せないとか言ってた、魔物を・・・俺と巫女が?


俺はパチパチと瞬きを繰り返し、

するとアルは、スッと目を閉じ、黙り込んだ。

何秒かして、アルは目を開くと巫女ではなく俺の方へ視線を飛ばした。



「勇者よ、お前に拒否権は無いが念のため聞いておこう・・・魔物と戦う覚悟はあるか?」



アルの問いかけに、俺は速攻で首を横に振ろうとしたが、それよりも早く巫女がズイッとアルの方へ詰め寄った



「し、しかし!!今静水は・・・」

「ああ、“静堂”に納めてある物しか・・・ない」


「そ、それではっ!!せいぜい魔物除け程度にしか・・・」

「それでいい。お前達は静騎士を一人付かせるつもりだ。そうだな・・・セレドマ辺りに伝令を飛ばせばすぐだろう?」



素早く言葉を返していく二人

しかし、巫女はセレドマの名を聞いた瞬間、顔をわずかに険しくさせて言葉を詰まらせた。


・・・まあ、そうだろうな

あんなうっとうしい親父だったら・・・なあ?



「私たち二人を守りながらでは・・・静騎士様はうまく立ち回れません。それにセレドマ様は、私が近くにいるだけで暴走しそうです」


「ありえるな」

「ありえますね」


「・・・そうか?」



巫女の言葉に、アル以外の全員が頷いた。


あのおっさんなら、間違いないなく暴れる

いや、巫女の近くにある物すべてを駆逐するだろう・・・特に俺みたいな男を



「セレドマなら、お前の前で醜態をさらすような事はしないと思うのだが・・・まあいい、とにかくすぐ街へ向かえ、これ以上の被害拡大は許されん。食い止めよ・・・分かったな?」


「はい」

「いやだ」


「・・・安心しろ、静水以外にも対抗策はある。巫女からあとで聞くといい」


「いやだ」


「・・・もちろん、うまくやってくれればすぐにでもこの国からお前達を出してやる。働きによってはさらに褒美もやる・・・いいな?」


「いやだ」


「・・・先ほども言ったが勇者、お前に拒否権は無い。多少の怪我や身体的欠損も元通りにできる・・・思う存分力を発揮して来てくれ、期待しているぞ?」


「いやr「いい加減・・・私もガリセウス様のお手伝いをさせていただきます」・・・承知しましたガリセウス様、必ずやあなたの期待に応えて見せましょうっ!!!!」



メイド様の介入で俺は快くガリセウス様の申しつけを聞き入れました。


ええ、聞き入れましたとも!!!!

まだ死にたくない・・・死ぬなら元の世界で死にたいぞ、俺はッ!!!。


俺の態度をみて、少々渋い顔をしていたアルだが、すぐにいつもの顔に戻り二度頷いた。



「・・・うむ。ではミイナ、二人を正門まで。念のため、巫女に“あれ”を渡しておけ、いいな」


「畏まりました。勇者様、巫女様、こちらへ」



アルに深々とお辞儀をしたメイドは、俺と巫女を順番に見て、扉の方に手を伸ばした。

そして、俺たちより先に扉を開き、外へ出るよう促された。

俺は少々戸惑ったが、巫女は何の迷いも無く促されるまま外へ出ていた。



「勇者様も、こちらへ」


「あ、ああ・・・すまん」



俺はおどおどしながら扉をくぐろうとした瞬間、ぞわりと妙な悪寒が走った。



「・・・?」



俺は、周りをキョロキョロ見渡してみたが、特に変なやつはいない

最初は、メイドが悪寒の正体かと思ったが、メイドは微笑みを浮かべているだけで特にいやな感じはしない。


巫女は論外


振り返っても見たが、本の山がそびえ立っているだけで何もいない


(・・・気のせいか?)


悪寒の正体が分からず、もやもやとした気持ちを抱えたまま、俺と巫女はメイドにつれられて正門へ向かったのだった。




※“静騎士”・“静水”は誤字ではありません 



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