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おじちゃんが見た世界  作者: 蛇炉
20/20

第二十話 おねえさん、やらかす

誤字・脱字等々多々あるかもしれませんが、ご了承ください。


一部グロテスクに感じてしまう様な表現がありますが、苦手な方は、お控えください。

=====数十分前=====





はいは~~~~~~~~~~~~いッッッ!!!!


お久しぶりです。



私です




現在、起こしてしまったことをありのままお話ししましょう。


私が寝ぼけ眼をこすりながら、大きくのびをして(いる感覚で)いつものように、オオジ君の中から外の様子を観察していると、なんとビックリ、謎のちっさい子と男の子がいて、しかもメリアスちゃんとゴリゴリのおじ様が戦闘を繰り広げていました。


しかも、雰囲気的に、結構劣勢??

そんな風に傍観していると、突然視界が激しく揺れ始め、視界の端にちっさい子と男の子が見え、どんどんメリアスちゃんとおじ様から離れていってました。

通路のような所をひたすら進んでいるようですが、これはもしかして・・・・・




・・・・・・・逃げてます?????

・・・あの程度の・・・・デカブツに対して???


いやいや、それはいけません

オオジ君はよくても、私は許しません。




状況を勝手に理解した私は、とりあえず呼びかけてみることにします。








『グモぉーーーーーーーーーーーニングッ!


オオジ君、何か楽しいことしてませんか?


お姉さんにも教えてほしいなぁー


混ぜてほしいなぁー


起き抜け運動したいなぁーーーーー!!』







いつものように、努めて明るく、わざとらしく聞こえるくらい大げさにだだをこねてやります。

ポイントは、小さな『あ』を大量に使うことです。




「だぁー!!!、今お前の相手してる場合じゃないんだよ引っ込んでろ!」




騒いだかいもあり、オオジ君はすぐにこちらに気がついてくれました。

さて、ここからどうやって引き返す方向に誘導しましょう??



そんなことを考えていると、突然、後方から凄まじい速度で何かの気配が近づいてきている事に気がつき、私は反射的に彼の身体を少しだけ操作して、身体を通路の端へ誘導しました。

すると、通路のど真ん中を叫び声を上げながら大きな物体が通り過ぎていきました。


気配から察するに、さっきのおじ様

そして、その後ろから来る気色悪い気配は・・・・・・・




「あ、おじちゃんごめん

こっちにおじさん飛ばしたんだけど、見てない?」




相変わらず感情を完全に漏らさない気色の悪いメリアスちゃんが、フランクにオオジ君に話しかけてきていた。

彼は、先ほど通ったおじ様の行き先を伝えると、彼女はまるで風のようにかけていった。




・・・・・さすが、神と言ったところでしょうかね?




その後、大きな広場に出て、メリアスちゃんにも追いついた頃、なにやら戦闘の雲行きが怪しくなってきていることに気がつきました。



それは、攻撃を加えるごとに、メリアスちゃんの力が減っていき、逆に、おじ様の力が増していっているのが分かりました。

どういう原理か分かりませんが、どうやら彼に接近しすぎるのは不利なようです。


しかも、さっきからメリアスちゃんの攻撃はわざと身体に受けています。

あれでは、“攻撃したらこちらが有利になる” とあからさまに伝えてきているようなものです。




・・・・・・遠距離から仕留めないと、ダメみたいですね?


・・・おやおや~~~~~~????

いま、たまたま気がついたんですがぁ?????


今現在、そんな攻撃手段を持っているのは、私くらいじゃないですかね?


オオジ君は、こんな簡単な事にも気がつかないみたいなので、私が懇切丁寧に説明してあげると、なにやらぐぬぬぬっ言ってます。


おおっと?????

これは、わんちゃん来てしまったのでは????


かなり切羽詰まった状況になっている今、かなりの高確率でオオジ君の次の発言はぁ~~~???






「・・・・・・おい、ちあき。お前なら、どうにかできるんだな??」







はい、勝ち確ですねこれは、ありがとうございます!!!!!


私は、二つ返事で可能である事を伝え、適当に確固たる意思がある的な言い回しで宣言すると、オオジ君はすんなりと、私に身体の所有権を譲渡してくれました。





ふ、ふふ、ふふはははははははは・・・・・・・・























ふ~っはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!!!

















私の時間が・・・・・・・・・・キタッ!!!!!!!!!!!


























=====現在時刻=====














「――――――――まあ、そういうわけなんですぅ。

つまり、わたしはただ皆さんのお役に立てればと思いましてぇ」


「・・・・・・今更猫かぶったりしなくても良いんだけど??ちあきちゃん」


「・・・あら、それじゃあ、ちょっと羽目を外そうかしら?」




私はそういって、ナルカミ君とネネちゃん(だったかな??)の頭に手をかざして、ほんの少しだけ味見をしようと――――――――――――








――――――――――――ヒュンッ





私の耳元を何かが通り過ぎ、風切り音とともに髪の毛が数本ハラハラと散ってしまった。

とっさに避けていなければ、私の顔は半分ほど無くなってしまっていたでしょう。




「・・・・・・・どういうことかしらね?、これ」




そういって、後ろを振り返ると、そこには――――――――

先ほど私が爆発四散させたはずのおじ様―――――――――の、腕だけがユラユラと浮かび上がっていた。


浮かび上がっている腕には、先ほどおじ様が振るっていた剣を持っており、私の顔のすぐ隣に突き出されている事から、先ほどの音の正体はこいつの仕業である事が容易に想像出来た。


私は、かざしていた手を素早く引き、浮かび上がっている手へ掴み掛かろうと身を翻した。

だが、おじ様の手は器用にそれを避け、剣を腕ごと回転させて再び私の顔めがけて振り下ろそうとしてきた。



(どういうこと?・・・・・確かにさっき、仕留めたはず。)



私はそんなことを考えつつも、身体を半歩だけずらして斬撃を避け、今度こそ浮かび上がる腕の手首部分と二の腕部分をとらえることに成功した。


何かされる前に、私はとらえた腕を無理矢理ピンッとはらせ、それをそのまま自らの膝に引き寄せ、肘を本来とは逆方向に思いっきり曲げてやった。


腕は、見事に逆方向に綺麗に曲がり、痛みで悶絶するように、地面へドサリと落ちてからじたばたと暴れ始めた。

そのさい、再び斬りかかってこられても面倒なため、地面に落ちる際に剣を手から引きはがし、地面をのたうつ腕へ切っ先を向け、様子を見ることにした。




「メリアスちゃん、念のため他の肉片が襲ってこないか警戒してっ!!!」


「・・・・・・いや、その必要はないかも」




メリアスちゃんの返事に、私は思わず顔をしかめ、どうしてそんなことを言うのかと思ったら。

彼女たちの視線の先に、見知らぬ人物が一人立っている事に気がついたのだ。


私は、地面の腕を無視して、能力を発動

腕の力を一時的に強化して、奪っていた剣を投げつけた。


剣は回転することなく、まるでダーツのように風を切りながら飛んでいき、見事にその人物の腹に突き刺さった。




・・・・・・はずだった




「おーおーおー、顔を出してみた途端にこれか?

中々あぶねーじゃねーか。

まあ、オレが作った武器で、オレがやられるわけねーけどな?」




その人物は、腹に突き刺さっている剣をものともせず、まるで何事もなかったかのようにこちらにゆっくりと歩いて近づいてきた。


そいつは、まるで冒険者のような格好をしていて、真っ赤な髪の毛をザンバラに伸ばしており、目には獰猛な光を灯しており、こちらをニヤニヤとイヤらしく見てきていた。


私は、男のその反応を見て、少しだけニヤリッと口角が上がりそうになったのを必死に抑えた。

いま、表情を崩すのはよろしくない。


なぜなら、すぐ近くにいたネネちゃんが、男を見てビックリするくらい震えていたからだ。

最初は何事かと思ったが、何やらぶつぶつしゃべっている内容を確認したとき、何となくだが理解できた。




「嘘・・・なんで?、冒険者さんが、あれは誰?・・・全く同じ格好・・・・・でも、クロスボウがない?・・・・・・でも、あの格好は・・・・・・」




どうやら、彼がネネちゃんを庇っていなくなった冒険者のようだ。

だが、何かが違うのか、ひどく混乱しているようだ。




・・・・・・・・濃厚過ぎませんか?、その感情。

私、ヨダレ垂れそうなのだけれど?




「おいおい、よそ見は禁物だぜ?ねーちゃん」


「あら?」




ネネちゃんに気を取られているうちに、どうやら私の近くまで来ていたようで、男がニタニタ顔をこちらに向けながら、何やら見下ろしてきていた。


一瞬、あまりに不快に感じて手をあげてしまいそうになったが、すんでのところで押し止まり、代わりに私の腹部目掛けて突き出してきた剣の腹をつまんでやった。


男は驚いた様子で目を見開き、再びニタニタ顔で話しかけてきた。




「さすが、この程度じゃ不意打ちにすらならねーってか?

だがな―――――さすがにこれはどうだぁ!?」




次の瞬間、つまんでいた剣がグニャリとゆがみ、見覚えのある黒い粘性の液体に変わると、私の腕を取り込むようにそれが殺到してきた。

さすがに、私も手を引っ込め、近くにいるナルカミくんとネネちゃんを引っ付かんで後方に飛び退いた。

おかげで、液体は中空でベチャッと衝突し、そのまま蠢いて元の形に戻っていた。



(これは・・・・・まさか?)



私は、男を見つめながら、両手に抱えた二人を地面に下ろした




「二人とも、ちょっと下がっててくれるかしら?」


【な、ナルゥー!!!!】

「え?、ちょ、何アルか?!」




私の声に、ナルカミくんはあわててネネちゃんを引きずって逃げていった。


よし、よくやったナルカミ君

あとでナデナデしてあげよう!!



・・・・・・さて、こいつか



私は、改めて目の前にいる男をよく観察してみることにした。


男は、身長的にはそこまで大きくはなく、だいたい167cmくらいだろうか?

髪色は燃えるような赤に、所々オレンジ掛かった毛が混じっている。

瞳の色は、黒一色で、先程からニヤニヤと笑っているせいでかなり嫌な印象を受ける。

顔は全体的に角張っており、例えるならば少し縦長の四角形に近いかもしれない


そして、先程から攻撃に使われている剣は、さっきから刀身部分が波打っており、最早剣と呼べるような品物ではなかった。


格好は、茶色のすすけたマントに、これまた同色のブーツとグローブ

黒い頑丈そうなズボンに、筋肉が浮き出ている腹部から胸部にかけては、特になにも着ていないが、ベストのようなものを一枚羽織っているようで、胸部に関しては筋肉の谷間が見えかくれするくらいだった



まあ、簡単に表現してしまえば、ボロを着た毛のないゴリラだ




「おい、今心の中でオレのことバカにしたか??」


「そんなわけないですぅー、素敵な筋肉だなぁって思ってただけですよぉ?」




わざと語尾を間延びさせ、相手を煽って見たがどうやら効果はないようで、男は相変わらずニヤニヤしながら私のことを見ていた。



・・・・・・ま、まさかっ?!



見てるのは、私の胸かッッ!!!

私の大切なダブルメロンか!!!


私はわざとらしく胸を隠す動作をして見せると、男はより一層笑みを深くすると、豪快に笑いだした。




「がっはっはっはっはっはっ!!!!!

オレが色欲程度で笑みを浮かべるかよ!!

ねーちゃんも、その辺もう察してるんじゃねーのか?

オレがなんなのか・・・・・・とかな?」




男の反応に、わずかに・・・・・いや、かなりイラッとしたが、あまりふざけていても仕方ないと考えを入れ替え、再び男に向き直った。




「つれないですねぇ、まあ、そんなものでしょうね。

正体については、最初から検討はつけてるわよ?

私の予想が正しいなら――――――――あなた、“魔物”でしょ?」




すると、男は両目を見開き、ニヤニヤと歪めていた口を大きく開いた。




「はっはーーーっ!!!そうかっ?!

なるほどなるほど!!

たしかに、こいつはいい情報源かもなぁ?!


その通り、オレは人間たちが――――――――“魔物”と呼ぶ物だっ!」




そういうや否や、私は嫌な寒気を覚え、反射的にサイドステップでその場を離れると、いつの間にか背後に液状化したやつの剣があり、私が避けるのとほぼ同時に地面から飛び出すように剣が空を割いていった。


私は、舌打ちをしそうになったが、感情を漏らすのをなんとか耐え、魔物の方を再び見た。


そこには、少しだけ意外そうな表情をし、飛び出した剣をキャッチしているやつがいた。




「これは、なかなか自信があったんだが?

どえやら、かなり勘がいいみてーだな?」




そういって、再びニヤニヤと笑みを浮かべ始めた魔物は、何を思ったのか、キャッチした剣を再び液状にさせると、両手をダランと下げ、わずかに姿勢を前に倒した。


そして、首を左右にコキコキと動かすと、ニヤニヤと細めていた目をカッと見開いた




「だが、次は避けられねーぜぇッ!!!!!」




そういって、両手を一気に振り上げると、そのまま地面に叩きつけるように振り下ろした。

すると、地面にぶつかった両手が「バシャンッ!!」という音と共に真っ黒な粘性の液が飛び散り、私の方へ飛来してきた。


私は、液に触れないように今度は両足に能力を発動させ、男の頭上方向に向けて思いっきり飛び上がった。


なんとか、液が体に触れることなく逃げることができたが、液の行方をおっていた私は、直後、自らの行動が失敗だったと気づいた。



避ける、までは良かったのだ

だが、問題は、“空中”に飛び上がってしまったことだ。




「がっはっはっはっはっはっ!!!!!

やっぱ避けるよなー?

だが、そっからどうやって“全部避ける”んだぁ??」




私の背後には、先程飛び散っていた黒い液が、空中でフヨフヨと浮かび上がり、それぞれが鋭く鋭利な針のような形状になって、こちらを向いている。


しかも、針は背後だけではなく、私の真下の地面やいつの間にか頭上にまで展開されていた。


しかも、最悪なことに、今の私は“空中に飛び上がっている”状態なのだ。


私は、とっさに体を丸め、両手で顔を守ると、次の瞬間


―――――――身体中に、鋭い痛みが走った




「いっ、があっ!!!」


「がっはっはっはっはっはっ!!!!!

め~い~ちゅ~う!!!

見事なイガグリの出来上がりぃ~~~~!!!!」




耳じわりな笑い声と声に、文句のひとつでもいってやろうとしたが、全身に突き刺さった黒い針が、まるで傷口を広げるようにグジュグジュと動いていることで、叫び声を我慢するのだけで精一杯だった。


すると、いつの間にか地面に落ちていたようで、私は後頭部をがっしり捕まれ、体をゆっくりとと持ち上げられてしまった。


あまりの痛みに、思わず声が漏れてしまったが、近くに魔物の気配がして、目を開けてみると、目の前にニヤニヤした顔があった。




「おいねーちゃん、さっきまで一緒にいた人間どもはどこだ?

答えによっちゃ、針をとってやるぜ?


・・・・・まあ、しゃべらねぇなら、このまま中から食っちまうけどな?」




その瞬間、さっきまで傷口に刺さっていた針が、みるみる消えていった。


・・・いや、違う

針が、どんどん体の中へ入っていったのだ!!!!




「あっ、があっ、くああっ!!!

うぐうううぅぅぅぅぅーーー!!!!!」




何が起こっているのか理解した瞬間、身体中に不快感が走り、痛みと共に全身をかきむしりたくなるような感覚に陥った。


それは、我慢や精神力の強さではどうにもならないほど、気持ちが悪くて不快感が強烈な物だった。


全身に虫が這うとか、皮をすべて剥がされるとか、そんなちゃちなものではない。

内側から、ジワリジワリと痛みと共に侵食される。

そして、極めつけが男のニヤニヤ顔での言葉である。




「・・・・・しゃべれば楽になるぜぇ?

ほら、暴れたりのたうち回るのはいーからよー

さっさと吐いてくんねーか??」




こちらがしゃべる余裕すらないのを知ってか知らずか、ニヤニヤしたままひたすら自白を待っているのだ。





おいおいおいおい、待って欲しい待って欲しい。


こいつは、あれか?

バカなのか???


こんな状態の人間が、まともな思考回路と理性を保って要られるわけがないだろ?!

何考えてるんだこのバカは!!!


おかげで、少々疲れることになってしまったじゃないか!!!





・・・・・・・え?私?


もともと “痛みと不快感こんなもの” なんて、エネルギー以外の何者でもないですが何か?




「はいはい、とりあえず、もうそのウザイ顔面を私から離してくれます――――――かっ!!」


「はぁ?―――――――――――ぐばはぁっ?!?!?!?!」




せっかく頂いたエネルギーを利用しない手はないので、私はさっきもらった “痛み” と “不快感” を “エネルギー” にして、全身に付与、そこから立ち上がると同時に地面から脚、脚から腰、一度捻ってお腹へ。


お腹まで伝った力を、今度は両腕に流し、わずかに体の捻る力にあわせて、両の拳へ


拳を前に出すときに、片腕は引き、すべての力をもう片方の突きだした拳へ


そして、魔物の顔面にヒットする瞬間に、手首をクイッと回転させ、鼻っ柱にめり込ませるイメージで繰り出した。



まあ、簡単に表現してしまえば


“全力の正拳突きを、魔物のニヤニヤ顔にお見舞い”してやった。





私の能力発動状態の正拳突きは、魔物の顔面に炸裂した瞬間

奇妙な叫び声と共に顔面に大穴が空き、後ろに頭がのけぞるのと同時に、私が拳を捻った方向に魔物の体ごと回転した。


そのせいで、顔面を中心にまるで後方へ吸い込まれるように体もとてつもない勢いで回転していき、しまいには洞窟の壁に激突し、ベチーーーーーンッ!!!!と凄まじい音をたてて、魔物は洞窟の壁のシミへと早変わりしたのだった。


私は、全身の服に空いているであろう穴や破れを確認しようと思ったのだが、その直後、背後に気配を感じ、素早く視線だけをそちらに向けると、そこには物陰に隠れた三人を見つけた。

だが、三人とも安心だとか恐怖ではなく、それぞれが変わった反応をしていた。

口をあんぐり開けたまま固まるナルカミちゃん

呆然として壁のシミへと変わった魔物を見てるネネちゃん

頭を抱えてため息をついているメリアスちゃん。



・・・・・・・・んん???

いったいどういうことかしら??



・・・・・・とりあえず、笑顔浮かべとく?



よくわからない反応をしていたので、安心させる目的で、心のそこからの改心の笑みを浮かべると、なぜか若干二名が空気が漏れるような短い悲鳴、もう一人は、眉間を摘まんでモミモミとほぐしていた。




・・・・・なんで?






















=======お姉さんスマイル中=======










笑顔をしばらく浮かべ続け、全身の流血やボロボロになっている服を少しだけ正すと、やっと受け入れてくれたのか、恐る恐るいった様子で二人は近づいてきた。

その後ろを、壁のシミに変わった魔物を警戒しながらメリアスちゃんが近づいてきた。




「だ、大丈夫アルか?

見てた限り、生きてるのが不思議なくらい血みどろだったアルが・・・・・・」


【そ、そうナル!!

突然出てきたかと思えば、やってることも起こってることもめちゃくちゃナル!!

なぜ、普通に笑ってるナルか!!!】




ネネちゃんは単純に心配してくれているようだが、ナルカミ君は少々興奮してるのか、問い詰めるように騒いでいる。


はっはっはっ、実にめんどく・・・・・・っんん!!

可愛らしい反応に、今度は心のそこから笑みがこぼれそうになった。

すると、頭を抱えていたメリアスちゃんが、ため息混じりにこちらにこちらに近づいてきた。




「ちあきちゃん、あまりおじちゃんの体で無茶しないで欲しいんだけど?

どういう原理か知らないけど、見た限りだと、全く違う体って訳じゃないんでしょ?」


「・・・・・フフフッ」




相変わらず鋭い

そして、清々しいほどおおじ君の心配しかしてない。


いや、まあ、当然ですかね?

私はあくまでも、“付属品” か “能力の一端” 程度にしか認識されてないでしょうし?




「・・・・・どういうことかな?

差し支えないなら、詳しく説明して欲しいんだけど?」




おっと、心を読まれてしまったようですね。

これ以上は面倒なので別のことでも考えましょうか?


すると、メリアスちゃんはあからさまにあきれた顔をして、念押しするように目を細めると、この場は見逃してくれた。


ふう、やれやれ

神の前では、考え事もできないのですねぇ




「そ、そういえばあなた。さっきの化け物はほんとにもう死んだアルか?

壁に飛び散ってから、全く動かないアルが。」


【わからんナルか?!

あれは、人型に進化した魔物ナル!

おそらく、近辺の死骸や物質を片っ端から吸収して、強い個体になってたナルよ!

たぶん、最近の悪いことは全部あいつのせいナルッ!!!!】




怖がるネネちゃんにたいし、ナルカミ君が鼻息も荒くそう説明すると、突然壁に飛び散った黒い粘性の液を睨み付け、片手をかざした。




【あんな物騒な物、こうしてくれるナルッッ!!】




そういって、かざしていた手をギュッと握ると、地面からかなり大きめの黒い手が出現し、その手が壁ごと黒い粘性の液を削りとった。

そして、そのまま手が徐々に閉じられ、最後には壁の岩ごと黒い粘性の液がぐちゃりと潰された。


どうやら、トドメを差したかったようだ。

ナルカミ君は、満足したのか両手を腰にあて、フンスッと息を吐いた。




【ざまあみろナル!!

神聖なこの川に厄災をばらまいた罰ナル!!】


「えっ、ちょ!何してるの?!

なんで魔物の液体散らしちゃったの?!」




ナルカミ君が言い終わるが否や、慌てた様子でメリアスちゃんが周囲をキョロキョロし始めた。


何事かと私が口を開きかけた瞬間、妙な感覚がして、後ろを振り返った

すると、そこにはもはや二度と見たくないと思えるニヤニヤ顔があった。




「おーいおーい、俺は魔物だぜぇ?

あの程度でくたばるわけねーだろ?」




私は、反射的に近くにいたネネちゃんを、少々手荒だが突飛ばし、呆けているナルカミ君の背中に蹴りを入れて吹っ飛ばした。

それと同時に、ふたたび背中全体に無数の突き刺すような痛みが走り、私はその場で膝をついてしまった。




「おっと、余裕ぶっこいてたらまたやられちまうよなぁ?

今度はもう油断しねー。このまま速攻で、吸収させてもらうぜ。」




魔物はそういうと、背中に刺さっている針を液状に変え、今度は体内ではなく、体全体に浸透するように広がった。

すると、背中全体がまるであぶられているようなジリジリとした痛みが走り出した。




「あ、が、いぎぎぎいいいぃぃぃぃぃっっっっっ!!!!!」


「がっはっはっはっ!また演技か?

今度は反撃なんかさせねーぜ?

・・・・ほら、追加だ」




その言葉のあと、背中にずしりと何かがのし掛かったような重みを感じた。

それにともない、背中を焼く感覚が強くなり、背中だけじゃなく、後頭部や足、腕にまで同じような痛みが走り始めた。

どうやら、魔物は粘液を追加して来たようだ。


こ、これは、さすがにやばいかもしれない!!

反撃しようにも、吸収と再生が拮抗していて、反撃に回すエネルギーが足りない!!!


くっ、しかも

くしくも美女に粘液という、なかなかいけない雰囲気に、苦しみから出る喘ぎ声でさらにエロさが引き立つという薄い本が厚くなる展開!!


んー、これはいけない!

ナルカミ君がいるのよ!!

自重しなさい魔物のおじさま!!!




(いやまてまてまてまて!!!

なんで起きてみたらピンチになってんだよ!!!)




おや、どうやら遊びすぎておおじ君が起きてしまったようだ。

ここはひとつ、挨拶でもしておこう。




『おはようございますご主人様!

ご飯になさいます?

お風呂になさいます?

それとも、わt(下らねーこといってねーで、さっさと何とかしろ!!!身体中溶け始めてんじゃねーか!!!) 』




どうやら相当焦っているようで、私のお茶目な冗談も途中で遮られてしまった。


もう、つれない人ですねぇ

まあ、いつものことなんでいいんですけどね?


・・・・・ていうか、さっきから私結構頑張ってるし、無茶もしてるのに、メリアスちゃんもナルカミ君も加勢してくれる雰囲気が全くありませんね?

・・・・・どういうことでしょう?



おーい、私がピンチですよー!

見たらわかりますよね?

どっちでもいいから助けてー。




私は心の中で呼び掛けながら、ジュージューいってる体を少しだけ動かして、二人の姿を探してみると、メリアスちゃんの姿はそもそもなく、ナルカミ君に関しては、地面にうつ伏せに倒れてピクリともしていない。


・・・・・おやおやぁ?

こ、これは、もしかして・・・・



・・・・・わたし、絶体絶命?




「うおおーー!!!」




とか考えていると、突然誰かの声が聞こえ、視線だけ動かしてみると、そこには小さなナイフを手にしたネネちゃんがかけてきていた。


お、おおうふ

ネネちゃんがいた。

いや、でもそのナイフじゃやばいんじゃないかな?

ほら、やつの攻撃リーチ長いし・・・・・


そんなことを考えていると、ネネちゃんが向かってきているのが、何となくおかしいことに気がついた。

どうみても、こちらに掛けてきている。



・・・え?

まって?ナイフ持ってるんですよ?

なんでこっちくるんです?


すると、予想道理というか予想に反してというか、ネネちゃんはナイフを高々とあげると、私めがけてそれを振り下ろしてきた。



・・・・・え?

ここにきて?

ここに来て裏切るんですか???


ええー、ないわぁー

せっかく庇ったのに

いや、突き飛ばしたのは悪かったですよ?

でも、復習なのか知らないですけど、死にかけなの人にナイフ刺します?


しかも、魔物すぐそこ

次、狙われる、あなた!

私、死ぬ、次、あなた!!


ドューユーアンダースタン?!




ネネちゃんの奇想天外な行動に、心の中でパニックになっていると、不意に、背中を焼く感覚が弱くなっていることに気がついた。

しかも、痛みがどんどん引いていき、重さもなくなっていくのがわかった。


お、おおっ?!

こ、これはっ?!


私は、素早く回復に回していたエネルギーを強化に回し、体に残っている黒い粘性の液を吹き飛ばした。


そして、ようやくその段階で、私に何が起こったのを理解した。


私の背中についていたであろう黒い粘性の液が、ナイフを伝って、ネネちゃんの体へほとんど移動していたのだ。




「・・・・・え?」


「よ、かった・・・アル・・・うま、く・・・いった、ネ」




苦しそうに呻き声をあげながら、ネネちゃんがそういった。

私は、彼女を見下ろしながら、強烈な感情にしはいされそうなのをこらえ、正面の魔物を見たら。


すると、魔物は珍しく不機嫌そうな顔をしていた。




「んだよ、邪魔くせーな。

あとちょっとで食えたのに、人間はもう要らねーんだけどなぁー


結構食ったし、最近食った奴で大体の情報は吸収できたしなぁ」


「・・・・ま、待つ、アルよ!」


魔物の言葉に、ネネちゃんが息も絶え絶えに必死に声をあげた

それに、方眉をつり上げて不愉快そうな顔をした魔物が、ズイと彼女に近づいた。




「なんだ、人間。

命乞いはきかねーぞ?」


「さ、最近・・・食った、のは・・・・まさか、その・・・・着ている服を、纏った・・・・男、アルか?!」




彼女の質問で、私は何を聞きたいのか理解してしまった。

だが、魔物にはよくわかっていないようで、考えうる限りの、最

低な答えを寄越した。




「あー?んなもんいちいち覚えてるわけねーだろが!!!

あー、まあ、確かに最近、やたら抵抗してきたガリガリの男を食った気もするが、ただの雑魚い人間だったはずだぜ?


・・・なんだ?あいつ、お前のツガイだったのか?

頭蓋骨でも残しといてやりゃよかったか?

そういやぁ、思い出してきたぜ?

最後になんか、ネネ、ネネ、ってうざかったなぁ!!

あんまり無様にあがくからよぉ?

両手足もいで頭から吸収してや―――――――――」
























「もういい、てめぇ喋んな」


















気がついたら、私はエネルギーをすべて攻撃に回し、目の前の魔物が原型をとどめなくなるまで拳を叩きつけていた。

どれくらい殴っていたかわからないが、とにかく、気がついたら私は先ほどぶっ飛ばした壁の前におり、えぐられた岩肌に無数の拳の形をした跡と黒い粘性の液、そして、赤黒い液体が一面に広がっていた。


両手を見てみると、拳がグチャグチャになって、骨がめちゃくちゃな方向に曲がったり折れたりしていた。


回復しようにも、そのエネルギーが足りない




「・・・・はぁ、またやっちゃいましたねぇ?」




ため息を吐きながら、唖然とこちらを見つめながら大粒の涙を流しているネネちゃんのもとへ向かった。




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