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おじちゃんが見た世界  作者: 蛇炉
12/20

第十二話 おじちゃん、秘密を聞く・話す

※誤字、脱字等があるかもしれませんがご了承ください

人というのは、とても知りたがりな生き物だ。


自分の知り得ない事

人智の及ばない未知のもの

他人や芸能人の不幸や災難な出来事

知る必要もないどうでもいい事

自分とは明らかに違うものの事


どれもこれも、自分が “知ろうとする力” 

“好奇心”とでも言うべきものかもしれない

少しでも興味を持ってしまえば、何らかの理由で興味をなくさない限りそれを求め続ける。





だが、世の中には別に知らなくても良いこともある。




例えば

誰かも分からない人物の訃報

面白くもない誰かの不幸自慢

自分には全く関係ない人物による、全く知らない人物へのいじめ





おもしろ半分、正義感、気まぐれ・・・などなど

どれでも構わないのだが、これらが自らを“知らなくてもいい事”へと介入させる。


もちろん、得てして知ろうとしていなくても、知ってしまう事はある。

情報を手に入れようと思えば


テレビのニュース、インターネット、携帯電話、新聞記事、人・・・・・


これらから容易に情報を得ることが出来る

意識してもしなくても、情報は手に入るのだ


だが、情報はあくまで情報

知っていたところで自分が何か出来るわけではない



別に何かしらの情報を知ったところで、すぐに何か出来る訳ではない


例えば、誰かの訃報をニュースで知ったとしよう

そしたらあなたは―――――――



(誰かが死んでしまったのか・・・その人の分まで人生を謳歌しよう)


(その人の家族のために、自分がおいしいものでも振る舞って元気を出してもらおう)


(金銭的に苦しいだろうから、お金を少し寄付しにいこう)




こんな事を考えるだろうか?

果たして、こんな考えに至る人はいるだろうか?


少なくとも、私の周りでは居ない

私の知っている人間という生き物は、赤の他人にここまでしない

居るのであれば、相当な善人か偽善者か・・・・・

まあ、今その話しはどうでもいい


私が言いたいのは “知らなくてもいい事を知りたがるのが人間”のことだ。



人というのは、知識に対して貪欲なのだ

探求するのが人間の本能なのだ






だがもし、この “知りたい” という欲求を持っていない人は・・・・・・




果たして、人として・・・・・























************












あれからある程度休んだ俺たちは、向かい合わせになって床に座っていた。

俺から見て、ちょうど正面に正座で座っているのが巫女

右手側にメリアスがいるのだが、座ってはおらず先ほどから扉に顔をつけ、何やら聞き耳を立てていた。

俺と巫女は、そんなメリアスの様子に首を傾げつつ、彼女の様子を見守っていた。




「・・・それじゃ、そろそろ話そうか?――――――その前にッ!!」




ようやく体を扉からはなし、メリアスは俺たちに向き直った。

そして、ニコッと笑顔を浮かべて俺の右腕に飛びついてきた。




「おい、なんで引っ付くんだよ。離れろ」


「う~、集中したせいで“おじニウム”が足りてないんだよ~、補給させて~」


「そんなもん俺は出してねぇし、そんな物質存在してたまるかっ!!!」




そう言って俺は、鬱陶しく腕に抱きつくメリアスを引っぺがした。

「あう~」とか言いながら腕をぱたぱたさせていたが、手で顔を抑え近づけないように突っぱった。

チラリと巫女の方を見ると、不機嫌そうに頬袋を膨らませていた




「いい加減にしろてめぇ!!。巫女も怒ってんだろがっ!!!」


「えっ?・・・・そ、そうですよメリアスさん!!!

 そろそろ続きを話してください、そのためにわざわざこの部屋まで来たんですよね?」


「おじニウムぅ・・・・まあ、そうだね。そんなに長くもないし、話しちゃった方が良いかも」




巫女に促され、メリアスはようやく俺に引っ付こうとするのを止め

俺のちょうど右手側、巫女から見たら左手側に腰を下ろした。

そして、さっきのふざけた雰囲気をすっかり消して真面目な顔になった。




「それじゃあ話すけど、本題に入る前に

 魔物について認識の齟齬がないか、確認しようか?」




そういって、メリアスは巫女の方を見ながら先ほどの魔物の話しを始めた。

内容的には、先ほど話していた事と大差なかった


巫女も、メリアスから話しを聞いて、大きな齟齬がないことを確認した。

すると、メリアスは満足そうに笑って今度は俺の方を向いた。




「おじちゃん、魔物からかなり情報を引き出してたんだね。僕、ますますおじちゃんに惚れ直しちゃった~」


「知らん、どうでも良いから話しを進めやがれ」




適当にあしらってやると、メリアスは「うえ~ん、冷たーい」とわざとらしい鳴き真似をした。


・・・・面倒くせぇ~

マジでどうでも良いから、早く話しすすめやがれってんだ。


俺は、頭をボリボリ掻きながら視線をメリアスから外した

すると、たまたま扉の方へ目が向き、それに気がつくことが出来た。


それ、というのは

まあ、具体的に言うと―――――




「・・・おいメリアス。扉のとこにガキが居るぞ?」



俺は扉からこちらを見ている少年を指さした。

メリアスと巫女が、ほぼ同時に扉の方へ視線を向け、扉の所に立って居た少年が、ビクリッと身を震わせた。

少年は、一瞬固まったが、我に返ると一目散に扉の向こうへ消えていった。




「お、おい!!!逃げたぞ!!・・・良いのか逃がして!」




俺は慌ててメリアスにそう言いつのった。

だが、彼女は慌てるそぶりはなく、「大丈夫」と扉の方へ視線を向けた。

メリアスは落ち着いた様子で立ち上がり、足音も立てずに扉へ近づいていった。

そして、扉に手を掛けると、そのまま勢いよく開け放った。




「ギャッ」




すると、何とも間抜けな声が聞こえ、メリアスは満足げな顔で少年の襟首を捕まえていた。

そして、流れるように捕まえた少年を、「せいっ」というかけ声と共に地面に叩き付けたのだ。

あまりに突然の事に、俺と巫女は口をあんぐりと開けたまま目の前に倒れている少年を見下ろした。

すると、メリアスは「にしし」といたずらっ子の様な笑顔でこちらを振り返った。




「こうやって、サクッと捕まえて気絶させちゃえば問題ないんだよね~」


「いや、おまっ、問題ないって言ったって・・・・」

「ほ、本当に・・・大丈夫なんでしょうか?」


「大丈夫だって・・・・・そんなことより、話しの続きをするね。」




少年の事など歯牙にも掛けた様子もなく、メリアスは再び話し始めた。

俺たちは、お互いに少年を一瞥し、話しを無視するわけにもいかないため、少年についてはとりあえず目を瞑り、メリアスの話しに耳を傾けた。


ザックリまとめよう

メリアスの持ってる魔物の情報として、新たに知れたことはほとんどない

純物が静水?とかいうやつ以外にもあるって程度だ


具体的に言うと、真水・炎・細菌等―――――

上げ始めたらキリがないらしいが、とりあえず必ずしも静水じゃなくても良いようだ。


それを聞いて、巫女が「信じられない」と、少々放心していたが俺が気にするところではない。


それは、オレにとって、とてつもなく都合が良いものが魔物の弱点に含まれていることだ。

最初は疑ったし、そもそもそれを吸収しているはずだから間違いだと思ったが、どうやら仕組みがあるようだ。



その物質っていうのが―――――――――タンパク質



こっちの世界では、あまり馴染みのない言葉らしい

なんでも、少量ならあまり意味がないらしいが、過剰にとらせると行動を阻害し、動きを停止させるまで至らせられるらしい。

だが、ここで疑問が浮かび上がってくる

そもそも、タンパク質の塊といってもいい人間、その他の動植物を魔物が吸収出来ているのか。

吸収できるにしても、なぜ、動きが鈍くならないのか?


その辺は、メリアスにも詳しくは分からないらしい

現に、人間を吸収した魔物は、すぐに人型になり、順応していた様子だった。

とてもじゃないが、弱点に含まれているとは思えなかった。


しかも、こんなに俺の能力に関係が深い物質が・・・・




「メ、メリアス様。あなたはなぜそこまで魔物の知識を?

私たちが直接魔物から聞いた情報までピッタリ一致していましたし・・・」


「えっ?。えーっと・・・そうそう、そういえばおじちゃん。一つ聞きたいことがあるんだけど」


「・・・・・ああっ?、聞きたいことだぁ?」




あまりにも無理矢理話を振ってきたことに、若干腹が立った。

そのせいか、普段より語気が強まってしまった。

・・・・ああ?普段とかわらねぇ?

ほっとけ!!!!




「いや、ちょっと引っかかることがあってね? 前におじちゃんの“能力”について聞いたことあったよね?

 あれ、結局どんな“能力”だったのかなぁ・・・・なんて?」


「“ノウリョク”、ですか???」




メリアスの質問に、聞き慣れない言葉に首を傾げた巫女が俺の方を見てきた。


くっ、メリアスめ面倒な事を

・・・・・まあ、隠すようなことじゃねぇけどな

進んで教えたいようなものでもねぇんだよなぁ


俺は少し考えてこいつらに、俺の能力について話すか考えた。

いや、まあ、話そうとは思うが・・・・しょぼいからなぁ・・・・




「えっと、その、勇者様? 申し上げにくいものであれば、無理には・・・・」


「いや、別に良いんだが・・・・そんな大した能力じゃねぇんだ。聞いても何にもならねぇぞ?」


「いやいや、おじちゃんも薄々気がついてるよね?その能力、たぶん魔物にとってとても強い力を発揮するって」


「ええっっ!?」




メリアスの言葉に、巫女が大げさな反応をして声を上げた。

そして、俺とメリアスを交互に見て、最終的に俺の方を見てグイッと顔を近づけてきた。




「ぜぜ、是非!!どのような能力なのか、教えていただけないでしょうか!!!!」


「・・・・・わかった、話してやる。だから離れろ、顔がちけぇ」


「えっ??・・・・・す、すみません!!!!」




巫女は俺に言われて、やっと元の位置に戻った

・・・・なんで顔が赤くなってるんだ?




「えー、おじちゃん。僕は何となく思考を読めるから、大体の能力の検討はついてるけど、念のために詳しい事を教えてもらっても良い??」


「・・・・・ああ」




俺は、メリアスの言葉を受け、了解の意をしました。

さてさて、どっから話せば良いか・・・・


まあ、とりあえず―――――――


俺は、頭の中である程度情報を整理して、能力について語ることにした。




「俺が持ってる能力、それはな――――――――タンパク質のコントロールだ」




「・・・・・タンパク質の?」

「・・・・・コントロール?」




俺の能力を伝えると、二人はそろって首を傾げて見せた。


おい、メリアス

お前俺の能力分かってるって言ってなかったか?




「まあ、ざっくり言うとな。オレは自身・相手の体内に含まれてるタンパク質を自在に増減出来る。

例えば、筋肉の繊維に含まれるタンパク質を増やし、手っ取り早く筋力アップしたり、腹減ってるときに体内のタンパク質を増やして、エネルギーに変えたりって使い方だな

まあ急速に増やすことは難しいから、あんま多用は出来ねえけどな」




俺の能力を説明している間、あの頃の記憶がちらついてきたが、全力でそれを無視しつつ説明を続ける




「まあ、メリットとして、俺は飢え死にだけはしねぇってこと

デメリットは、急激なタンパク質の変化で体がぶっ壊れやすいのと、相手のタンパク質をいじるには、相手の体の一部に触れねーとダメなとこだな・・・・・な?大したことねぇクソみてぇな能力だろ?」



「いや、万能過ぎるでしょその能力!!」




オレが説明を終えると、何故かメリアスがぶちギレた

ああっ?!、何でこいつキレてんだよ!!




俺が文句を言おうと思ったら、メリアスはそのまま俺の方へぐいっと近づいてきた。




「おじちゃんそれ、とんでもない能力!!

魔物に対してもそうだけど、手軽に肉体改造可能だし、相手に悟られないように、病気を発生させられるよ!!

しかも、増減だから相手のタンパク質を減らして弱体化させるのも可能だし、そもそもおじちゃん自身のエネルギーがほぼ無限じゃないか!!!!」


「あ、ああっ??

よくわかんねえよ!!、なんでタンパク質をいじっただけでんなことできんだよ!!

それにな、この能力の発動には条件があんだよ!、そうそううまく行くかっ!!!!」




そう、俺の能力はただ増減させる訳ではない

当然、増やした分の対価が必要だ


まあ、対価についてはこいつらに話すつもりはない。

何故なら、この対価を知ったやつらが間違いなく俺に害を成してくるからだ。




「タンパク質は、俺の体の均衡が崩れるからホイホイ使えねーんだよ!!、他にも色々問題があんだよ!!

下手すりゃ、お前らにも危害があるからな!だから、この能力は頻繁には使わねぇんだよ!!!」




そう、面倒なことにこの能力はそこまで万能ではないのだ

色々試そうとしたのだが、途中から能力が俺の支配下から離れ、とんでもないことになったこともあるのだ。


・・・まあ、そのお陰でオレは今ここにいるのだが、その話はまた別の機会だな。




「とにかくな、メリアスが言うほどこの能力は万能じゃねぇ。

それに、体内のタンパク質を増減させるだけだ。さっき見たところだと、魔物はただの水っぽい成分だった、魔物事態に何か出来るわけでもねぇだろ?」


「うーん、その辺は詳しく知らないけど・・・たぶん、含んでないね」


「で、では。勇者様のお力でも魔物には対抗できないのですか?」


「いやいや、実はそうでもないんだよね。おじちゃんの能力が “相手の体内でも行える” ってところが、僕が万能能力って感じた部分だよ」




「「・・・?」」




メリアスのいっている意味がわからず、俺と巫女は首をかしげて見せた。

すると、メリアスは得意げに人差し指を一本立てた。




「まず、おじちゃんの能力のメリットとして、肉体改造を可能にしてるよね?

 これは、おじちゃん以外の人にも適用できちゃうから、単純に戦力強化につながる。

 まあ、おじちゃんの話す感じだと、頻繁には使えないようだけど、それでもないよりはマシだよね?」


「いや、それは一概に言えなくねーか?魔物の様子を見た限りじゃ、物理攻撃が通用してるか怪しかったぞ?」


「そこは心配しないで、ちゃんと通じてるよ。ただ、人間やほかの生き物に比べて痛覚が鈍かったり感じにくいだけだから。ダメージ事態はちゃんと入ってるよ。」




そうなのか?

自分から盾にめり込んだり、飛び散ったりしてたが・・・・

まあ、とにもかくにも・・・・




「念のために言っておくが、俺の能力で増やせるのは “タンパク質” だ。

 筋力や肉体を爆発的に底上げするのは不可能だ。

 そもそも、タンパク質だけじゃ筋肉なんて増えねぇだろ?」


「む、そこに気がつくとは、おじちゃん博識だね・・・・でも、おじちゃんは僕が何者なのか忘れてるみたいだね?」


「ああ??、何がいいてぇんだ?」




俺がそういうと、メリアスはさらに中指をたてた。




「それが二つ目かな。おじちゃんの能力の補助が、僕には可能だってことだよ

 詳しくは、ちょっと僕の事情で話せないけど、僕なら・・・

例えば、おじちゃんがタンパク質を増やしてくれれば、瞬間的にゴリゴリのマッチョを作り上げることだって出来る。」



「はぁ?何訳のわかんねえことを・・・・ああ、そういうことかよ」




どうやら、メリアスには何かしらの手段があるようだ。

神だとか言ってたし、あまり嘘なんて言う奴じゃねぇだろ

まあ、正直どうでも良いんだが・・・・・


俺は、チラリとメリアスの方を見てみる。

メリアスは、何とも悲しそうな顔をして俺を見つめていた。

なんだ、その顔は

そんなに説明したいのか・・・・面倒くせぇ




「あっ、えっと、メリアスさん。それはどういった意味なのでしょうかっ!!」




俺が面倒くさがっていると、巫女が少々勢いよく手を上げてそういった。

すると、一瞬でメリアスが喜色満面になった。

お~お~、良い笑顔しやがったなこの面倒な女・・・




「えへへ~、しょうがないなぁ~。実はねぇ、僕ってこの世界のじゃないけど~、神様なんだよね~。

だから、ちょっと神様権限を使えば、おじちゃんの能力の欠点を消せるんだよねぇ~」


「・・・・えっ?」




メリアスの言葉に、ポカンッという顔で固まってしまった。


いや、まぁ・・・・だよな~

いきなりそんな事言われてもなぁ?


メリアスに若干同情しつつも、おおよそ俺の予想道理で納得していた。

やはり、さっきのテレパシーみたいな能力が出来るようだ。

まあ、俺の能力の最大の欠点は、増やす量じゃなく、俺から消費される方なのだが・・・・




「まあ、お前が能力の効果をサポート出来るのは分かった。だがな、そもそもそんなタンパク質うんぬんより、もっと手っ取り早く他の物質で魔物を撃退した方がはやくねぇか?。それこそ、巫女が持ってた白い水とかよ?」




そういって、俺は巫女の方へ視線を向けた

すると、何故か巫女はビクリッと身を震わせ、そのまま顔をそらした


・・・んん?なんだその反応は??

なんか、嫌な予感がすんな・・・



俺は、巫女の方をジーッと見たままそんなことを考えていると、メリアスが巫女の代わりに、答えを教えてくれた。




「あの水もうないよ?。だって、おじちゃんが水瓶全部ぶちまけちゃったよね?

念のために言うとね、あの水瓶にあったので全部だったんだよ?」



「・・・はっ?」

「な、なぜそれを!!・・・あっ」




巫女は慌てた様子で自分の口を両手で覆ったが、もう遅いだろ。


いや、もうがっつり聞いたぞ?




「巫女、本当か?」


「うっ、えっと、その・・・・・はい、メリアスさんの言うとおりです。

少なくとも私たちが所持している静水は・・・・もう・・・・」


「・・・・・そうか」



「しかもおじちゃん、あの水ね・・・・・ちょっと作りづらいんだよ。今、静水を数人で手分けして作ってるようだけど、水瓶いっぱいためるのに軽く1000日・・・・・だいたい3年かな?。

それくらいやらないとできないし、勿論失敗とかもするから、実際はもっともっと時間がかかるんだ・・・だよね?セレインちゃん」


「は、はい・・・現在、急ピッチで精製しているはずなのですが、すぐには溜まりません」



あー、あんとき言ってたのはそういうことか

そりゃ、前線にかり出されるわな・・・・


大した対抗策も知られてなかったこの世界の奴らからしたら、俺がやらかした事はとんでもないことだろう

静騎士ども以外で、魔物に対抗する手段の一つを、俺がつぶしてしまったのだから。


申し訳なさを感じたが、同時にあの場面ではどうしようもなかったと言い訳じみた考えもあった


あのとき、俺が動かなければ、確実に巫女はここにいなかったのだ。

少しは多目に見てもらいたい




「っと、いうわけで!!

対抗手段として、おじちゃんの能力はとても魅力的・・・しかも、僕がサポートすればおじちゃんのデメリットも潰せる!!!

まさに、ベストパートナー!!!

これはもう、人生のパートナーになったと言っても過言じゃないわけだよ!!!」


「いや、充分過言だクソガキ。―――――それに、俺の能力の対価は物質的なものじゃねーぞ?」




そう、俺の能力で支払う対価は、物質的なものではない

どちらかと言うと、精神的なもの


・・・というか、ガッツリ精神的以上を引き起こす対価だ

さすがにメリアスでも、こればっかりは無理だろう


だが、メリアスは俺の言葉を聞いて頬を膨らますと、ふてくされた様子で俺を睨んできた。




「なにさなにさ!!だったらどんな対価なのか教えてよ!!!

絶対僕がサポートするから!!いや、意地でもやってみせる!!」


「・・・そんなに知りてーのか?、正直、聞いてもお前らが不快になるだけだぞ?」


「なりませんー!!、絶対不快になりませんー!!」


「・・・対価も具体的に話すと、かなり面倒だぞ?」


「むしろ、その対価全部を消し去って能力の発動出来るように僕が完っっっっっ璧にサポートしてみせますぅーー!!!!」




俺が何をいっても、メリアスは引き下がろうとしない

それどころか、余計に意固地にさせてしまってるようだ



はぁ、言うしかねぇのか?

聞かねぇ方がいいと思うんだが・・・



俺は、とてつもなく気が進まないが、話さなければ事が進まないのを悟り、対価について俺が知ってる部分・・・・・・・・話すことにした



「わかったよ!!聞かせてやる。

俺の支払う対価ってのはな―――――――”欲望“・“人格”・“性別”だ」



「・・・・・・?」

「・・・・・・?」




俺の言葉を聞いた二人は、揃って首をかしげて頭上にクエスチョンマークでも浮かべてそうな顔をした。


あー、まあ、だよな。

これで伝わったらむしろ俺の方が驚きだ

だが、それ以外に言いようがない


・・・これはもう、実際に見せた方が早いか?


はぁ、やっぱり見せないとわかんねーよな

やりたくねぇ~


俺は、ため息をしつつ未だにこちらを見たまま首をかしげてる二人に告げた




「まあ、今から能力を使うから、後はあいつ・・・に聞いてくれ」




俺は、それだけいうと、能力を発動する

そして、俺の中のタンパク質を増やす。

すると、未だに慣れないあの感覚が訪れる


頭のなかから、どんどん何かが抜け落ちていく

徐々にではあるが、思考も鈍ってくる


視界に妙な点々が・・・・・あれ?




俺は、何してるんだ?


オレは、これからどうなるんだっけ?


おれ――――――私はいつ寝てしまったのだしたっけ?





・・・ふふふ

まあどちらでもよろしいですよね?



そんなことより――――――――――




「ふわぁ、おはようございますぅ・・・・えっと、あなたたちは、どちら様ですかぁ?」





おおじ君と交代・・・・・・・すると、私の目の前には、可愛らしい女の子が二人、私を見つめながら固まっていた







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