第07話:マッドボアとの鍛錬
───ダンジョン内
「今日からマッドボア、猪の召喚を行う。準備はいいな、季光?」
「は!」
今日も今日とて、ダンジョン内での訓練である。
今はこの二人だけだが、いずれはもっと大勢が訪れるダンジョンになりたいものだ。
っと、いかんな。集中せねば。
召喚!っと。
ぴかっとひかるモーション・・・のようなものもなく、猪の毛と土塊が集まり魔力で固まっていく様子が窺える。
訓練で、季光と四郎丸の部屋は分けた方がいいのだろうが、意思疎通ができないために、保留している。
季光は、泥でできた猪を見て、強いと見たのかいつもより集中しているようだ。
四郎丸は、それを壁際で見学している。
今日の戦闘訓練は、俺がボアに指示を出して季光を襲わせているので、季光を倒すまでは四郎丸は襲われないだろう。
ボアも、猪から生まれたとはいっても、所詮は泥だ。
ただの人相手なら確かに危険だが、鍛え上げた武士に敵うものではない。
それでも、ただの猪よりは強いがな。
そんなマッドボアのステータスはこれだ。
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◻︎基本構成とコスト
・名称:マッドボア
・ランク:H+
・コスト:魔力消費0.075・泥50g・猪の毛
◻︎ステータス
・HP(耐久力):20/20
・STR(攻撃力):13
・DEF(防御力):15
・RES(魔法耐性):2
・SPD(速さ):8
・LUC(運):1
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魔法耐性は極端に低く、能力値だけ見れば季光に匹敵するだろう。
しかし、所詮は猪でしかない。
つまり、
"ぶもー!!"
突進するしか攻撃手段を持たないのだ。
「というか、こいつどうやって鳴いてるんだろうか・・?」
「御霊蛇様にもわからないんですか?」
「あぁ、わからんな。わしも目覚めてから手に入れた力じゃ、わかっていないことも多いのよ」
適当に嘯きつつ、そんな疑問を口にしてしまう。
魔力値が高い分、魔石摂取による能力値の上昇分も高いだろう。
しかし、単に父からもらった魔石を食うという真似はしてほしくない。
というか、あくまで推測だが、そう簡単に能力は上がらないと思うのだ。
なぜなら、最初の二人のステータス。
これには魔力中毒という項目があった。
これは、やはり魔力という物質は単なる人間には毒なのではないか?ということを連想させる。
現在は、"魔力器官稼働"となっているが、それでも、一気に大量の魔力の摂取で能力が上昇するというのはなさそうだ。
誰かに、試させてもいいかもしれない。
将来的には、だが。
ボアとの戦いは、終始季光が優勢で進め、最後は季光がボアを蹴り飛ばして終わった。
「ん?最後はなぜ蹴り飛ばしたんだ?武器を使えばよかろうに」
俺は、少し気になったことを聞いてみた。
「ん?あぁ、単に武器の欠損を嫌っただけですよ。相手は泥でできておりますし。」
そういえば、この二人の武器を気遣ったことはなかったな・・。
矢も消耗品だし、刀だってそうだ。
防具も将来的には必要になるだろう。
「あー・・、そう、だったな。すまん、こちらがもっと気遣うべきだった」
「いえいえ、鍛えさせていただいているのに、そのようなことは。」
「いや、今後に差し障る。
わしとしては、もっとこのダンジョンに人が来るようになって欲しいのだ。
今のように単にゴミ捨て場のように使われるのではなく、な。」
「あ・・、申し訳ありません」
「いやいや、ものを捨てるのを辞めるとは言わんでくれよ?あれはあれで必要なのだ。
しかしな、わしとしてもゴミばかりを食らうというのは、な?元はそれなりのものであった故、少しだが気にはなるのだ」
俺の発言に、、少し暗い表情を浮かべる二人。
「御霊蛇様。協力いたします故、どのようなものが必要か言ってくだされ。」
「そうですよ!御霊蛇様!私たちもただでさえ、御霊蛇様の御力で鍛えさせていただいているんです!そのお返しくらいさせてください!」
2人はそういって、俺にもっと必要なものをいえと詰め寄ってきた。
「あ・・・、なら、そうだな。
生き物の肉をいただけるか?わしも久々に肉が食いたいのだ。特に種類は選ばんぞ?
それに、調理などもなくて良い。今の身体では味もわからんしな。」
「肉、やはり肉が必要なのですな?必要なら猪肉ももっとお持ちしましたものを。」
「いやいや、量は良い。どうせなら種類を持ってきてくれぬか?」
「・・・お聞きしますが、その肉には"人"も入りますかな?」
「ふむ・・。一応言うておくが、わしは人を食ったことなどない。獣の肉は一通り食うたとは思うがの。」
「なるほど。」
「しかし、お主のためには人を吸収することも必要かもしれん、とは思うとる。」
俺は多少躊躇いつつも、季光たちの好意に甘えようと思った。
「お主が戦うのは人じゃ。外では未だに戦があるのじゃろ?」
「・・・・えぇ。ありますな。御霊蛇様が、翌年、私めが死ぬと言うておったのも俺が原因かもしれません」
「とすると、人を吸収し、人と戦う経験も必要になると思おうのじゃ。
人を吸収できれば、恐らくは多くの怪異・・、いや魔物が召喚できるようになろう。」
「それと戦うことで、私や四郎丸により経験を積ませる、と言う訳ですな?」
「その通りじゃ。」
そこまで話すと、お互いに言葉を止めそれぞれが熟考に入った。
「では、お持ちしましょう。罪人の遺骸はここに奉納・・・、いえ、放棄して仕舞えば良いでしょう」
「助かる。だが、人ばかりでは困るぞ?犬猫牛馬、あらゆる生き物を網羅してもらう方が良いからの。
あと、人は男も女も両方を頼む。」
「?なぜでしょう?何か重要な理由が?」
「いや、わしの肉体を作ることができるかもしれんでの。」
「あ、いえ、蛇の方がよろしいのでは?」
「いやいや、蛇でもわし自身は悪くないのだがな。
蛇の肉体ではお主らと話せんであろう?」
蛇そのものが嫌いというわけではない。
しかし、どう考えても蛇ではコミュニケーションは取れないのだ。
だから、蛇はやめてくれ。頼むから。
「・・・わかりました」
「頼むから、罪人での。無垢なものを生贄にするなどは止めるのだぞ?
そのようなものわしは望んでおらんからの」
これだけは強めに言っておかなくてはならない。
俺自身が望んだわけでもないのに、生贄を差し出され、あまつさえそのせいで恨まれるなどごめん被りたいのだ。
罪人なら、良心の呵責も無くて済む。
───こうして俺は、さらなる発展の材料を手に入れる機会を得たのだった。
「みやこの『泥まみれ魔物図鑑』公開だよ!
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