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戦国ダンジョン ~現代人は信長の足元で、歴史支配の夢を見る~  作者: 斎藤 恋
第二章:千秋季光救済作戦

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第30話:八剣砦の攻防



───八剣ダンジョン


ティンと、ダンジョンの完成を知らせるアラームが鳴る。

あれから8時間が経過し、転移の間までの直通通路も取り込んだ、八剣ダンジョンが正式に完成する。



そして御霊蛇の目の前にあるメニュー画面

そこには、転移用ダンジョン八剣の構成図が広がっていた。


====================


『第1層:草原と二本の川』


『第2層:ゴブリン階層:5,000体(単体戦)』


『第3層:ゴブリン階層:10,000体(集団戦仕様)』


『第4層:転移の間:熱田神宮ダンジョン転移の間への直通門』


====================


そこには、八剣ダンジョンの階層説明が描かれ、



「ゴブリンの排出はいつにするかな・・・?まぁ、季光の奴と話し合ってからでいいか」



こうして、モンスターの配置がまだとはいえ、

八剣のダンジョンの設置が完了した。




────────────────────────────


───翌朝


「・・・あ、あ・・・?」


監視の兵は、その光景を見て驚愕した。

昨日までは、まだ、資材を並べていただけの湿地帯に、既に砦が建っていたのだから・・・。



兵の喉からは、ひきつったような音だけが漏れた。

彼は目をこすり、もう一度確認する。

まるで、自分の正気を疑うような光景。



何度確認しても、そこにあったのは、整然と並ぶ高い壁と四隅に聳える高い櫓だった。


木製と思しき城門が、稲葉山の監視所からは垣間見えた。



「し、城だぁぁぁぁぁ!! 敵城が出現したぞぉぉぉぉ!!」



監視兵叫びだけが周囲に響き渡り、その城の存在は、稲葉山中に一挙に広まっていった。





───稲葉山城:斎藤利政


美濃の大将 斎藤利政は、早馬の報告に耳を疑った。


「・・・なんだと? 砦がすでに完成している?いや、馬鹿を言うな。あ奴らが取り掛かったのは昨日だぞ?それも夕刻だ。いくらなんでも速すぎるだろう?」



「殿、疑わしいことは百も承知。ですが、・・・いえ、見ていただいた方が早い。そこの窓からご覧になっていただきたい。」


家臣たちの報告に、疑わしいながらもそれを見る。




「は・・・?」


その時、利政が窓から見たのは、ゆうに1,000人は収容できそうな程、大きな砦だった。


「千秋の家紋が見えまする。織田の尖兵であろうことは明白。すぐさま対処せねばとんでもないことになります」


利政は、唖然とした表情から、一気に怒りで顔が真っ赤になっていく。


「・・お・・・おのれ、やってくれおったな織田信秀!!何か、新しい建築法でも発明しよったか!!・・・だが、完成したといってもガワだけのはず・・・!中はまだ埋まってはおらんはず・・・!」



利政の顔からは、完全に余裕が消え、焦燥が張り付く。


「予定変更だ。3日後などと悠長なことは言っておれん、即座に兵を集めろ!

本隊(信秀)が来る前に、あのふざけた城を押し潰すぞ!!」




その後、利政の号令下、二刻ほどで斎藤軍2000が動き出した。

その目的は、【疲弊した敵を討つ】から【待ち構えた敵城砦の攻略】へと変わり、殺気立った軍勢が八剣の辻へと殺到する。



できたばかりの八剣砦は、一瞬にして、戦火に覆われるのだった。






───八剣砦


斎藤利政が集めた兵は、順調に敵砦を半包囲していた。

織田信秀に備えて準備していたこともあり、兵は即座に集まり動けたのだ。


しかし、その予定とは大きく違う行動に兵たちはいささか動揺していた。

・・・昨日まで、彼処に城がなかったことを知っている者は、特にその傾向が強かった。




「ちぃっ!・・近くで見てもなかなか上手く出来ておるではないか・・・!この短期間で一体どうやって・・・?

いや、そんなことはどうでもいい。まずは、落とすのみよ」



斎藤利政は、その半生のほとんどが成功してきた人生だった。

苦難もあったが、その苦難も乗り越えられる苦難でしかなかったのだ。



だが、今回の戦いは違う。


違うのだが、そのことに彼はまだ気付いていなかったのだ。



「まずは半包囲だ。」



利政は、砦の中がまだ、ガラ空きだろうと予想しつつも、警戒を緩めないまま半包囲で攻めかかった。

完全包囲での万が一を恐れたからであった。



しかし



「・・がっ!」「ぐ・・・!」「うが・・!」



近づいた兵が、瞬く間に矢で討ち取られていく。



「・・・は?・・いや、待て待て待て。まだ、三町は離れておるだろ!なぜ届く!・・・くっ!」



三町ほどの距離でも飛んでくる矢。

そんな馬鹿げた射程を持つ弓など、利政は知らなかった。


しかも、撃ち抜かれた者の顔は原型を留めていない。

威力が強すぎて、顔が潰れてしまっているのだ。


さらに、恐ろしいことに、連射が可能らしい。

同じ方向から、既に幾度となく矢が飛んできている。



「いやいやいや・・・どうなっているのだこの敵は・・・・本当に信秀の奴めが敵なのか・・・???」



利政は、そんな疑問を持つ。

話に聞いていた、織田信秀の動き方とは全く違う。


いや、武士じゃない・・・戦い方にも思える。


「・・・わからんな・・・・いや、だが・・・ちっ!これ以上は無駄か。撤退だ!!」



余りにも不確定要素が多い。

それに、見ている限りでは、敵に矢には外しがない。


百発百中というわけでもないが、外している矢が極端に少ない気がするのだ。



こんな遠距離でも狙える矢を、ここまで正確に放たれたら、部隊がどうなるかなんて分かりきっている。

こいつらなら、間違いなく組頭を狙ってくるだろうし、そうなれば俺の軍は終わりだ・・・!


利政はそんなふうに考えを巡らせる。



今のままでは、勝ち目がない。



利政がこの時に思ったのはそれだった。


「大軍で攻めるか・・、それとも奇策か・・」



考えはいくつも浮かんでくる。

しかし、そのどれもがこの砦には有効だと思えないのだ。



実際に戦ってみて、利政が感じたのは"違和感"だった。


「なんだ・・・?何かがおかしい。そもそも何故あそこに城を建てようと思ったんだ・・?」



利政の頭脳が、その違和感を精査し始める。


・矢鱈と遠くまで届く矢

・不自然な場所に作られた城(砦)

・凄まじく速く建てられた砦(城)


分かっていることはこれだけだ。

だが、これだけでも十分な情報である。



「やはり、これは信秀の考えではないな」



今までの織田信秀の戦歴から考えても

このようなことはするまい。


織田信秀の戦は、戦場での臨機応変さにこそある。

あの戦術的巧者は、相手の隙を見逃さず、自兵を鼓舞するのに長けている。


だが、こういった小細工のようなやり方は、どうにも信秀のやり方と印象が違えるのだ。



「千秋・・・・熱田神宮の大宮司、だったか・・?気になるな。」



利政の頭脳は、違和感の正体を弾き出していた。


熱田神宮、千秋季光、そして最近現れたという大男



「・・・・何かあるな」



将来、美濃のマムシと呼ばれる知将は、熱田神宮の秘密に一歩近づきつつあった。



───斎藤利政の襲撃から数日後


織田信秀率いる織田家の軍勢は、八剣の砦へと歩を進めていた。


「・・・おい、政秀(平手)。どうやら、俺は疲れているらしい・・・目の前に城が見えるぞ・・」


「いえ、殿。某の目にも映っております・・・。旗は・・、千秋ですな。」


「いやいや、あり得んだろう?これ、これはもう簡易砦ではなく、城だろう・・?この短期間でここまでの城って建てられたのか???」


「建てら・・・いえ、建てられるのでしょうな・・・。千秋の言っていた新素材・・でしたか。どうにも調べてみる必要がありそうです。」



織田信秀と平手政秀が、八剣の辻に建つ城について意見を交わしている。

千秋が城を建て始めて、まだ5日。



それなのに、その城は三階建てで、二の曲輪まで出来上がっているようにも見える。

どう見ても数日でできる砦ではなく、完全な城だった。



「おいおい・・・。しかし、アレはなんだ・・?木なのか?」


「さて、ここからみる限りではただの木ですが・・。ただの木で、あそこ迄の城が作れましたかな・・・??」



頭脳に優れる平手政秀も、この光景を前に既に混乱してるようだ。

当然だが、ただのベニア板で作れるような大型の城はない。


出来たとしても、強度は期待できないし、人が乗ることも不可能だろう。



「まぁ、なんでもいい。あれは味方の城だ。詳しい話は千秋に聞けば分かるだろう」


「ですな・・・。しかし、これにちゃんと城としての機能があった場合、千秋の価値が跳ね上がりますな。そこはどうなさるのです?」


「問題ない。この城の話が出た時点で、吉法師(信長)との間に婚姻を結ばせる予定だ。あちらにも既に話しておる。」


「なるほど・・、血縁として取り込みますか。しかし、千秋に娘はいましたかな・・?」


「一応いるぞ。今は貴奴の分家に入っておるがな。実娘じつじょうだ」


「ほぉ・・そのような娘が。」


「というか、吉法師(信長)も知っておるようだ。話を振ってみたら即吐いたわ。」


「では、最近熱田に入り浸っておるというのは・・」


「まぁ、そういうことだろうよ、くくく」



信秀と平手は、砦について考えるのを一旦止め、吉法師(信長)の話題に終始した。

そして、そうこうするうちに、八剣砦にたどり着いたのだった。



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