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戦国ダンジョン ~現代人は信長の足元で、歴史支配の夢を見る~  作者: 斎藤 恋
第二章:千秋季光救済作戦

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第23話:サブダンジョン



───日間賀島:中央広場


船に揺られること数刻。

俺たちは日間賀島へと上陸した。



島の中心部。


将来的に、"市庁舎や市"を作る予定の広場には、

島民たち(加藤生駒らが連れてきた住人)と、駐留している千秋家の家臣:鈴木惣右衛門らが集められていた。



「皆集まってくれ!紹介させてもらおう!」


季光は、その一言で島にいる者らを集める。


その後、集まってきた住民たちに神の威光を見せつけるのだ。

そうして、騒つく群衆の前に季光と共に立つ。



「鎮まれぇぇぃ!こちらに座す御方をの前で騒ぐこと罷りならぬ!

我らが神、御霊蛇御神みむすびのおんかみにあらせられるぞ!」



季光の一喝で、ざわついていた島民たちが静まり返る。


俺はゆっくりと布を取り払った。



「ひっ・・・!?」

「あ、赤髪・・・?」

「なんだあの眼は・・・」



島民たちが息を呑む。

やはり「美しい」というよりは、「怖い」「人間ではない」という反応が大半だ。



俺はその反応に満足しつつ、鈴木惣右衛門の前に進み出た。


「そうそう、鈴木とやら。ちと、ぬしの家族を連れてきたぞ」


「えっ?」


俺が指差した先には、今回の船に同乗させてきた"鈴木の妻と幼い娘"がいた。


「お、お前たち! なぜ此処に!?」


「あなた! 御霊蛇様が、島で家族は共に暮らせ、と。」


「とと様ー!」


抱き合う家族。

うむ、美しい家族愛だ。


俺はそれを眺めながら、ニチャリと笑みを浮かべる。


「うむうむ、良いのぉ家族愛というものは。」


「御霊蛇様、ではそろそろ」


「わかっておるよ、で、どの辺りかの?」


俺がそう聞くと、加藤らが島の中心はだいたいこの辺りだ、と場所を示してくれた。



「ん、ではゆくぞ?離れておれ!」


俺はその中心部に立ち、魔力を集めてゆく



「ふんっ!」


そして、その魔力を操作してダンジョン入り口の大きさを決める。


「で、あとは、と。」


・魔力による土地の選定

・俺自身がその場にいること、

・魔力最大値100万


それらの条件下でのみ使える機能が、"サブダンジョン作成"だ。


「これで、よしっ」


俺のその一言と共に、"ズズズズズズッ"という音をあげ、大地が鳴動していった。


「おぉゎっ」

「じ、地揺れか!?」

「大きいぞ!」



住民たちが唐突な地揺れに戸惑う中、俺の足元では、島の地面がその様相を変えていた。


熱田神宮の本ダンジョンにある鳥居と、似たような鳥居が出現し、その先にはコンクリート製の大きな本宮が生まれた。

外観は、熱田の本宮と同じくらいだが、内部は500m×500mのかなり広大な空間が広がっている。



「これで、完成じゃ!」



俺は額の汗を拭い、呆然としている鈴木たちに向き直った。


「聞くが良い、者ども。」


俺は、騒めく民衆らに向き合い、それを告げる



「我が生み出したるは"ダンジョン"。今ある現世とは理の異なる世界である。」


「この世界には、5つの層がある。」


「第一層:ここは、お主らが自由に使うといい。ここはただ広大なだけの空間だ。住処にするなり、市にするなり好きにせよ」


「第二層:ここは弱き魔物が溢れる空間である。が、第一層まで上がってくることはないゆえに安心せよ。無理矢理に連れてきたとしても第二層へ、自身で帰ってゆくことだろう。」


「第三層:ここは少々強き魔物の溢れる空間だ。こちらも二層と同じで上がってくることはない。そして、こちらの階層には多少の宝が配置される。欲するものは好きにとりにくるが良い。」


「第四層:ここには水源がある。尽きることなき水が湧く"湖"よ。ここに魔物は出ぬ。湖と周囲の草原、そして、階段のみがある。」


「最後の第五層:ここには門が置かれておる。この門は熱田にあるワシの本ダンジョンと繋がっておる。つまり、"歩いて熱田まで帰れる"ということじゃ。」


「第二層と第三層の魔物は、全て倒せば、"丸一日"は"次"が湧かん。故に、ここを通り熱田から荷を運びたいというのであれば、己らの手で戦い、勝ち取れ。第二層がマッドスケルトン、第三層がマッドゴブリン、それぞれ1000体ずつじゃ。」


「全員で協力して倒すもよし、一部の精鋭に任せるもよしじゃ。じゃが、皆、一度は魔物を倒し、魔石を飲んでおけ。それだけで身体が強くなるぞ。病にも罹りづらくなる故な。」



俺は、そうダンジョンについて解説した。

宝の詳細については伏せたし、ここが俺の魔力を回復させる場所となることも伏せた。



「それと、鈴木。ちょっとよいか?」


俺は、ここの管理者となる鈴木を呼び寄せ、一言だけ言っておく。


「ここは、夜になると、死者やゴミなどが消える場所となる。だが、何でもかんでも消えられては困ろう?

ゆえ、弔いの祭壇とゴミ捨て場を用意したよって、死体とゴミはそこに入れよ。」


「はっ、何から何まで誠に感謝いたします」


「よいよい。お主の妻も娘御もなかなかの器量であったわ。・・大切にせよ。できうる限り、彼女らの顔を曇らせぬようにな」



鈴木は、俺のその言葉に無言で頭を深く下げる。

ではもう行けと、俺は手で鈴木らを向こうにやり、次は加藤らと話をする。



「御霊蛇様、ご降臨誠におめでとうございまする。」


「よいよい、堅苦しいわ。普通の年配者への感謝だけで構わん、ワシ自身はの。

で?どうじゃ、ワシの"ダンジョンは"。」


「ありがとうございます。いやはや素晴らしいですな、あれは。あれだけの広さがあれば住民のほとんどを収容できます。

中にも太陽が昇り床は石製。あの場所であればいざという時の"逃げ場所"にもなるでしょう。」



「うむうむ・・。お、そうじゃ、忘れておったが、お主、ダンジョンについては詳しく知らんよな?」


俺は、思い出したように加藤順盛に聞く。


「え?えぇ、知りませぬが・・・」



「あのダンジョンはの、基本的に気温が変わらん。大体春頃の陽気を再現してある。じゃから、冬の凍えるような寒さも、夏の咽せ返るような暑さもない。なんで、寒さや暑さを利用したいなら気をつけよ。それと、今は日が昇っておるが、外と同じように夜になれば日も沈む。それは覚えておくとえぇ。」



「・・・なんと・・。私めの想像を遥かに超えておりますな・・・。しかし、わかりもうした。そのことを念頭に置き利用させていただきます。」


「おう、使え使え。使わぬ方が気分を害すと思うたらえぇからの。使ってくれる方が嬉しいわ。」



そうして、ダンジョンについて色々細々としたことを伝えたあと、加藤も下がっていった。



俺が話している間に、ダンジョン内部を皆が順々に見て回り、鈴木らは一度最下層まで見にいったようだ。


階段までは一本道にしてあるので、最短経路で行くのならそれほど時間はかからない。

半刻ほどで戻ってきたようだ。


まぁ、ダンジョン経験済みの面子で行ったようだったから速かったというのもあるだろうが。



「御霊蛇様!あれは素晴らしいです!本当に直ぐ熱田まで!」


と、言った者たちは声をあげて騒いでおり、何を言っているのかわからぬ有様だった。


だが、感動したことだけは伝わってくる。



「うむうむ」とだけ、俺もうなづいて、その場の空気に身を任せた。



その後、ダンジョンが生まれたことを祝う"宴"が開催された。




───日間賀島:夕刻:宴


どんちゃん、どんちゃんと、辺りで島の住民たちが食事を食べ酒を飲み騒いでいる。


食事や酒も島のものでは足りなかったので、熱田からも取り寄せたそうだ。



ちょっと騒ぎすぎなので、向こうで誰かに気付かれなければいいのだが・・と、

少々不安にも感じたが、加藤らもその辺りは心得ていたようで、熱田への進物だと言って、神宮の倉庫まで搬送させたのだそうだ。



あとは、見られぬようにそこから運び出しただけ、とのことだった。

商人らが納入する熱田の倉庫は、普段は人が近づかぬよう人除けがされているし、確かにそれならいけるだろうなと俺は感心した。




そうして、宴は進み、日が暮れてゆく。


化身として現れた"御霊蛇"も、季光らと共に熱田の社へと帰ってゆくのだった。







「しかし、良かったのぉ・・あの嫁御の体。鈴木のものでなければ、ワシが堪能したかったのじゃが・・」


「・・・・・御霊蛇様。頼みますからご自重願います。」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


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